三大小学生の頃読んだ本「デルトラクエスト」「ダレンシャン」

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1:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:32:21.86ID:ixGge3Cl0

あとひとつは?


2:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:32:59.00ID:KIigufmja

なんかドラコンとかいう仮面に宝石はめるやつ


3:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:33:01.13ID:fDYdvh+ea

みんなあげちゃう


4:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:33:11.65ID:SwewFP8e0

ギネス
かいけつゾロリ
これ、な


5:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:33:17.60ID:X/eZ2pxPM

禅智内供の鼻と云えば、池の尾で知らない者はない。長さは五六寸あって上唇の上から顋の下まで下っている。形は元も先も同じように太い。云わば細長い腸詰めのような物が、ぶらりと顔のまん中からぶら下っているのである。
五十歳を越えた内供は、沙弥の昔から、内道場供奉の職に陞った今日まで、内心では始終この鼻を苦に病んで来た。勿論表面では、今でもさほど気にならないような顔をしてすましている。これは専念に当来の浄土を渇仰すべき僧侶の身で、鼻の心配をするのが悪いと思ったからばかりではない。それよりむしろ、自分で鼻を気にしていると云う事を、人に知られるのが嫌だったからである。内供は日常の談話の中に、鼻と云う語が出て来るのを何よりも惧れていた。
内供が鼻を持てあました理由は二つある。――一つは実際的に、鼻の長いのが不便だったからである。第一飯を食う時にも独りでは食えない。独りで食えば、鼻の先が鋺の中の飯へとどいてしまう。そこで内供は弟子の一人を膳の向うへ坐らせて、飯を食う間中、広さ一寸長さ二尺ばかりの板で、鼻を持上げていて貰う事にした。しかしこうして飯を食うと云う事は、持上げている弟子にとっても、持上げられている内供にとっても、決して容易な事ではない。一度この弟子の代りをした中童子が、嚏をした拍子に手がふるえて、鼻を粥の中へ落した話は、当時京都まで喧伝された。――けれどもこれは内供にとって、決して鼻を苦に病んだ重な理由ではない。内供は実にこの鼻によって傷つけられる自尊心のために苦しんだのである。
池の尾の町の者は、こう云う鼻をしている禅智内供のために、内供の俗でない事を仕合せだと云った。あの鼻では誰も妻になる女があるまいと思ったからである。中にはまた、あの鼻だから出家したのだろうと批評する者さえあった。しかし内供は、自分が僧であるために、幾分でもこの鼻に煩される事が少くなったと思っていない。内供の自尊心は、妻帯と云うような結果的な事実に左右されるためには、余りにデリケイトに出来ていたのである。そこで内供は、積極的にも消極的にも、この自尊心の毀損を恢復しようと試みた。


6:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:33:26.77ID:X/eZ2pxPM

第一に内供の考えたのは、この長い鼻を実際以上に短く見せる方法である。これは人のいない時に、鏡へ向って、いろいろな角度から顔を映しながら、熱心に工夫を凝らして見た。どうかすると、顔の位置を換えるだけでは、安心が出来なくなって、頬杖をついたり頤の先へ指をあてがったりして、根気よく鏡を覗いて見る事もあった。しかし自分でも満足するほど、鼻が短く見えた事は、これまでにただの一度もない。時によると、苦心すればするほど、かえって長く見えるような気さえした。内供は、こう云う時には、鏡を箱へしまいながら、今更のようにため息をついて、不承不承にまた元の経机へ、観音経をよみに帰るのである。
それからまた内供は、絶えず人の鼻を気にしていた。池の尾の寺は、僧供講説などのしばしば行われる寺である。寺の内には、僧坊が隙なく建て続いて、湯屋では寺の僧が日毎に湯を沸かしている。従ってここへ出入する僧俗の類も甚だ多い。内供はこう云う人々の顔を根気よく物色した。一人でも自分のような鼻のある人間を見つけて、安心がしたかったからである。だから内供の眼には、紺の水干も白の帷子もはいらない。まして柑子色の帽子や、椎鈍の法衣なぞは、見慣れているだけに、有れども無きが如くである。内供は人を見ずに、ただ、鼻を見た。――しかし鍵鼻はあっても、内供のような鼻は一つも見当らない。その見当らない事が度重なるに従って、内供の心は次第にまた不快になった。内供が人と話しながら、思わずぶらりと下っている鼻の先をつまんで見て、年甲斐もなく顔を赤らめたのは、全くこの不快に動かされての所為である。


7:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:33:34.54ID:X/eZ2pxPM

最後に、内供は、内典外典の中に、自分と同じような鼻のある人物を見出して、せめても幾分の心やりにしようとさえ思った事がある。けれども、目連や、舎利弗の鼻が長かったとは、どの経文にも書いてない。勿論竜樹や馬鳴も、人並の鼻を備えた菩薩である。内供は、震旦の話の序に蜀漢の劉玄徳の耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だったら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
内供がこう云う消極的な苦心をしながらも、一方ではまた、積極的に鼻の短くなる方法を試みた事は、わざわざここに云うまでもない。内供はこの方面でもほとんど出来るだけの事をした。烏瓜を煎じて飲んで見た事もある。鼠の尿を鼻へなすって見た事もある。しかし何をどうしても、鼻は依然として、五六寸の長さをぶらりと唇の上にぶら下げているではないか。
所がある年の秋、内供の用を兼ねて、京へ上った弟子の僧が、知己の医者から長い鼻を短くする法を教わって来た。その医者と云うのは、もと震旦から渡って来た男で、当時は長楽寺の供僧になっていたのである。
内供は、いつものように、鼻などは気にかけないと云う風をして、わざとその法もすぐにやって見ようとは云わずにいた。そうして一方では、気軽な口調で、食事の度毎に、弟子の手数をかけるのが、心苦しいと云うような事を云った。内心では勿論弟子の僧が、自分を説伏せて、この法を試みさせるのを待っていたのである。弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそう云う策略をとる心もちの方が、より強くこの弟子の僧の同情を動かしたのであろう。弟子の僧は、内供の予期通り、口を極めて、この法を試みる事を勧め出した。そうして、内供自身もまた、その予期通り、結局この熱心な勧告に聴従する事になった。


8:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:33:42.30ID:X/eZ2pxPM

その法と云うのは、ただ、湯で鼻を茹でて、その鼻を人に踏ませると云う、極めて簡単なものであった。
湯は寺の湯屋で、毎日沸かしている。そこで弟子の僧は、指も入れられないような熱い湯を、すぐに提に入れて、湯屋から汲んで来た。しかしじかにこの提へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷する惧がある。そこで折敷へ穴をあけて、それを提の蓋にして、その穴から鼻を湯の中へ入れる事にした。鼻だけはこの熱い湯の中へ浸しても、少しも熱くないのである。しばらくすると弟子の僧が云った。
――もう茹った時分でござろう。


9:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:34:00.35ID:X/eZ2pxPM

と云った。
内供はやはり、八の字をよせたまま不服らしい顔をして、弟子の僧の云うなりになっていた。
さて二度目に茹でた鼻を出して見ると、成程、いつになく短くなっている。これではあたりまえの鍵鼻と大した変りはない。内供はその短くなった鼻を撫でながら、弟子の僧の出してくれる鏡を、極りが悪るそうにおずおず覗いて見た。
鼻は――あの顋の下まで下っていた鼻は、ほとんど嘘のように萎縮して、今は僅に上唇の上で意気地なく残喘を保っている。所々まだらに赤くなっているのは、恐らく踏まれた時の痕であろう。こうなれば、もう誰も哂うものはないにちがいない。――鏡の中にある内供の顔は、鏡の外にある内供の顔を見て、満足そうに眼をしばたたいた。
しかし、その日はまだ一日、鼻がまた長くなりはしないかと云う不安があった。そこで内供は誦経する時にも、食事をする時にも、暇さえあれば手を出して、そっと鼻の先にさわって見た。が、鼻は行儀よく唇の上に納まっているだけで、格別それより下へぶら下って来る景色もない。それから一晩寝てあくる日早く眼がさめると内供はまず、第一に、自分の鼻を撫でて見た。鼻は依然として短い。内供はそこで、幾年にもなく、法華経書写の功を積んだ時のような、のびのびした気分になった。
所が二三日たつ中に、内供は意外な事実を発見した。それは折から、用事があって、池の尾の寺を訪れた侍が、前よりも一層可笑しそうな顔をして、話も碌々せずに、じろじろ内供の鼻ばかり眺めていた事である。それのみならず、かつて、内供の鼻を粥の中へ落した事のある中童子なぞは、講堂の外で内供と行きちがった時に、始めは、下を向いて可笑しさをこらえていたが、とうとうこらえ兼ねたと見えて、一度にふっと吹き出してしまった。用を云いつかった下法師たちが、面と向っている間だけは、慎んで聞いていても、内供が後さえ向けば、すぐにくすくす笑い出したのは、一度や二度の事ではない。


10:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:34:11.06ID:X/eZ2pxPM

内供ははじめ、これを自分の顔がわりがしたせいだと解釈した。しかしどうもこの解釈だけでは十分に説明がつかないようである。――勿論、中童子や下法師が哂う原因は、そこにあるのにちがいない。けれども同じ哂うにしても、鼻の長かった昔とは、哂うのにどことなく容子がちがう。見慣れた長い鼻より、見慣れない短い鼻の方が滑稽に見えると云えば、それまでである。が、そこにはまだ何かあるらしい。
――前にはあのようにつけつけとは哂わなんだて。
内供は、誦しかけた経文をやめて、禿げ頭を傾けながら、時々こう呟く事があった。愛すべき内供は、そう云う時になると、必ずぼんやり、傍にかけた普賢の画像を眺めながら、鼻の長かった四五日前の事を憶い出して、「今はむげにいやしくなりさがれる人の、さかえたる昔をしのぶがごとく」ふさぎこんでしまうのである。――内供には、遺憾ながらこの問に答を与える明が欠けていた。
――人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥れて見たいような気にさえなる。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。――内供が、理由を知らないながらも、何となく不快に思ったのは、池の尾の僧俗の態度に、この傍観者の利己主義をそれとなく感づいたからにほかならない。


11:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:34:19.56ID:X/eZ2pxPM

そこで内供は日毎に機嫌が悪くなった。二言目には、誰でも意地悪く叱りつける。しまいには鼻の療治をしたあの弟子の僧でさえ、「内供は法慳貪の罪を受けられるぞ」と陰口をきくほどになった。殊に内供を怒らせたのは、例の悪戯な中童子である。ある日、けたたましく犬の吠える声がするので、内供が何気なく外へ出て見ると、中童子は、二尺ばかりの木の片をふりまわして、毛の長い、痩せた尨犬を逐いまわしている。それもただ、逐いまわしているのではない。「鼻を打たれまい。それ、鼻を打たれまい」と囃しながら、逐いまわしているのである。内供は、中童子の手からその木の片をひったくって、したたかその顔を打った。木の片は以前の鼻持上げの木だったのである。
内供はなまじいに、鼻の短くなったのが、かえって恨めしくなった。
するとある夜の事である。日が暮れてから急に風が出たと見えて、塔の風鐸の鳴る音が、うるさいほど枕に通って来た。その上、寒さもめっきり加わったので、老年の内供は寝つこうとしても寝つかれない。そこで床の中でまじまじしていると、ふと鼻がいつになく、むず痒いのに気がついた。手をあてて見ると少し水気が来たようにむくんでいる。どうやらそこだけ、熱さえもあるらしい。
――無理に短うしたで、病が起ったのかも知れぬ。
内供は、仏前に香花を供えるような恭しい手つきで、鼻を抑えながら、こう呟いた。
翌朝、内供がいつものように早く眼をさまして見ると、寺内の銀杏や橡が一晩の中に葉を落したので、庭は黄金を敷いたように明るい。塔の屋根には霜が下りているせいであろう。まだうすい朝日に、九輪がまばゆく光っている。禅智内供は、蔀を上げた縁に立って、深く息をすいこんだ。
ほとんど、忘れようとしていたある感覚が、再び内供に帰って来たのはこの時である。
内供は慌てて鼻へ手をやった。手にさわるものは、昨夜の短い鼻ではない。上唇の上から顋の下まで、五六寸あまりもぶら下っている、昔の長い鼻である。内供は鼻が一夜の中に、また元の通り長くなったのを知った。そうしてそれと同時に、鼻が短くなった時と同じような、はればれした心もちが、どこからともなく帰って来るのを感じた。
――こうなれば、もう誰も哂うものはないにちがいない。
内供は心の中でこう自分に囁いた。長い鼻をあけ方の秋風にぶらつかせながら。
(大正五年一月


12:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:34:21.61ID:PciB4i9K0

おしいれのぼうけん


13:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:34:40.21ID:PciB4i9K0

怪談レストラン


14:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:35:05.25ID:epOXfICna

エルマーの大冒険な


15:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:35:09.99ID:XzNwVWBm0

ワイの世代ならハリポタ



16:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:35:14.20ID:aiuRrj2p0

ナルニア


17:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:35:17.66ID:PciB4i9K0

青い装丁のホラー文庫


18:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:35:21.50ID:ggEwHmDpp

学研の秘密シリーズ


19:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:35:43.95ID:UopHsSLC0

デルトラクエストの表紙のワクワク感ヤバイよな


20:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:35:56.04ID:+CIu/51Q0

少年探偵団のやつ


21:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:35:59.86ID:XzNwVWBm0

陰キャはダレンシャン読んで陽キャはハリポタ読んでたイメージあるわ


22:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:36:01.07ID:f5IyAZnGa

おとなにはないしょだよシリーズ


23:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:36:11.22ID:qScXPoF60

春琴、ほんとうの名は鵙屋琴もずやこと、大阪道修町どしょうまちの薬種商の生れで歿年ぼつねんは明治十九年十月十四日、墓は市内下寺町の浄土宗じょうどしゅうの某寺ぼうじにある。せんだって通りかかりにお墓参りをする気になり立たち寄よって案内を乞こうと「鵙屋さんの墓所はこちらでございます」といって寺男が本堂のうしろの方へ連れて行った。見るとひと叢むらの椿つばきの木かげに鵙屋家代々の墓が数基ならんでいるのであったが琴女の墓らしいものはそのあたりには見あたらなかった。むかし鵙屋家の娘むすめにしかじかの人があったはずですがその人のはというとしばらく考えていて「それならあれにありますのがそれかも分りませぬ」と東側の急な坂路になっている段々の上へ連れて行く。知っての通り下寺町の東側のうしろには生国魂いくたま神社のある高台が聳そびえているので今いう急な坂路は寺の境内けいだいからその高台へつづく斜面しゃめんなのであるが、そこは大阪にはちょっと珍めずらしい樹木の繁しげった場所であって琴女の墓はその斜面の中腹を平らにしたささやかな空地あきちに建っていた。


24:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:36:29.78ID:XzNwVWBm0

ズッコケ三人組


25:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:36:53.50ID:PciB4i9K0

三姉妹探偵団


26:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:37:03.13ID:86gWCbPMa

二分間の冒険


27:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:37:06.75ID:PciB4i9K0

夢水清志郎事件ノート


28:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:37:33.27ID:PapYnMFfM

隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山、かく略に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら詩作に耽った。
下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て進士に登第した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。
数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。
一方、これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。
彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。


29:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:37:37.09ID:PpgwEeGu0

ハリーポッター



30:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:37:42.18ID:PapYnMFfM

翌年、監察御史、陳郡の袁さんという者、勅命を奉じて嶺南に使し、途に商於の地に宿った。次の朝未だ暗い中に出発しようとしたところ、駅吏が言うことに、これから先の道に人喰虎が出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、今少し待たれたが宜しいでしょうと。
袁さんは、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥けて、出発した。残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎が叢の中から躍り出た。虎は、あわや袁さんに躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。
叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。その声に袁さんは聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁さんは李徴と同年に進士の第に登り、友人の少かった李徴にとっては、最も親しい友であった。温和な袁さんの性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。
叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。
袁さんは恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懐かしげに久闊を叙した。そして、何故叢から出て来ないのかと問うた。李徴の声が答えて言う。自分は今や異類の身となっている。
どうして、おめおめと故人の前にあさましい姿をさらせようか。かつ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。しかし、今、図らずも故人に遇うことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懐かしい。どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜悪な今の外形を厭わず、曾て君の友李徴であったこの自分と話を交してくれないだろうか。


32:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:37:45.88ID:Jf4KUVS80

屍鬼


33:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:37:50.29ID:PapYnMFfM

後で考えれば不思議だったが、その時、袁さんは、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。都の噂、旧友の消息、袁さんが現在の地位、それに対する李徴の祝辞。青年時代に親しかった者同志の、あの隔てのない語調で、それ等が語られた後、袁さんは、李徴がどうして今の身となるに至ったかを訊ねた。草中の声は次のように語った。


34:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:37:57.97ID:zWK2o1Xa0

グレッグのダメ日記やぞ


35:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:00.28ID:PapYnMFfM

今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと眼を覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中から頻りに自分を招く。覚えず、自分は声を追うて走り出した。無我夢中で駈けて行く中に、何時しか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地を攫んで走っていた。
何か身体中に力が充ち満ちたような感じで、軽々と岩石を跳び越えて行った。気が付くと、手先や肱のあたりに毛を生じているらしい。少し明るくなってから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となっていた。自分は初め眼を信じなかった。
次に、これは夢に違いないと考えた。夢の中で、これは夢だぞと知っているような夢を、自分はそれまでに見たことがあったから。どうしても夢でないと悟らねばならなかった時、自分は茫然とした。そうして懼れた。全く、どんな事でも起り得るのだと思うて、深く懼れた。
しかし、何故こんな事になったのだろう。分らぬ。全く何事も我々には判らぬ。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。自分は直ぐに死を想うた。しかし、その時、眼の前を一匹の兎が駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の人間は忽ち姿を消した。再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分の口は兎の血に塗れ、あたりには兎の毛が散らばっていた。
これが虎としての最初の経験であった。それ以来今までにどんな所行をし続けて来たか、それは到底語るに忍びない。


36:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:00.17

『IQ探偵ムー』と『IQ探偵タクト』


37:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:03.89ID:Ktpf50qe0

星新一シリーズ、


38:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:10.27ID:PapYnMFfM

ただ、一日の中に必ず数時間は、人間の心が還って来る。そういう時には、曾ての日と同じく、人語も操れれば、複雑な思考にも堪え得るし、経書の章句を誦んずることも出来る。その人間の心で、虎としての己の残虐な行のあとを見、己の運命をふりかえる時が、最も情なく、恐しく、憤ろしい。
しかし、その、人間にかえる数時間も、日を経るに従って次第に短くなって行く。今までは、どうして虎などになったかと怪しんでいたのに、この間ひょいと気が付いて見たら、己はどうして以前、人間だったのかと考えていた。これは恐しいことだ。今少し経てば、己の中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり埋れて消えて了うだろう。
ちょうど、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋没するように。そうすれば、しまいに己は自分の過去を忘れ果て、一匹の虎として狂い廻り、今日のように途で君と出会っても故人と認めることなく、君を裂き喰うて何の悔も感じないだろう。一体、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。
初めはそれを憶えているが、次第に忘れて了い、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか? いや、そんな事はどうでもいい。己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわせになれるだろう。だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。
ああ、全く、どんなに、恐しく、哀しく、切なく思っているだろう! 己が人間だった記憶のなくなることを。この気持は誰にも分らない。誰にも分らない。己と同じ身の上に成った者でなければ。
ところで、そうだ。己がすっかり人間でなくなって了う前に、一つ頼んで置きたいことがある。


40:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:29.18ID:IFrgGiC90

マジックツリーハウス


41:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:40.28ID:PapYnMFfM

時に、残月、光冷やかに、白露は地に滋く、樹間を渡る冷風は既に暁の近きを告げていた。人々は最早、事の奇異を忘れ、粛然として、この詩人の薄倖を嘆じた。李徴の声は再び続ける。


42:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:45.21ID:KVNMzRv80

ミッケ


46:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:39:21.98ID:IFrgGiC90

>>42
読んだというよりみんなで開いて大騒ぎした感じやな


43:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:48.82ID:PapYnMFfM

何故こんな運命になったか判らぬと、先刻は言ったが、しかし、考えように依れば、思い当ることが全然ないでもない。人間であった時、己は努めて人との交を避けた。人々は己を倨傲だ、尊大だといった。実は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかった。勿論、曾ての郷党の鬼才といわれた自分に、自尊心が無かったとは云わない。
しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。
共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所為である。己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。
己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。


44:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:38:58.05ID:PapYnMFfM

己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。己よりも遥かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる詩家となった者が幾らでもいるのだ。虎と成り果てた今、己は漸くそれに気が付いた。
それを思うと、己は今も胸を灼かれるような悔を感じる。己には最早人間としての生活は出来ない。たとえ、今、己が頭の中で、どんな優れた詩を作ったにしたところで、どういう手段で発表できよう。
まして、己の頭は日毎に虎に近づいて行く。どうすればいいのだ。己の空費された過去は? 己は堪らなくなる。そういう時、己は、向うの山の頂の巖に上り、空谷に向って吼える。この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。己は昨夕も、彼処で月に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。
しかし、獣どもは己の声を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。山も樹も月も露も、一匹の虎が怒り狂って、哮っているとしか考えない。天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己の気持を分ってくれる者はない。
ちょうど、人間だった頃、己の傷つき易い内心を誰も理解してくれなかったように。己の毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。



45:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:39:14.40ID:PapYnMFfM

漸く四辺の暗さが薄らいで来た。木の間を伝って、何処からか、暁角が哀しげに響き始めた。
最早、別れを告げねばならぬ。酔わねばならぬ時が、(虎に還らねばならぬ時が)近づいたから、と、李徴の声が言った。だが、お別れする前にもう一つ頼みがある。
それは我が妻子のことだ。彼等は未だかく略にいる。固より、己の運命に就いては知る筈がない。君が南から帰ったら、己は既に死んだと彼等に告げて貰えないだろうか。決して今日のことだけは明かさないで欲しい。
厚かましいお願だが、彼等の孤弱を憐れんで、今後とも道塗に飢凍することのないように計らって戴けるならば、自分にとって、恩倖、これに過ぎたるは莫い。
言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁もまた涙を泛べ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。
本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己が人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。
そうして、附加えて言うことに、袁さんが嶺南からの帰途には決してこの途を通らないで欲しい、その時には自分が酔っていて故人を認めずに襲いかかるかも知れないから。又、今別れてから、前方百歩の所にある、あの丘に上ったら、此方を振りかえって見て貰いたい。自分は今の姿をもう一度お目に掛けよう。勇に誇ろうとしてではない。我が醜悪な姿を示して、以て、再び此処を過ぎて自分に会おうとの気持を君に起させない為であると。
袁さんは叢に向って、懇ろに別れの言葉を述べ、馬に上った。叢の中からは、又、堪え得ざるが如き悲泣の声が洩れた。袁さんも幾度か叢を振返りながら、涙の中に出発した。
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。

おしまい


47:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:39:31.57ID:86gWCbPMa

ぼくは王さま


50:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:40:51.51ID:JYo07cMO0

バーティミアス


51:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:41:12.37ID:dUo0GgRo0

はだしのゲン


52:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:42:01.31ID:G8HlyifYM

三毛猫ホームズ


53:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:42:18.31ID:86gWCbPMa

ブレイブストーリー


54:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:43:40.88ID:cG7M2ajqd

黒魔女さんが通るやぞ


55:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:43:42.87ID:cfEzAmL80

でかいけつゾロリ


56:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:43:56.23ID:JcWABzM20

日本の歴史、漫画のやつ


57:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:44:47.26ID:Y2Ejj4Vhp

〇〇のひみつシリーズ
こまったさんシリーズすき


58:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:45:44.07ID:IFrgGiC90

漫画サイエンスに性癖歪められた民おらんのか


60:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:46:40.85ID:N2D94oKnp

鼻書き込んでるやつはなんやねん


61:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:46:49.70ID:Boyldwdw0

おいおいマジでキッズだらけかよ里見八犬伝やろ…


62:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:46:54.23ID:sgdtrAKk0

ミッケ はいつも陽キャが借りてて全く読めんかったわ
あの頃から陰の才能あったなワイは



64:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:48:41.87ID:86gWCbPMa

自由自在


65:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:48:41.97ID:Ls2dS74k0

ガンバと仲間たち


66:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:49:10.45ID:Uh1YDzzc0

ダレンシャンは名作
クレプスリー死ぬとこで泣いた


67:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:49:10.49ID:IFrgGiC90

南総里見八犬伝も性癖ゆがむ


68:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:49:28.33ID:zPgandfk0

タイトル忘れたけどシンパパ探偵がいろんなオカルト事件暴いてくやつ


74:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:51:46.75ID:zZSl7RZSa

>>68
名探偵シリーズか?


69:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:49:58.30ID:8MT3brlC0

フライドチキン小学校なんだよなぁ


70:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:50:13.85ID:bdxNFXand

火の鳥
ドラえもん
はだしのゲン


71:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:50:20.16ID:zZSl7RZSa

ルーンの子供たちはテイルズウィーバーの原作や
厳密には4LEAFってのがさらに先にくるらしいが


73:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:51:33.83ID:fdhV7crEM

ダレンシャンめちゃくちゃ好きやったけど周り誰も読んでなかったどころか知ってる人すらいなかったわ
デルトラ・クエストは表紙のデカガエルに惹かれて借りるけど読まないやつやろ


75:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:52:04.03ID:EU0u159Gr

ドラゴンラージャ


76:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:52:09.32ID:WbqQpnSB0

たんたのたんけん
たんたのたんてい


78:なんJゴッドがお送りします2020/11/02(月) 23:52:21.89ID:5DHoTSwL0

はれときどき豚




元スレ:https://swallow.5ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1604327541/
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