ワイが中学時代ホモになりかけてた話聞きたいか？

アイツにはじめて出会った時の記憶は曖昧や。
たぶん部活の顔合わせの時だったと思う。
片田舎の小さな野球部。
一年から三年まで全員合わせて、ギリギリ試合に出れるかどうか。
そんな同好会じみた規模の野球部だった。

グラウンドの脇には古いプレハブ小屋が並んでいて、各運動部にはその中のひとつが部室としてあてがわれていた。
土埃のひどい小屋で、車座になって新入部員が自己紹介を行っていく。

まだ中学一年。
声変わりが来ていない者が大半だった。
その中に。
あどけなさの濃い顔ぶれの中に、ひとりやたら小さなやつが混じっていた。
それがアイツだった。

アイツの容姿を一言で形容するなら、カワイイがふさわしい。
しかし美少年とか、ジャニ系とか、そういった言葉が象徴するような中性的なカワイさではない。

はら

小動物のような愛くるしさ。
身長は150センチ程度で、男子としてもかなり小さい部類に入る。
性愛の対象とはかけ離れた、愛玩動物じみた雰囲気をまとっていた。

腐女は消えろ

部活も一緒で、クラスも一緒。
仲良くなるのにそう時間はかからなかった。
当時はモンハンの最盛期で、誰もがPSPを持っていた。
当然ワイもアイツも。
放課後、部活のない日はよくアイツの家で狩りにはげんだものだった。

アイツの家は学校から近い。
半ばたまり場のようになっていて、他の友人もよくアイツの部屋に集まって遊んでいた。
ゲーム、カード、バスケ…
いろんな事をして遊んだ。

そんな風に過ごす中で、転機が訪れた。
忘れもしない二年の夏。
ちょっとしたイタズラのつもりだった。

続けて?

うほ

ほう

毛ぶからだ

ワイも高校生の時金欲しさにケツ貸してたら無事エイズになったわ

うまく言えないが、下系の話題を出すのが半ばタブー化したグループというのも結構な割合で存在していた。
この辺は女には理解できない部分だろう。

男なんて集まれば下ネタやろ

閑話休題。
ワイやアイツのグループでは、そういった下ネタはほとんど交わされることはなかった。
だからワイは他人の性事情というものを知る機会はまるでなかったわけだが…

不思議な感覚だった。
征服欲というか、独占欲というか。
ひとりの少年の精通に、間接的にだが関わったという事実。
胸に熱く白い情動が満ちた。

それから。
アイツを見る目が変わってしまった。
ただの友人。
そう言い聞かせても、心の奥がどうしようもなく変質してしまっていた。

ほほう

はじめにボディタッチが増えた。
デブってるやつを何秒持ち上げることができるか、みたいな遊びが当時流行っていた。
そのノリで、冗談めかしてアイツを抱きしめた。

後ろから、腰に手を回して。
背を反るようにして抱きかかえる。
周囲からはただじゃれ合っているように見えただろう。

しかしワイは邪な気持ちを抱いてしまっている。
穢れている。
これは友情への裏切りなのではないか?
そんな背徳感が、ますますワイを燃え上がらせた。

お

はじめてアイツをオカズに、シコってしまった。

菊地真クンみたいな美少年ちゃうんか

それからはどこか吹っ切れたようになった。
すがすがしい気分だった。
同性であるということを免罪符に、セクハラまがいの行為を繰り返す。
完全に調子に乗っていた。
だから気づかなかった。

人には持って生まれた分があるのだと。
高く飛び過ぎて翼を焼かれたイカロスのように。
身の丈を超えた欲望は人を破滅に導く。
舞い上がって、どこまでも行為はエスカレートしていき。
そして。
決定的な出来事は、起こるべくして起こった。

遅筆やねん

これもしかして村上春樹が書き込んでるんか?

さすがに身体接触が増えすぎたのか、アイツは俺に触れられるのを嫌がるようになっていた。
当然のことだ。
いくら同性であろうと、あまりベタベタされるのは薄気味悪い。

ワイの中学時代と重なるわ

遅いねん

落ちるぞこれ

こんなすぐに落ちる板でやるなよ

消えろよゴミ

ほし