盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」

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1:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:24:52.02ID:8R2Hgvk+0

令嬢「平民の猿を連れて歩かなければならなくなるなんて」ハァ
俺(なんで俺が、こんな目に……)
令嬢「うっ」ヨロッ
俺「し、失礼いたします!」バッ
俺「大丈夫でございますか!」
令嬢「……なぜ、石のある上を歩かせたのかしら?」ギロッ
俺「えっ、し、しかし、外ですし、そういうことも……」
令嬢「……」スッ
俺「て、鉄杖……?」
ガツッ、ドゴッ
俺「うぶっ!」
俺「お、お辞めください!」
令嬢「私は、公爵家の長女よ! 私の身体に傷でもつけたら、貴方はどう償うつもりだったのかしら!」ドゴッ、ドガッ
令嬢「貧民の老婆の手でも引いているつもりだったのかしら!」
令嬢「次やったら殺してやるわ!」
俺(こ、このままだと殺される……)ハァハァ


3:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:25:36.25ID:8R2Hgvk+0

俺(……貴族の料理はやっぱり豪華だな)
令嬢「…………」
令嬢「口許まで運んで頂戴」
俺「そ、それもですか」
令嬢「…………」イラッ
俺「い、いえ! なんでもありません!」
俺(……こんなことまでさせて、恥ずかしくないのか?)チャカチャカ
俺(こいつら平民を人間だと思ってないから、そういう感情はないのかもしれんな)
俺(お高く留まりやがって。今フォークで突いてやったら、殺せるのに……)
令嬢「早くしなさい!」
俺「はっ、はい! 何からとりましょうか!」


4:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:26:04.48ID:8R2Hgvk+0

令嬢「……取るのは遅いわ、間違えるわ、下に落とすわ」
令嬢「最低ね」ハァ
俺「……お粗末様でした」
令嬢「全部で八回だったわね」スッ
俺「え……れ、令嬢様?」
シュンッ、バンッ
俺「おぶっ! あがっ!」


5:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:26:34.28ID:8R2Hgvk+0

メイド「大丈夫ですか、俺さん? こんな、怪我だらけで……」
俺「気を遣ってくれてありがとうございます」
俺「これくらい平気ですよ」ハハハ
メイド「食事の時間以外令嬢様に付きっきりなのに、令嬢様の横暴で食事もまともに取れずに殴られっぱなしなんて……」
俺「……」
メイド「……大変でしょう。令嬢様は、サマエルと使用人の間で呼ばれているのですよ」
俺「それって、えっと……死の天使でしたっけ」


6:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:27:18.39ID:8R2Hgvk+0

メイド「そうです。サマエルは、その罪によってモーセに目を潰されたのですよ」クスッ
俺「……聞かれるとまずいですよ」
メイド「このくらい、皆口にしていますよ」
メイド「それに、あの性格ですから。親族も令嬢様を遠ざけていますし、咎めて騒ぐ人はいませんよ」
俺「そんなものですか……」


7:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:27:30.99ID:8R2Hgvk+0

メイド「あまりご一緒できる時間はありませんが……俺さんは丁寧で大人しくて、いい人ですね」ニコッ
俺「はは、あまり人馴れしていないだけですよ。田舎から出てきたもので」
メイド「またお時間合いましたら、お話しましょう」
俺「ええ、また……」


8:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:27:42.33ID:8R2Hgvk+0

ドンッ、ドンッ
令嬢「遅い! 食事くらい、すぐに済ませなさい!」
俺「は、はい、すぐに!」
メイド「大変ですね」
メイド「妹様は、私達使用人にも優しく接してくださる、いいお方なのですが……」
俺「では、いつかまた」ドタドタ


9:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:27:47.70ID:hI2dq0PM0

何回やったら気が済むんや?


10:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:27:53.68ID:8R2Hgvk+0

令嬢「呼べばすぐ来るのね」フンッ
俺「さ、さぼっていたわけではありません」
俺「その、急いできただけで……」
令嬢「…………」スッ
俺「ひっ!」
令嬢「……まぁ、よいわ。今回は見逃してあげる」
俺(た、助かった……)


11:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:28:10.36ID:JZzg+xYd0

盲目なのに説明もなく何から取るのか聞いてどうするの?


12:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:28:28.55ID:8R2Hgvk+0

令嬢「私は光を失ったけれど、その代わり、耳はとてもいいの」
俺「えっ……」
令嬢「つまらない嘘は吐かないことね」
俺「…………」ゾオッ


15:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:29:06.65ID:8R2Hgvk+0

俺「……こ、この位置で大丈夫でしょうか?」ソッ
令嬢「本当に中央なのでしょうね」
俺「……少し動かしますね」
令嬢「………」チッ
俺「ひっ!」ビクッ
俺「これで、毛布を被せて……終わりました。今日もお疲れ様でございました」
令嬢「…………」
俺(ぺっ、労いの言葉もなしかよ)


17:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:29:54.24ID:bsLWy3MU0

もう落としていいぞ


19:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:30:06.83ID:8R2Hgvk+0

俺(これで六時間開放される……)フウ
俺(令嬢様が起きる一時間前から横にいろって、どう考えてもおかしいよなあ)ハァ
メイド「俺さん、お勤めごくろうさまです」ニコッ
俺「メ、メイドさん! どうも……」
メイド「実は、俺さんとお話をしたいとおっしゃっている方がいまして。来てもらえませんか?」
俺「そ、そうなんですか? しかし、睡眠時間がその……」ハハ
メイド「妹様です」
俺「え、えっ!?」
メイド「いつも、一時間早いのでしょう? そちらの件も、妹様から許可を出していただけるかと」
俺「わ、わかりました。しかし、なんで俺なんかを……」


20:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:30:16.17ID:8R2Hgvk+0

妹「ありがとう、メイドちゃん」ニコニコ
メイド「い、いえ!」
妹「お話するのは初めてですね。俺さん」
俺「あ、あの、なぜ、俺なんかを……」
妹「……愚姉がいつも、迷惑をかけております」ペコッ
俺「そ、そんな、とんでもないです!」
俺(め、めっちゃいい人だ! なんで令嬢様と姉妹なんだ?)



22:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:30:36.76ID:RAyzKLqqa

チノちゃんじゃん


27:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:32:25.61ID:8R2Hgvk+0

妹「私が起こしてしまったので、朝遅く出る許可を出したといえば、父も母も、姉も、余計なことは言えませんよ」
俺「ありがたいです……」
妹「本題なのですが……俺さんはとても真面目で、仕事のできる人です」
妹「ここまで文句も大きな問題ごともなく姉に仕えていられる方は、本当に少ないんです」
俺「過分な評価ですよ。……正直、俺もいつまで続けられるか自信がなくて」
妹「そうでしょう。私はそのような人が、姉の横暴で潰されるのを見たくはないのです」
俺「え……」
妹「庭師の仕事を増やして、空きを作って差し上げます。俺さんがそちらへ入れるよう、手配してあげましょう」
俺「ほっ、本当ですか!?」


28:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:32:42.01ID:8R2Hgvk+0

妹「今の仕事だと、まともに故郷にも帰れない上に、何の自由もありません」
妹「庭師の仕事も楽だとは言いませんが、今よりはきっとマシですよ。昼の食事も抜けられますし、お菓子の時間も設けております」
妹「夕食の頃にはその日の仕事はお終いです」
俺「め、女神様……!」
メイド「よかったですね、俺さん」ニコッ
妹「一週間ほど、どうにか堪えてください。その間に進めてみせます」
俺「ありがとうございます!」


29:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:33:22.04ID:8R2Hgvk+0

令嬢「……何を考えているの?」
令嬢「いつも、六時前にはここで待っているのではなくて?」イライラ
俺(こういう日に限って早起きなんだよなあ)ハァ
令嬢「抜けていたわけではないわね。五時にもいなかったもの」
俺(……ほ、本当、こういう日に限って)
俺「じ、実は他の使用人が倒れたらしくて、穴埋めに入っておりました」
俺「妹様より、許可はいただいております」
令嬢「……お前は」
俺「…………」
令嬢「お前は私の世話係なのに、妹の言うことを聞くのね」
俺(ば、バレてる!? いや、そんなはずは……)ドキッ
令嬢「早く連れて歩きなさい」
俺「はっ、はい!」


30:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:33:37.78ID:AlZfxWlg0

もう寝るわ


31:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:33:38.71ID:9IjB5ELT0

これ続きがまだなんだよな


32:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:33:40.74ID:+loN1Ku0p

J


33:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:33:54.87ID:8R2Hgvk+0

―三日後の夜―
妹「明日には父に提案できそうです」ニコニコ
俺「ありがとうございます!」
メイド「よかったですね、俺さん!」
妹「これであの腐れ女と離れられて、さぞ嬉しいことでしょう」ニマァ
俺「……あ、姉なのでしょう? そこまで言わなくても……」


34:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:34:42.18ID:8R2Hgvk+0

妹「元々嫌いだったのですよ。目が見えなくなる前から、高慢で、我が儘で」
妹「その癖に天才肌で、美人で……散々甘やかされて、人の気持ちなど考えたこともないというような、そういう女でした」
俺「は、ははは……」
妹「私も姉の尻拭いをさせられ、その上に姉と比べられ、お前はダメだとよく言われたものです」
俺「…………」
妹「そうしたら……フフッ、目が見えなくなって、あのザマで……!」
妹「ずっと何かに怯えてるみたいに、周囲の物に必死に当たり散らして、ああ、お可愛いことで」フフッ
妹「元々捻じ曲がっていた性格が、ああも悪化するなんて!」
妹「そのうち、捻じ切れてしまうかもしれませんね。なんて」


35:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:35:14.67ID:EkgNypeY0

ち、チノちゃん…!?


36:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:35:29.92ID:f7R7OKm50

谷崎やんけ


37:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:35:38.00ID:crjANZ5d0

落ちたな


38:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:35:58.78ID:8R2Hgvk+0

妹「サマエルとはよく言ったものですよ、フフ」
妹「神様が見ていたのでしょう。あの性悪から、視力を奪っていったのです」
俺「…………」
メイド「本当、苦労かけられましたよね俺さん」
メイド「先に俺さんが死んじゃうんじゃないかと、ずっとハラハラしていました」
俺「……お、俺は……」
俺「…………」
俺(情なんてないだろ……! あんな奴……!)
妹「どうしました?」
俺「お願いします……庭師の仕事、お願いします!」
妹「フフフ……」ニコニコ
俺(……本当に、よかったのか?)ギュッ


39:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:36:12.14ID:8R2Hgvk+0

盲目の令嬢「……私を待たせて、何様のつもりかしら?」イライラ
盲目の令嬢「本当に使えないわね」
俺「申し訳ございませんお嬢様」
盲目の令嬢「次からしっかり……」
俺「明日からは、別の人が世話係になりましたので」
盲目の令嬢「え……?」
俺「もう鈍くて覚えの悪い俺に苛立つこともありませんよ、よかったですね」
盲目の令嬢「え……? あ、え……?」
俺「そういうことですから……」
盲目の令嬢「あ……」ツウ
盲目の令嬢「ち、違う……これ、涙じゃなくて……あ……」



40:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:36:57.68ID:8R2Hgvk+0

俺「今日が、最後ですから……」
俺「よかったですね、お嬢様」
盲目の令嬢「……そう、そういうこと」
盲目の令嬢「やっぱり貴方も妹についたのね」
俺「……なんですか?」
俺「せ、責めたかったら、責めればいいだろ!」
俺「男の俺が世話係をするのは、不都合だし……お嬢様もせいせいするだろ!」
盲目の令嬢「…………」
俺(チッ、今日に限って大人しいのか。調子が狂う)


42:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:38:44.33ID:rZJIRBK10

久々やな


43:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:38:47.13ID:8R2Hgvk+0

父親「俺君、ご苦労。この食事が終われば、君には庭師に入ってもらう。先輩から学んでしっかりやってくれ」
妹「休憩も取れるようになりましたから、無茶はなさらないでくださいね。時間が合えば、一緒にお茶でも飲みましょう」ニコニコ
俺「はい……」
メイド「よかったですね、俺さん! これまで本当に大変そうでしたから……。妹様に感謝しましょうね!」グッ
俺「……」
盲目の令嬢「…………」ポツン
俺「……食べ終わりましたか?」
盲目の令嬢「……まだ、残ってるでしょ」
俺「……いえ、全然お食べにならなかったので。それは失礼を」


44:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:38:48.07ID:9IjB5ELT0

はよはりたまえ


46:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:40:07.85ID:8R2Hgvk+0

メイド2「次からは、私が令嬢様のお世話をさせていただきます……」ペコペコ
俺「……ああ、頼む」
俺「一通りは教えてあるが、わからないことがあったら聞いてくれ。令嬢様は目が見えないから、彼女でも把握していないことが多い」
メイド2「は、はい!」
盲目の令嬢「……」
俺「……一言くらい責めたらどうだ? 可愛げのない」
盲目の令嬢「どうでもいいもの。どうせ、すぐどこかに行くと思っていたわ。妹の手引きだったのは心外だけど」
俺「……そうか、じゃあ」
盲目の令嬢「あ、ま、待って……」ガシッ


47:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:41:01.00ID:qJztOlOx0

流れ変わったな


48:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:44:40.78ID:7+LzCOx1r

これ最後まで見たことないわ


49:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:46:27.87ID:7+LzCOx1r

落ちるぞ


50:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:47:01.84ID:8R2Hgvk+0

すまんトイレや


52:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:48:16.40ID:+36gfiEu0

>>50
逃げんな雑魚


51:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:47:17.61ID:qJztOlOx0

盲目なのにこうも自然に腕掴めるのは如何なものか


53:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:48:35.20ID:kcPXIGo80

そのうち誰かが続き書きそう


54:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:49:24.97ID:7+LzCOx1r

これ続き無いんか?


55:なんJゴッドがお送りします2021/02/06(土) 04:49:31.81ID:8R2Hgvk+0

お腹痛い
ワイはここで死ぬんか?




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