御坂「……?(誰よアイツ……見ない顔ね……)」

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1:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:34:32.50ID:CKHGdVfVa

(学園都市 とある公園)
??「いやー、ここが学園都市か。やっと着いたぜ」
自動販売機(バチッ!、ジーガー…、ゴトン)
??「ってーと、とりあえずどこ行きゃいいのかね…お?なんか新年早々自販機にケリ入れてる人が…」
御坂「…」
??「あの人は確か…。おーい!!」
御坂「…?(誰よアイツ…見ない顔ね…)」


2:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:34:41.48ID:CKHGdVfVa

??「いやいや、そこにいらっしゃるのは学園三位の能力者、(超電磁砲:レールガン)こと御坂美琴さんではないでしょうか?」
御坂「だったら何よ…サインならお断りよ」
??「いやいや、おれも運がいい。学園に来ていきなり会えるとはねえ…」
御坂「(何よ、ファンか何か?シカトするに限るわね…こういうのは)」
??「いやどうも、おれは詠矢…詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)ってもんだよろしくなー」
御坂「(はいはい無視無視。相手するとロクな事無いわ)」


3:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:34:49.63ID:CKHGdVfVa

詠矢「あ、おいおい、どこ行くんだ!(って…会えたはいいがどうするかね…あ、そうだ!)…ちょいと御坂さん」
御坂「…」
詠矢「それ犯罪だろ?」
御坂「…」
詠矢「電流を操作して自動販売機を誤作動させ、金を払わずに商品を手に入れる。普通に窃盗だよな?」
御坂「…」
詠矢「いいのかねえ、学園第三位の能力者とあろう人が、小銭ケチって窃盗なんて」
御坂「…」
詠矢「あんたは強くて、その振る舞いを周囲が容認してるのかも知れないが、こう公然と…」
御坂「うっさいわねぇ!!どうせもいいでしょそんな事!」


4:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:34:56.79ID:RWSU6N0M0

立てたからには最後までやれよ


5:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:34:58.87ID:CKHGdVfVa

詠矢「いや、よくないっしょ。刑法的に」
御坂「だいたい、アンタに何の関係があるのよ!!」
詠矢「俺が関係してようがいまいが、それが犯罪であることは事実」
御坂「(ビキッ…)何よ、喧嘩売ってるワケ?(バチッ)」
詠矢「…まあ、そんな感じかな」
御坂「…いい度胸ねぇ…。じゃあ、お望み通り私の電撃で躍らせてあげるわ(バチッ)」
詠矢「ちょちょ!ちょっと待って!」
御坂「何よ!今更逃げれるとでも思ってんの!?」


6:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:35:08.11ID:CKHGdVfVa

詠矢「いや、違う。ちょっと離れただけ。5メートルも有れば十分かな」
御坂「?何言ってんの?私の能力知らないの?」
詠矢「いや、知ってる知ってる。ちゃんと調べてきた。超強力な発電能力だよな?」
御坂「知ってるなら、無駄だってわからない?…もういいわ、死んでなさい!!(バチバチッ)」」
詠矢「大丈夫、空気は絶縁体だ。ここまでは届かない」
御坂「…?(あれ、おかしい、電撃が飛ばない)」
詠矢「ごく近い距離なら、空気中でも放電現象が起こる場合は有るけど、これぐらい離れてればまず大丈夫」
御坂「…!?(あれ、あれ、何度やっても飛ばない!!…電気はちゃんと起きてるのに!)」
詠矢「(お、効果アリ…かな?)」


7:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:35:17.62ID:CKHGdVfVa

御坂「…アンタ…なんかやったわね…」
詠矢「多分…ね」
御坂「能力…者…」
詠矢「そうなるかな」
御坂「…なんか、アンタ嫌な雰囲気ね。その軽口、後悔させてあげるわ!!…!!(最大級の電撃を!)」
詠矢「お…電圧を上げてるのかな?それはいい判断だ。空気の絶縁限界を超える約300万V/mが有れば空気中でも電子雪崩が起こって雷を起こすことが出来る。但し!!」
御坂「さっきからゴチャゴチャうるさいわね!!でも…これでっ!!(バチッ!…バリバリ!)
詠矢「空気中に放電された電気は、一番近くにある電気抵抗の少ない物質に向かって流れる。この状況では、恐らく…」
自動販売機「(バチッ!!…ガガ…。プツン)」
御坂「えっ!?電撃が…」


8:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:35:27.45ID:CKHGdVfVa

詠矢「窃盗に器物破損が追加…か」
御坂「なによ…これ…どういうこと!?アンタ何したのよ!!」
詠矢「いや…もういいんだ、十分使えることわかったし」
御坂「はあ?」
詠矢「ご協力ありがとうございました。そんじゃまた」
御坂「ちょっと、アンタみたいな得体のしれない奴、このまま逃がすとでも思ってんの?」
詠矢「あ、いやいや、ゴメンゴメン。怒らせたのは謝るからさ…」
御坂「うるさいっ!!電撃が飛ばないならこれよ!!(チャキ)」
詠矢「おっと、そのコインはレールガンですな!。えーっと、どうだっけかな(ポチポチ)」
御坂「…ナニ携帯なんか見てるのよ…」


9:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:35:37.01ID:CKHGdVfVa

詠矢「いや、うろ覚えなもんで…。と、電気伝導体の二本のレールの間にこれまた伝道物質を配置し、回路を形成して荷電することよってローレンツ力を発生させて打ち出す…。てことは…レールはどこにあるんだ?」
御坂「はい?レール?」
詠矢「うん。安定した加速を行う為には、かなり長いレールが必要となる。コインは恐らく鉄をクロムメッキしたものだろうから弾丸としては使えるけど、砲身が無いのが問題だな」
御坂「…空気中の物質をプラズマ化して、加速レールとする…簡単な話よ」
詠矢「…え?空気をプラズマ化…いや、それなら伝導体にはなるけど飛散しちゃうし、空中に固定する方法がないと…」
御坂「関係ないわよ。今までだってそうやって来たし、何も問題ないわ」
詠矢「(ヤベ、居直った。もしかしてヤバイ?)。いや、だからですね…原理が…」
御坂「うるさいっ!!死っねえええええぇぇ!!(ビシュゥゥゥゥ…ン!!!)」


10:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:35:46.52ID:CKHGdVfVa

詠矢「どおうわっ!!ヤバイヤバイ、ヤバイってマジで!」
御坂「へえ…上手く避けたわね…(さすがに威力は落としたけど、ホントに上手く避けた…)」
詠矢「(撃ちやがった…。論証が弱かったか?。ってーと、別の切り口が必要だな…)」
御坂「…さあて、アンタの能力、詳しく聞かせてもらいましょうか?それとも…消し炭になりたい?(チャキ)」
詠矢「そういやあ、そろそろ昼時だけど…御坂サン、腹減ってないか?」
御坂「…あんたバカじゃないの?何の関係があるのよそんなこと!!」
詠矢「御坂サンが発電を行っているとして、電気を発生させてるのは体細胞だ。だとすれば、発電のために大量のエネルギーが必要になる。細胞活動のエネルギーは糖。血中の糖だ。空腹時は危険だぞ…」
御坂「…(あれ?なんか、体が…)」


11:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:35:55.47ID:CKHGdVfVa

詠矢「急激な血糖値の低下は発作を引き起こす。具体的な症状としては、大量の冷や汗、動悸、振戦、譫妄!!」
御坂「(冷や汗が止まらない…、何で急に…た、立ってられない!)(ガクッ)」
詠矢「いや、いろいろゴメン。えーっと…さっき盗ってたジュース、あ、あったあった。『黒豆サイダー』?。ま、糖度高そうだからこれ飲めば多分回復するよ」
御坂「ちょ…っと…待ちなさ…」
詠矢「んじゃ、失礼しまっす」


12:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:36:18.41ID:CKHGdVfVa

白井「お姉さま!!お姉さま!!」
御坂「く…黒子…っ…」
白井「どうなさいましたの!?真っ青ですわよ!!」
御坂「ちょっと…それ…取って…」
白井「(缶ジュース?)は、はい、こちらですの?」
御坂「(プシッ)…(ゴクゴク)」
白井「…(ハラハラ)」
御坂「…ふう、ちょっと落ち着いた…」
白井「どうなされましたの?」
御坂「なんか変な奴に合って…、最初は追っ払ってやろうと思ったんだけど…」
白井「ま、まさか…お姉さまを退けたと?」


13:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:36:29.67ID:CKHGdVfVa

御坂「いや、そうじゃないんだけど…。なんかゴチャゴチャうるさい奴でさ、話聞いてるとなんか調子出なくって」
白井「少なくとも、お姉さまから逃げおおせたのは確かなようですわね。何かの能力者…ですの?」
御坂「そうみたい…。はぐらかして、詳しくは分からなかったけど…」
白井「それは見過ごせませんわね…。黒子がたまたま通りかかったからよかったものの…」
御坂「なんか、ヤな感じの奴だったわね。強さは感じないんだけど…なんていうか、掴みどころの無い感じ…」
白井「これは、ジャッジメントとして対応する必要がありますわね。お姉さま、相手の特徴は覚えていらして?」
御坂「うん、それは覚えてる…。黒縁メガネで、眉毛が太くて…」
白井「支部で詳しくお聞きします。移動しましょう」


14:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:36:39.37ID:CKHGdVfVa

(ジャッジメント177支部)
初春「(ヨメヤ ソラキ)ですか…。在学者の名簿にはありませんね…(カタカタ)」
白井「しかし、自分から名前を名乗るとは大胆なお方ですわね」
御坂「聞いてもいないのに勝手に名乗ったのよね…。背格好からして、多分高校生ぐらいかなあ…」
初春「ダメです。中等部、高等部含めて検索しましたけどヒットしませんね」
白井「能力者なら、学園のバンクに登録があるはずですのに…まさか偽名?」
御坂「偽名なら、もっと普通の名前にするでしょうし…あ…そういえば」
白井「何か思い出されまして?」


15:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:36:48.76ID:CKHGdVfVa

御坂「学園に来ていきなりアタシに会ったって言ってた…もしかして…」
白井「学園都市に初めて来たと…初春!転入者名簿ですわ!」
初春「はい!!(カタカタ)あ、ありました!(詠矢空希 高等部1年)2日前に転入届が受理されたばかりです。また正式に生徒名簿には登録されてなかったみたいですね」
御坂「やっぱり高校生か。えーっとなになに…レベル0、無能力者。ただし学園での正式な測定は未実施…」
白井「外部での簡易検査では、能力は検出されなかったようですわね…」
御坂「なーんか、ますますよくわかんないわね」
白井「なんにせよ、お姉さまに危害を加えたことは事実。捨て置けませんわ…居場所さえ分かれば…」
初春「…あの…」
白井「何ですの?」



17:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:37:42.13ID:RWSU6N0M0

あくしろよボケ
先はなげーんだよカス


18:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:37:50.83ID:CKHGdVfVa

初春「転入者名簿に顔写真があります。これを監視カメラの記録と照合すれば…」
白井「足取りが分かりますわ!流石ですわね初春」
初春「はい!ありがとうございます!では早速(カタカタ)、第7学区の、170号カメラの記録と照合できますね…5分前のログです」
白井「そこなら、ここのすぐ近くですわね…。私なら一瞬ですわ」
御坂「じゃあ、アタシも一緒に行くわ。このままじゃ気が済まないし!…って…と…(グラッ)」
白井「いけません!お姉さまはまだ本調子ではありませんわ。ここは黒子が…その殿方をひっ捕らえて、お姉さまの前に引き出して差し上げますわ!」
初春「それに、これはジャッジメントとしてのお仕事でもありますから、御坂さんはどうか休んでて下さい」
御坂「…わかった、今回ばかりはおとなしくしといたほうがよさそうね…」
白井「どうかご自愛下さいませ。では初春、正確な位置をお願いしますわ!」
初春「はい!」


19:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:37:59.33ID:CKHGdVfVa

(第7学区 路地裏)
店主「はーい、かけそばお待ちどう!」
詠矢「うーい、どうもー。(これからいろいろ物入りだろうし、節約しとかないとなあ)(ズルズル)」
詠矢「(しかしかけそば一杯じゃ腹膨れねえなあ、おにぎり食っちまうかなあ)(ズルズル)」
詠矢「(でもおにぎりまで買っちゃうと牛丼の方が安いんだよなあ)(ズルズル)」
詠矢「(腹減ってたから勢いで入っちまったけど、やっぱ牛丼屋探せばよかったかなあ)(ズルズル)」
詠矢「ごちそうーさまー」
店主「あい、まいどー」
詠矢「さて…転居申請だっけか。どこ行きゃいいのかな(ポチポチ)」
白井「ちょっと、そこのお方…」


20:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:38:11.52ID:CKHGdVfVa

詠矢「あ、はい?俺のことっすか?」
白井「詠矢空希…ご本人に間違いございませんこと?」
詠矢「ええ、まあ…間違いございませんが…どちらさん?(お、結構かわいいじゃねえの。中学生ぐらいかね…)」
白井「ジャッジメントですの!!(ビシッ)」
詠矢「ジャッジメント…えーっと、確か、学園内の治安維持に努める学生で構成された組織…だったかな」
白井「お分かりなら話は早い…。ジャッジメントの権限にてあなたを拘束します!」
詠矢「でーっ!!て、なんですかいきなり容疑者ですか!(流石にいろいろマズかったかな、さっきのは…)」
白井「あなたにはいろいろとお伺いしたいことがあります。素直に同行して頂けませんか?」
詠矢「…」
白井「…お答えなさい!」
詠矢「…俺の容疑は?」
白井「は?」


21:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:38:14.24ID:JspRh9XC0

なんUでやれ


44:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:41:33.68ID:AtQCow3Z0

>>21
とりあえず、今の段階では『やだね』だ


22:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:38:19.76ID:CKHGdVfVa

詠矢「俺が拘束されるのは何の容疑だって聞いてるんだよ」
白井「…いえ、まだ罪状が確定したわけではありませんが…」
詠矢「容疑者じゃなけりゃ、任意同行にすらならねえだろう。不審者への職質レベルなら、従う必要はねえよな…」
白井「いえ、あなたにはお姉さまに危害を加えたという疑いがありますわ!」
詠矢「お姉さま?って…もしかして、えー…あの第三位の人かな」
白井「そうですわ。ご本人の証言から、先ほどお姉さまと関わったのはあなたであることは明白!」
詠矢「そりゃ関わったかもしれんが、俺はあの人には指一本触れてない。因果関係が成立するか?」
白井「何らかの能力を使われたと、ほのめかしていませんのこと?」
詠矢「どうだったかなあ…。それに、俺はレベル0、無能力者だぜ?」


23:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:38:28.19ID:CKHGdVfVa

白井「あなた…いろいろと面度なお方ですわね」
詠矢「昔から理屈っぽい性格でねえ。友達いねえんだこれがまた…」
白井「聞いてせんわそんなこと…。いずれにせよ、素直に従わないのはやましいことがある証拠!」
詠矢「いやー、権力側の人間っていつもそう言うんだよねえ」
白井「(イラッ)、では、同行していただけないと?」
詠矢「とりあえず、今の段階では『やだね』だ」
白井「では、力ずくですわね。やはりあなたを野放しには出来ません!!」(シュン!!)
詠矢「(消えた…?)…!!(って、いきなり目の前に!)」
白井「はっ!!(ガシッ)せいっ!!」


24:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:38:35.97ID:CKHGdVfVa

詠矢「(襟首と袖を!投げる気か…!!)よっと!(ババッ)」
白井「…!(引き手を切った!!体を裁いて釣り手も!!)…」
詠矢「あぶねえあぶねえ。テレポーターさんか…ちょっと離れさせてもらうぜ」
白井「やりますわね…、わたくしの捕縛術から簡単に逃れるとは…」
詠矢「一応心得はあるもんでね。さあ、どうする?いくら瞬間移動が出来ても、拘束するには俺を組み伏せる必要があるぜ?」
白井「他に方法はいくらでもありますわわ!いきますわ…」
詠矢「あーちょっと待ってくれ!!」
白井「…なんですの」
詠矢「テレポーターってさあ、瞬間的に位置を移動するわけだよな?」
白井「そうですわよ。それが何か?」


25:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:38:45.18ID:CKHGdVfVa

詠矢「転移先の物体はどうなるわけ?分子の重複とか起こらないのかな?」
白井「問題ありませんわ。わたくしの転移は…!(そういえばお姉さまがおっしゃってましたわ『ゴチャゴチャうるさい奴』と。まさか能力と何か関係が…)」
詠矢「えーっと、どう問題ないのかな?」
白井「…答える必要はありませんわ。あなたのご質問には何か別の意図を感じます」
詠矢「(あ、気付かれたか…。ま、しょうがない)いやあ、単なる好奇心だけどね」
白井「ご質問なら後で支部でゆっくりと。但し、わたくしの質問に答えて頂くのが先ですけど…(シュン)」
詠矢「…(また消えた、今度はどっから来る!)・・・どあっ!(上かっ!!)」
白井「(よし、倒しましたわ!。後は針で拘束!)…ふっ!!」


26:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:38:53.88ID:CKHGdVfVa

詠矢「(な!針!どっからあんなもん、投げる気か!)…!!(ゴロゴロ)」
白井「(キイン、タスタスタス)…!(針が地面に!転がって逃げた…)」
詠矢「…よいしょっと・・・。っとにあぶねえなあ…。手裏剣か。投げた…訳じゃなさそうだな」
白井「…」
詠矢「投げただけじゃ、金属の針がアスファルトに刺さるわけねえ。地面に向かって転移させた、ってとこか」
白井「あなた…何者ですの…」
詠矢「ただの理屈っぽい高校生ですよ」
白井「なら今のはどうやって避けたと…」
詠矢「いや、偶然あんたの手に針が見えたんでね。投げられるかと思ったんで転がって逃げた。そんだけさ」
白井「…たったそれだけのきっかけで…」


27:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:39:03.56ID:CKHGdVfVa

詠矢「だが、今のでわかった。テレポーターがどうやって転移先を指定しているか」
白井「…」
詠矢「指定先は『座標』だな。物を投げるのと同じ。『どの位置に向けて転移する』と指定して物体を送り込んでいる。俺が回避行動を取って針を避けられたのが証拠」
白井「それが…どうかしましたの?」
詠矢「座標なら、対抗する方法はある。要するに、狙いを定めさせなければいい(ザッ)常に動きまわってる対象には、当てにくいはず!(ダッ)」
白井「く…!(どういうことですの!針が当たらない…。この状態では細部を狙って拘束するのは無理ですわ!)…仕方ありません!多少の怪我は覚悟して頂きます!」
詠矢「しかも、銃弾や投擲と違って到達点までの軌道がない。つまり!!」
白井「(方向転換する瞬間なら、動きが止まはず。直接体に針を!)…そこっ!!(シュン)」
詠矢「相手に近づいても、流れ弾に当たる心配はねえ!一旦狙いをつけさせれば、距離を詰めた方が有利!!(ザッ)」
白井「(まさか!いきなりこっちに向かって!外したっ!!)…!」
詠矢「どっせい!!上段正拳!!」
白井「…!!(ダメ!演算が間に合わない!!)」


28:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:39:13.02ID:CKHGdVfVa

詠矢「…」
白井「…」
詠矢「あー…」
白井「…え?…(寸止め?)」
詠矢「殴るつもりはなかったんだわ。忘れてた…」
白井「…(ガシッ)…(シュン)」
詠矢「のごあっっ!(なんだ、いきなり頭から落ちた!?)」
白井「…(キイン)…(タスタスタス)…ふう、拘束完了ですわ」
詠矢「ひでえなー、転移した対象の方向まで変えられるのか。受け身とれねえっての…」
白井「手こずらせてくれましたわね…」
詠矢「いやー、ゴメン。悪気はなかったんだけどねえ。『論証』に入るとつい熱くなっちまって」
白井「では、おとなしくご同行して頂けると?」
詠矢「はいはい、転がされて、一張羅の袖口を縫い付けられて抵抗する気力もございません。どこなりとお連れ下さい」
白井「最初からおとなしくそうおっしゃっていれば…。とりあえず、あなたの能力、手短にご説明いただけます?」


29:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:39:22.20ID:CKHGdVfVa

詠矢「すいません、せめて立って話したいんですがー」
白井「口まで拘束した覚えはございません。そのままでどうぞ」
詠矢「うわ地味にひでえ」
白井「で、なんですの?あなたの能力。お姉さまの言った通り、あなたの言葉を聞いてると調子が狂いましてよ?」
詠矢「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれました!。俺の能力はなあ!『論証を立てることによって、相手の能力を変質させる力』だ!」
白井「変質?まさそのような能力が…」
詠矢「いや、今日俺は確信に至った。この能力は間違いなく有る。そして、おれはこの力をこう名付けた。絶対反論(マ ジ レ ス)と!!!!」
白井「最低のネーミングセンスですわね…」
詠矢「あ、ダメかな?でも気に入ってるんで変えねえぞ」
白井「ご自由に…。ですが、もしその力が本当なら、かなり特殊な能力ですわね。まさか、パーソナルリアリティに干渉する力…?」
詠矢「はい?ぱーそなる・・・りありてぃ?



30:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:39:31.09ID:CKHGdVfVa

白井「そういえば、学園に来られたばかりでしたわね。ご存知無いでしょう。ご心配無くとも、カリキュラムの中で習いますわ」
詠矢「はあ…ソウナンデスカ。楽しみにしときます…」
白井「では、連行致します。よろしいですの?(ガシッ)」
詠矢「えー、あ、そうか。転移するんですな。接触者と同時転移も可能とは便利ですなあ」
白井「わたくしはレベル4ですのよ。これくらいは朝飯前」
詠矢「あ、でもでもさあ!」
白井「なんですの…行きますわよ…」
詠矢「こうやって、移動するときに、おれだけ上空に転移させられるとさあ」
白井「え?・・・(シュン)」
詠矢「死ぬしかないよなあ…(シュン)」


31:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:39:40.76ID:CKHGdVfVa

ジャッジメント177支部)
白井「(シュン)」
初春「あ、おかえりなさい!どうでしたか?」
御坂「結構時間かかったわねえ…、て、黒子1人なの?」
白井「へ?…1人?」
初春「あれ、もしかして取り逃がしちゃったとか…」
白井「あ………」
御坂「…?」
白井「あ…あわあわわわわわわわわ!置いてきてしまいましたわ!!」
初春「置いてきたって…どういうことですか?」
白井「た、確かに接触して転移しましたの!でもわたくしだけが戻ってきたということは!どこかに…」
御坂「まさか、黒子の能力が暴発したっていうの?…え、じゃあ、置いてきたってどこに?」
白井「え…、どこと申されましても…あ!上空ですわ!」
御坂・初春「上空!?」


32:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:39:50.37ID:CKHGdVfVa

詠矢「あー、おれ落ちてるなあ…」
詠矢「うわこれどうしょうもなくね?…」
詠矢「…」
詠矢「……つまんねえ人生だったなー……」
おわり


35:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:40:18.16ID:CKHGdVfVa

絶対反論(マジレス)こと詠矢空希(ヨメヤ ソラキ)は落ちていた。
それは比喩的表現ではなく、ただ真っ当な「落下」である。
地面まで数秒。その落差を計測する余裕などなかったが、それが殺意を持った高さであることは容易に想像できた。
「……つまんねえ人生だったなー……」
彼の命脈は既に尽きていた…かに見えた。
時間は数秒ほど遡る


36:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:40:29.09ID:CKHGdVfVa

打止「おかいものっ!おかいものっ!とミサカはミサカはうれしさのあまりお出かけの目的を連呼してみたり!」
一方「ったく、っせーな…。食料の買出しに行くだけだろーが…」
打止「でも一緒にお出かけはそれだけで楽しいんだよ?なんてミサカはミサカは素直に同意を求めてみたり!」
一方「ケッ…ナニ言ってやがんだ…。いいから静かにしやがれ!」
ショッピングモールに向かう橋の上を歩く少女と、それを追う学園第一位能力者の青年。青白い首筋をもたげて、なんとなく空を見る。
一方「しっかし…腹立つぐれえいい天気だな…あ?」
青年の視界、つまりは上空に何かが写った。そしてそれはすぐに人の形をしていることに気づく。
だが、形より圧倒的に重要なことは、それが自然落下してくるということだ。前を小走りに進む少女の頭上に。狙い済ましたように。
一方「ちょ…なんだアレは!!…あぶねえっっ!!!」
青年は走る。だが杖が必要な足は付いていかず、上半身だけが先行する。半ば飛び掛るような状態で、なんとか少女の頭上に手をかざすことが出来た瞬間、落下物が彼の腕に触れた。
一方「っつ!!…!」


37:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:40:34.76ID:/3uV/3Fp0

久々にみたわ


38:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:40:41.56ID:CKHGdVfVa

彼の能力「ベクトル変換」が発動する。落下物は水平に弾き飛ばされ、橋の欄干を通り越し、水柱を上げながら水面に叩きつけられた。
打止「ひゃあっ!!とミサカはミサカは驚きを隠せないでいたり・・・」
一方「なンだ……?」
詠矢「(あれ、俺まだ意識あるな)」
詠矢「(なんかものすごい衝撃を感じたんだが)」
詠矢「(感じたってことは生きてるんだよな?)」
詠矢「(そうだ、確か水に落ちたんだ)」
詠矢「(えーっと、つまり今水中にいるわけで)」
詠矢「(…取り合えず浮上しないと死ぬ!)」
詠矢「ぶわっ!」
詠矢「あぶねえ、せっかく命拾いしたのにまた死ぬとこだった!」


39:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:40:52.31ID:CKHGdVfVa

一方「なンだテメェは!!自殺ならヨソでヤレやァ!!!!」
詠矢「えー、なんと言うか。事故なんですよ」
一方「ンだぁ?…事故だと?」
詠矢「事情を説明すと簡単なようなややこしいような…」
詠矢「とにかく、助かったよ。あんたも何かの能力者なのかな?」
詠矢「確か俺は橋の上に落下するはずだった」
詠矢「だが気づいたら川に落ちてた」
詠矢「突風が吹いたとかそんなチャチなレベルじゃなく、俺の体は弾き飛ばされてる」
詠矢「なら、やっぱり何かの能力によって助けられたと考えるべきだよな」
詠矢「というわけで、ありがとう。助かったよ」


40:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:41:02.77ID:CKHGdVfVa

一方「……なンかゴチャゴチャ回りくどい奴だな」
打止「…(ジー)」
一方「どしたぁ?」
打止「…(オカイモノ)」
一方「アア、そうだったな…」
詠矢「あー、なんか用があるなら行ってくれ。後は自力でなんとかするから」
一方「言われ無くてもそうすらァ…。じゃあな飛び降り野郎…おら、行くぞガキ…(スタスタ)」
打止「…(ペコリ)…(スタスタ)」


41:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:41:09.55ID:CKHGdVfVa

詠矢「行っちまったか…」
詠矢「ていうかあの顔どっかで見たことあるような…」
詠矢「…まあいいか、そのうち思い出すだろう」
詠矢「さあて、これからどうするかな」
詠矢「取り合えず位置検索か(ポチポチ)」
詠矢「あ…」
詠矢「完全水没、だよな…。携帯が…電源も入らねえ…」
詠矢「水没じゃ保障対象外だよなあ…。か…金が…」
詠矢「しょうがねえ、適当に地図見ながら歩くか」
詠矢「取り合えず置いてきた荷物を回収しねえとな」
詠矢「さっきのソバ屋どこかな」
詠矢「フロ屋も探さねえとな…(トボトボ)」


42:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:41:18.95ID:CKHGdVfVa

詠矢「あ、そうだ、俺は連行される所だったんだよな」
詠矢「嫌疑がかけられてるんなら、ちゃんと出頭しとかないとな…」
詠矢「これ以上ジャッジメントと事を構えるつもりもないし」
詠矢「とはいえ、何処に行ったもんだか…」
詠矢「その辺の人に聞いてわかるかな?」
詠矢「…不審者扱いされるのがオチか」
詠矢「あのツインテールの娘、名前ぐらい聞いとけばよかったな」
詠矢「さあて、どうするかな…」
嘆いたって始まらない。取り合えず俺は歩きながら考えることにした。
都市の案内板を頼りに、どうにか元の場所に戻った俺は荷物を回収することに成功した。
フロでも入りたかったがあいにく銭湯は見つからず、ネットカフェのコインシャワーで体を流すと、
万が一にと持ってきた私服に着替える。
水に落ちたときの打ち身で体のあちこちが軋む。まったく落ち着ける状況ではなかったが、考える
時間だけは十分に確保出来た。
俺は思考に結論を出し、一番近くにある図書館へ向かった。


43:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:41:29.08ID:CKHGdVfVa

第七学区 図書館)
白井「探しましたわよ…詠矢さん」
詠矢「お、いいタイミングだねえ。ちょうど一冊読み終わったとこだ」
白井「まるで見つかるのを待ってたかのような口ぶりですわね」
詠矢「そう、その通り。自分で出頭しようと思ったんだけど…」
詠矢「何処に行ったらいいかも分からなくてね」
詠矢「今日最初に会ったときも」
詠矢「俺をピンポイントで見つけてたろ?」
詠矢「だから、そちらさんには何らかの位置検索の方法があると考えた」


45:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:41:38.67ID:CKHGdVfVa

白井「変な所には頭が回りますわね…」
白井「確かに、監視カメラの記録であなたの姿を追跡しましたわ」
詠矢「やっぱそうか。ならここで待ってて正解だったな」
詠矢「図書館の中なら監視体制はバッチリだろうし」
詠矢「ついでにいろいろと情報を仕入れられるしな」
白井「ま、ご無事で何より…」
白井「そのご様子ですと、特に危険な場所に転移したわけでもなさそうですわね」
詠矢「それがそうでもなくてさ。気づいたら空中だっんだよ」
詠矢「これがまた結構な高さでさ。マジで死ぬかと思ったぜ」


46:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:41:51.88ID:CKHGdVfVa

白井「え…?ではそこからどうやって…」
詠矢「いや、なんか能力者の人が偶然通りかかってさ」
詠矢「多分念動系か何かだと思うんだけど」
詠矢「弾き飛ばして川に落としてくれたんだわ」
白井「たまたま?能力者に助けられたと…?」
詠矢「たまたま。運が良かったってことになるのかな」
詠矢「まあ、どっちかっていうと悪運になるんだろけどね」
白井「そうでしたの…。でも、わたくしもその悪運に感謝しないといけませんわね」
白井「危うく殺人犯になるところでしたわ」
詠矢「まー、基本俺が余計なこと言ったからだからな…以後自重するよ」
白井「そうしていただけると助かります」



47:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:42:00.59ID:CKHGdVfVa

(ジャッジメント177支部)
白井「こちらですわ…(ガチャ)」
詠矢「まいどどーも」
御坂「あ…!」
詠矢「あ……」
御坂「アンタ……さっきはよくもやってくれたわね!!(バチッ)」
詠矢「や、やめろって…!だから怒らせたのは謝るからさ…」
御坂「…謝ってすむ問題かしら?…(ビリバチッ)」
白井「お、お姉さま。支部で電撃はちょっと…」
初春「や、やめてください!パソコンが!!」
詠矢「……」
詠矢「……わかった…確かにそうだ。謝ってすむ問題じゃないかもな」


48:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:42:11.61ID:CKHGdVfVa

詠矢「俺も腹は括った。御坂サンの気の済むようにしてくれ」
御坂「…え?」
詠矢「まあ、正直俺も、副作用まで誘発出来るとは思わなかった」
詠矢「だが、御坂サンを危険な状態にしたことは事実だ」
詠矢「だから、煮るなり焼くなり、好きにしてくれ」
御坂「…アンタ、いきなり居直るなんてどうゆうつもりよ!」
白井「そんな勝手な言い分が通ると思ってらっしゃいますの!?」
詠矢「どうもこうもねえさ。俺はただ謝りたいだけだ」
詠矢「それでも許されねえってんなら」
詠矢「そっちの気の済むようにしてもらうのが一番いい」
詠矢「俺は一切の抵抗はしない。もちろん『論証』もだ」
御坂「…」


49:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:42:21.42ID:aPOCyiz1M

数年ぶりにに見た


50:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:42:22.68ID:CKHGdVfVa

詠矢「…さあ。いいぜ」
御坂「…」
初春「…(ハラハラ)」
白井「…あ、あの…まさか、お姉さま?」
御坂「…」
白井「お姉さま!!」
御坂「…(ガシッ)」
詠矢「(腕を…?)」
御坂「…!(バチッ!!)」
詠矢「ぎゃうぁ(ビクンッ)!!!…ッつつ…」
白井「…!」
初春「…!」


52:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:42:33.27ID:CKHGdVfVa

御坂「フン…いいわ、このくらいで許してあげる」
詠矢「このくらいって十分痛いんですけど…(ビクビク)」
御坂「気絶しない程度に抑えといたわよ。アンタには聞きたいことがあるし」
詠矢「それは…ご配慮の程痛み入ります…(ビク)」
詠矢「まあ、これで済ましてもらえるなら安いもんだわな」
詠矢「でもなあ御坂サン」
御坂「……何よ」
詠矢「窃盗はよくねえよな?刑法的に」
御坂「…」


53:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:42:41.69ID:CKHGdVfVa

詠矢「一応反省しといたほうがいいんじゃねの?」
白井「窃盗?…なんの話ですの?」
御坂「え?…あ…えっと…」
白井「お姉さま…まさかまた…」
詠矢「また…って…常習犯だったのか?」
御坂「…え…って……、た、たまたま小銭が無くて、ちょっと面倒になったから……つい…」
白井「……」
詠矢「……」
御坂「…悪かったわよ…、もう二度とやらない…」


54:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:42:51.86ID:CKHGdVfVa

白井「本当ですの?」
御坂「本当だってば…」
白井「そうおっしゃるなら大目に見ますけど…、常盤台のエースともあろうお方が…浅ましい真似は謹んで下さいまし!」
御坂「だから、やらないって言ってるじゃない!もう…」
詠矢「えーっと…、まあ、ジャッジメントの人が大目に見るってんだから、俺がこれ以上何も言うことはねえな」
詠矢「じゃあ、この話は終わりってことで…」
白井「そうですわね…では、本題に移りましょうか」
白井「改めて自己紹介ですわ。わたくしはジャッジメントの白井黒子と申します。詠矢さん、あなたにいくつかお聞きしたいことがあります」
詠矢「なんなりと…。答えられることは答えるぜ」


55:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:43:01.97ID:CKHGdVfVa

白井「では、まずあなたの能力について…」
詠矢「名前は絶対反論(マジレス)…。能力者に対して、論証を立てることによってその能力を変質させる…」
詠矢「さっき説明した通りだね」
白井「もう少し詳しくお願いします」
詠矢「っても…。俺にもよくわかってない部分も多いんだけどな」
詠矢「お二人さんと手合わせしたことで、かなり理解出来た」
御坂「…ていうと?」
詠矢「論証が完全じゃなくても、変質は発生する」
詠矢「ハッタリでも何でも構わない。相手が俺の言うことをある程度認めた時点で、能力が発動するみたいだな」
御坂「でも私の場合、電撃が撃てないって認めた訳じゃないわよ?」
詠矢「まあ、その辺は度合いの問題でさ」
詠矢「完全に認めなくても、対象の心の中『あれ、そうだっけ?』ってレベルのわずかな引っかかりでも作れれば」
詠矢「変質は一定の効果を生む」
白井「…確かに、わたくしもあなたの言葉を聞いてから転移の精度が落ちましたわ」
詠矢「どっかで俺の言葉が引っかかって、能力の精度が落ちたんだろう」
白井「…厄介な能力ですわね…。やはり、パーソナルリアリティに干渉する力…」


56:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:43:12.85ID:CKHGdVfVa

詠矢「いや、それはどうかな?」
詠矢「さっき図書館で一通りのことは調べたんだけど」
詠矢「能力者ってのは、パーソナルリアリティ…『自分だけの現実』を観測して」
詠矢「物理的には起こり得ない超常現象を引き起こす…だっけか?」
白井「そうですわ。学園の能力者は全て個別の現実を持っています」
白井「その現実は能力者によって千差万別…」
詠矢「俺はついさっきまでそんなことは知りもしなかった」


57:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:43:21.69ID:CKHGdVfVa

詠矢「そんな状態で、いきなり干渉する力を得るってのもねえ…」
詠矢「ただ言葉による暗示によって、能力を出させないようにしてるのかもしれないし」
詠矢「解釈としてはどうとでも取れるわな」
御坂「何よあんた。人の能力についてはどうのこうの文句付けるくせに」
御坂「自分の能力は全然適当じゃない」
詠矢「いいんだよ、俺は適当で」
詠矢「同じ能力を持った奴が表れない限り、俺の能力が『論証』される事は無いわけだからな」
白井「なんて自分勝手な…」
詠矢「パーソナルリアリティなんてそもそも自分勝手なもんだ」
詠矢「自分の思いだけで、物理法則だって簡単に捻じ曲げちまうんだからな」
御坂「そういっちゃえばそうだけどさ…なんか釈然としないわね…」
詠矢「ま、能力についてはこれぐらいだな。俺だって知らないことは話せない」


58:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:43:31.74ID:CKHGdVfVa

詠矢「他に何か質問あるかい?」
白井「一通り能力に関しては理解できましたわ。ではお言葉に甘えて、もう一つ…」
詠矢「どうぞ」
白井「学園都市に来られた目的は?」
詠矢「まず第一に、自分の能力をちゃんと確かめる為」
詠矢「さっき説明した通り、俺の能力は能力者がいないと確かめようが無いんでね」
詠矢「んで次に、この能力で出来る事を探すため」
詠矢「以上二点です」
白井「意外と真っ当な理由ですわね…」
詠矢「そんなもんだよ。別に野心とか野望とかねえし…」
御坂「その割には、いきなり突っかかって来たわね…」
詠矢「いや、だからアレはゴメンって。『マジレス』を試すには、能力者と戦うしかなかったもんで…」
詠矢「その辺は白井サンも改めて謝るよ」


59:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:43:40.76ID:CKHGdVfVa

白井「その話はもうよろしいですわ。こちらも少し強引過ぎましたし…」
御坂「でもさあ、あんたどうやって自分の能力に気づいたの?」
御坂「能力者に会わないと解りようが無いじゃない」
詠矢「あ、それ説明してなかったな。なかなか鋭いね御坂サン」
詠矢「実は俺、能力者に会ったのは御坂さんが初めてじゃないんだ」
詠矢「俺の近所に、学園都市で能力開発してた奴がいてね」
白井「まあ、どちら様ですの?」
詠矢「白井サンも知らないような低レベル能力者らしいんだけどね」
詠矢「で、そいつが帰省で家に帰って来た時に、なんかつまんないことで言い合いになってさ」
詠矢「話の流れで、相手の能力を変質させちまったんだよ…」


60:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:44:00.64ID:CKHGdVfVa

御坂「それで自分の能力に気づいたわけね」
詠矢「そうなんだ。変質はすぐに収まったんだけど、もしかしたらって思ってね」
詠矢「で、ここに来た目的、につながる訳ですよ」
白井「一応、話の筋は通ってますわね」
詠矢「信じるか信じないかはそちらさんの自由だけどね。嘘は言ってねえよ」
詠矢「さて、尋問は以上かな?終わりなら…帰らせてもらっていいかい?」
白井「そうですわね…事情聴取はこれぐらいですわね…」
白井「初春、調書の方はよろしいですの?」
初春「はい、バッチリです…(カタカタ)」
詠矢「へえ、そっちの娘、初春サンっていうのか」
詠矢「俺は詠矢空希ってもんだ。よろしくなー」
初春「あ、はい…どもです…(ペコリ)」


199:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:04:54.76ID:13kB238P0

>>60
調書の割には容疑についてなんにも聞かないのな
犯罪を注意したら殺されそうになったから反撃した、抵抗していない被害者を取り締まる側が叩きのめした
土下座じゃ済まなそう



61:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:44:11.28ID:CKHGdVfVa

白井「では、今日はこれでお引取り頂いて結構です。但し!」
白井「次に出頭をお願いすることがあったら、素直に従うように」
詠矢「へいへい」
詠矢「じゃ、部屋に荷物が届くころなんで」
詠矢「そろそろ帰らせてもらうわ。んじゃ…あっと、白井サン」
白井「なんですの?」
詠矢「俺にも一つだけ聞きたいことがあるんだけどさ、いいかな?」


62:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:44:21.96ID:CKHGdVfVa

白井「答えられることなら答えますわ」
詠矢「白井サンの能力。射程はどれくらいなんだい?」
白井「…お答えするのは少し躊躇しますわね」
詠矢「俺のことを信用出来ないのも無理は無いと思うが…」
詠矢「どうしても確認したいことがあってね。頼むよ」
白井「ま、よろしいですわ。わたくしの空間移動の射程は最大81.5m…」
詠矢「当然、直線距離だよな…。なるほど…81.5mか…」
白井「なんですの?」
詠矢「いや、まだアレだな…。話すにはまだ立証が足りないかな…」
白井「…」


63:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:44:31.22ID:CKHGdVfVa

詠矢「んじゃ、皆さんまたなー」
御坂「またって…もう会いたくないんだけど…」
詠矢「まあ、そう言いなさんな。縁があればまた会うさ」
詠矢「そんじゃまた」
佐天「(ガチャ)やっほー、こんにちわー。遊びに来たよー!」
詠矢「…」
御坂「…」
白井「…」
初春「…」
佐天「…」
佐天「(え…何この空気…)」


64:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:44:39.44ID:CKHGdVfVa

初春「…あ…佐天さん…こんにちわ…」
佐天「うん…こんちわ…初春」
詠矢「…んじゃ、入れ違いで失礼するわ」
佐天「えっと…あなた…は…?」
詠矢「容疑者だよ…(ニヤリ)」
佐天「…へ?」
詠矢「…」
佐天「…?(行っちゃった)」
佐天「初春、今の人は?」
初春「ちょっと、事情を聞いていた人…ですね。なんか特殊な能力者みたいで…」
佐天「へえ…能力者…なんだ」
初春「レベルは0みたいなんですけど」
佐天「…ふーん…」


65:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:44:50.71ID:CKHGdVfVa

白井「……」
白井「本当レベル0なのかどうかは、本格的な検査を待つ必要がありますけど…」
御坂「どうしたの黒子?さっきからなんか考えてるけど・・・」
白井「あの方がわたくしに聞いたこと、少し気がかりですわね」
御坂「黒子の能力の射程の話?」
白井「ええ、なぜあの情報が必要だったのか…。何も裏が無ければよろしいのですが」
御坂「さあ…何考えてるわかんないヤツだし。確かに気にはなるわね」
白井「…本当に、何も無ければいいのですが…」


66:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:44:59.29ID:CKHGdVfVa

(学生寮 自室)
詠矢「ふう、荷解きはこんなもんかな」
詠矢「やっぱ荷物は少なめにして正解だな」
詠矢「しかし学生寮って言うから、もっとみすぼらしい部屋を覚悟してたんだが」
詠矢「なかなかどうして、立派なモンじゃねえの」
詠矢「ベットもでかいしな…よっと(ゴロン)」
詠矢「(しかし、初日からいろいろあったなあ…)」
詠矢「(流石にちょっと疲れたかな…)」
詠矢「(考えることも増えたしな)」
詠矢「……」


67:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:45:04.45ID:ix5PsMdp0

ヨメヤソラキとかまた懐かしいものを
十年くらい前やろこれ


68:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:45:14.46ID:CKHGdVfVa

詠矢「(白井サンの転移の射程は81.5m…)」
詠矢「(俺が飛ばされた橋の上は、それよりはるかに離れた場所だった)」
詠矢「(このことが何を意味するのか…)」
詠矢「(俺が、絶対反論の定義を)」
詠矢「(能力の『変質』だとあえて言った理由)」
詠矢「(ある一点の可能性を考えて、だったが・・・)」
詠矢「(まだ立証する根拠が足りないな)」
詠矢「(だが、もしかすると、もしかするかも知れんねえ…)」
詠矢「(まあ、いいや。また今度考えよう)」
詠矢「(ねむ…)」
詠矢「……」


69:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:45:29.13ID:CKHGdVfVa

詠矢「……」
詠矢「ん…」
詠矢「あれ…?寝ちまったのか?」
詠矢「うわ、もうこんな時間じゃねえか…」
詠矢「今日中に携帯を変え行くつもりだったのに」
詠矢「まあ、いいか。明日にすれば…」
詠矢「しかし…腹減ったな…」
詠矢「時間も時間だし当然か」
詠矢「今からなんか作るのも面倒だな…」
詠矢「コンビニでも行くか…」


70:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:45:38.60ID:CKHGdVfVa

店員「ありがとうございましたー」
詠矢「やっぱコンビニ来ると高く付くなあ」
詠矢「安いスーパー探して、ちゃんと自炊しねえとな」
詠矢「あー腹減った…先に唐翌揚げ食っちまうか(ムグ)」
詠矢「(モグモグ)…」
詠矢「(モグ)…あれ?」
詠矢「寮はどっちだっけか?」
詠矢「えーっと…」
詠矢「うわ…完全に迷っちまったな…」
詠矢「携帯無いといろいろ面倒だなー」
??「ハァ…ハァ…くそっ!!」
詠矢「…?なんか人の声が…?誰かいるのか?」
??「うわっ!…(ドサッ)」
詠矢「?(路地から人か…)。おい、アンタ大丈夫か!?」


71:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:45:48.87ID:CKHGdVfVa

??「来るな!!巻き込まれるぞ!!」
詠矢「巻き込むって何の話だよ…ってなんだ、あちこち怪我してるし」
詠矢「これは…火傷か?…まあとりあえず病院行こう。肩貸すぜ…よいしょっと」
??「マズイ追いつかれたか!?。とにかく逃げないと!」
詠矢「へ?なんかヤバイの?…あれ…なんか…熱い?」
??「伏せろ!!」
詠矢「…!!!」
路地の奥から、空間を嘗め尽くすように赤い波が近づいてくる。それは猛烈な熱を伴った炎だ。
詠矢「…!お、おい。なんだありゃ!」
??「くそっ!!(キュイーン!!)」
詠矢「なっ!炎が…消えた!?」


72:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:46:00.86ID:CKHGdVfVa

??「……」
詠矢「…こりゃあんたの言うとおり、逃げるのが正解かね」
詠矢「とりあえず…そうだな、あっちのビルの影にでも隠れよう」
詠矢「上手くいけばやり過ごせるかも知れねえ」
??「いや、あいつらの狙いは俺なんだ。通りすがりの人を巻き込むわけにはいかない」
詠矢「…面白いじゃねえの。そんな台詞、リアルで聞けるとは思わなかったぜ」
詠矢「というわけで、ちょいと関わらせてもらうぜ?」
??「え?って…あんた、何考えてんだって…おい!!」
詠矢「はいそうと決まったらとっとと走る!!」


73:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:46:12.77ID:CKHGdVfVa

詠矢「…ふう…少し落ち着いたか…」
詠矢「ここは路地からも死角になってる。そうそうは見つからないだろう」
??「…あんた…どうゆうつもりだ…」
詠矢「面白そうだから関わらせてくれって、さっき言わなかったか?」
??「面白くなんかねえよ!これは冗談で踏み込んでいい世界じゃない」
??「相手はこっちの命なんかなんとも思ってないんだ」
詠矢「生きるか死ぬかってんなら、アンタも同じだろ?それを解った上で、俺だけを逃がそうとした」
??「……」
詠矢「そんな人を、見捨てて逃げたくはねえな」
??「…あんた…」
詠矢「そういうこった。ま、数が多い方が生存確率も上がるぜ」
詠矢「とりあえず、情報を整理しようか」


74:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:46:15.24ID:T+grfZcGa

イシツブテで書き直せ



75:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:46:22.09ID:CKHGdVfVa

詠矢「まずは自己紹介からだな。俺は詠矢、詠矢空希ってもんだ…よろしくな」
??「…俺は上条…当麻…だ。よろしく」
詠矢「上条サンねえ…了解」
詠矢「で、順番に行こう。まずはさっきの炎だが…」
詠矢「火炎放射器って訳でも…なさそうだな…」
上条「ああ、そうだ。あれはそんなもんじゃない」
詠矢「じゃあ、やっぱ発火系の能力者かな?」
上条「いや、それも違うんだ。あれは『魔術』だ」
詠矢「…『魔術』!?…って要するに『魔法』のことなのか?」


76:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:46:32.85ID:CKHGdVfVa

詠矢「そんなもん実在するのかよ」
上条「ああ、実在する。科学とはまったく概念の違う力だ」
詠矢「はー…またいきなりな話だな。流石の俺も思考が止まるわ…」
詠矢「まあいい。今そこに突っ込むのは時間の無駄だ。丸呑みにするとしよう」
上条「俺も魔術に関してはあんまり詳しい訳じゃ無いんだ。そうしてくれると助かる」
詠矢「お互い、話が早くていいな。それともう一つ、気になることがな…」
上条「言いたいことは大体わかる。やっぱ説明しといたほうがいいか…」
詠矢「じゃあ、あの消えた炎、やっぱりあんたの『力』なのか?」
上条「俺はレベル0の無能力者だ。ただ…」
上条「この右手には、あらゆる異能を打ち消す力が宿ってるんだ」
詠矢「打ち消すって…能力者の能力もか?」
上条「そうだ。『あらゆる異能』ってのは、魔術も能力も含んでる」
上条「この右手で触れさえすれば、全て打ち消すことが出来ちまうんだ」


77:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:46:40.91ID:CKHGdVfVa

詠矢「はー、そりゃまた…。なんとも問答無用な能力だな」
詠矢「ま、おかげで命拾いしたわけなんだが…」
詠矢「(右手がどうやって異能の力を見分けてるのか)」
詠矢「(触れる、とは言っても、厳密な効果範囲は何処から何処までなのか)」
詠矢「(なんとも『論証』しがいのありそうな能力だねえ…)」
上条「じゃあ、俺も聞いていいか、えっと…」
詠矢「俺のことは詠矢でいい」
上条「そっか。じゃあ詠矢、お前こそ何者なんだ?」
上条「この状況で、まるで緊張感もねえ。それどころか楽しんでるように見える」
上条「まだわかってねえんじゃないのか?相手は本気なんだぞ…」


78:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:46:52.78ID:CKHGdVfVa

詠矢「こんなことは初体験でね。まだ臨場感が足りないのは事実。だが、状況は理解してるつもりだ」
詠矢「それとな、俺にとって知識と経験はそのまま力になる」
詠矢「誰だって、成長を実感してるときは楽しいもんだろ?」
上条「…どういうことだ…全然わかんねえよ」
詠矢「そらそうか。俺の能力説明してねえもんな」
詠矢「俺も能力者だ。が、上条サンと同じレベル0。能力の名は絶対反論(マジレス)」
詠矢「能力に対して論証を…」
詠矢の言葉をさえぎるように、空中に次々と火の玉が浮かぶ。その数は、あっと言う間に目で追える限界を超えた。
上条「くそっ!もう見つかったか!」
詠矢「なんだ、これ…これが敵の攻撃か?」
上条「そうだ、コイツがヤバイんだ…逃げるぞ!!」
詠矢「いかにも襲ってきそうだしねえ…おうさ!」


79:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:47:03.10ID:CKHGdVfVa

火の玉は躊躇無く彼らに襲い掛かり、次々と炸裂する。
詠矢「うおっ!!爆発とかシャレになってねえぞ!」
上条「だからヤベエつったろ!!」
詠矢「(今のところ逃げ回ってれば何とかなるが、この手数、いずれ追い詰められるな)」
詠矢「なあ上条サン、敵の数は何人かわかるか?」
上条「多分、四〜五人、そのうち一人がこの魔術を使ってる魔術師だ」
詠矢「よし、大した数じゃねえな。ならこっちから攻めに出よう」
上条「そりゃ俺だってそうしたいけど…。逃げるので精一杯だろ!!」
詠矢「確かにまあ…うおっ!!(ドドドドドッ)」
上条「詠矢!俺の後ろに!!」
詠矢「たのむ!!」
上条「こなくそっ!!(キュイーン)大丈夫か!」
詠矢「…いや、助かったぜ。ありがとさん」
詠矢「しかし…このままじゃジリ貧だ。どうしたもんか…」
上条「なんか手があるのか?詠矢」


80:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:47:15.68ID:CKHGdVfVa

詠矢「…上条サン。敵の人数が解ってるってことは、一旦相手と接触したんだよな?」
上条「ああ、攻撃が始まってからしばらくして、何人かに囲まれたんだ」
上条「その中の一人が、炎の魔術を撃ってきて…」
詠矢「なるほど…つまり。奴らには接触する必要があったってことか…」
詠矢「さっきからのこの火球の攻撃、散発的過ぎると思ってたんだ」
上条「この攻撃は奴らの決め手にはならないってことか」
上条「実際、逃げ回ってればなんとかなるわけだからな」
詠矢「そう、その通り。これは敵を追い詰める手段に過ぎない」
詠矢「逆に言えば、こっちが消耗する前に、やっぱり打って出る必要があるな」
詠矢「…」
上条「なんだよ、急に黙って」
詠矢「…上条サン、酷いこと言っていいか?」
上条「なんだ…?」
詠矢「囮になってくれ」
上条「…はい?」


81:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:47:27.20ID:CKHGdVfVa

(空き地)
路地を抜けた奥にある少し開けた場所。鉄骨が組み上がっただけの建設中のビルと、その資材が並べられている。
その中央に一人立つ青年、上条当麻である。
上条「…さあて」
上条「さあ、魔術師、もう弾切れか!?。俺はここにいるぞ!!」
??「……」
影からにじみ出るように現れる5体の人影。それは、ちょうど星形になるように上条の周囲を取り囲む。
魔術師「ついに観念したか。上条当麻」
上条「あきらめてなんかいねえよ。ちょっと追いかけっこに飽きただけだ!」
魔術師「逃げるのをやめたのなら同じこと…。生きて帰れると思うなよ」
上条「やっぱりそうか…」
魔術師「…ん?」
上条「俺を殺したいのなら、さっきの魔術でやればいい」
上条「わざわざ姿を見せたってのは、そうする理由があるからだ」
魔術師「ハッ、何を言うかと思えばその程度の事か。それがわかったとろで何になる」


83:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:47:43.58ID:CKHGdVfVa

魔術師の両手から放たれる一条の炎。それは扇状に広がり、あっという間に上条を包み込む。
上条「…!!(キュイーン)…」
上条「(くそっ!。この炎!!。確かに威力はステイル程じゃないが…」
上条「(効果範囲が広すぎる…。右手じゃ消しきれねえ!!)」
兵A「…(ザッ)」
兵B「…(ザッ)」
兵C「…(ザッ)」
兵D「…(ザッ)」
上条「(距離を…詰めてきやがる…。ダメだ、身動き取れねえ!!)」
詠矢「(ザッザッザッザッ)うりゃあ!!中段蹴りぃ!!」
兵B「…なっ!!」
何処からとも無く走ってきた詠矢の蹴りが、振り返ろうとした兵の脇腹に見事に命中した。


84:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:47:53.36ID:CKHGdVfVa

兵B「…ぐあっ!!…ゲフッ…(ガクッ)」
詠矢「よし、一人無力化…」
魔術師「なんだと!!伏兵か!」
上条「(…魔術が弱まった…集中が途切れたか?今なら抜けられる!)」
上条「…っ!!(ゴロゴロ)」
魔術師「しまっ…た!!」
詠矢「上条サン、大丈夫か!」
上条「ああ、おかげさんでなんとか…」
上条「あと、解ったぜ、奴らの狙いが…」
詠矢「狙い…ってーと?」
上条「魔術の攻撃は、俺を押さえ込むための手段でしかない」
上条「火球や炎で動きを封じて、あの長い武器で範囲外から攻撃するつもりだ」
詠矢「なるほど…魔術では上条サンを倒せないと初めから解ってたんだな…」
詠矢「あの武器…ハルバードってヤツかな…。しかしセコイ作戦だなあ」
魔術師「……」


85:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:48:02.65ID:CKHGdVfVa

詠矢「そこまで解れば話は早い。要するにだ」
詠矢「周りのザコを倒せば、その作戦は成立しなくなる!」
詠矢「上条サン、あの偉そうなヤツは後回しだ。あと一人引き受けるから、残りは頼むぜ!(ザッ)」
上条「勝手にノルマ決めるなよ!まったく…(ザッ)」
上条「さあて…悪いが、しばらく眠っててもらうぜ」
兵D「…(ガシャン)」
上条「…(武器を放した…まさか!)」
兵D「…!(ヒュッ)」
上条「とっ…とととっ!!(ザザッ)」
兵D「なにっ!!避けた、だと!?」
上条「懐から短刀か…あっぶねえ。もうちょっと気づくのが遅かったらヤバかったな」
兵D「貴様、いったい…!」
上条「黙ってろ!(ドカッ)」
兵D「…!!(ゴロゴロゴロ)…(ガクッ)」


86:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:48:11.85ID:CKHGdVfVa

詠矢「(うわ、吹っ飛んだよ。すげえパンチ力だな…)」
詠矢「さあて、こっちも負けてられねえな」
魔術師「やらせんぞ…」
魔術師「やらそんぞーーーーー!!!(ゴオッ)」
上条「うわっ!!!」
詠矢「また炎か!。上条サン!!」
上条「…!!!(キュイーン)…」
詠矢「(ダメだ、炎の効果範囲が広すぎて消しきれてねえ)」
詠矢「(あれが有る限り、まだ相手の有利は覆らない…)」
詠矢「(イチかバチか、やってみるか…)」


87:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:48:19.07ID:CKHGdVfVa

詠矢「おい、そこの魔法使い!!」
魔術師「…私は魔術師だ!」
詠矢「この際どっちでもいい!」
詠矢「魔術だか何だか知らないが、炎を起こしてることには変わりないな」
詠矢「それだけ膨大な火を起こすには、それ相応の可燃物が必要だ」
詠矢「しかもこれだけの範囲に広がるということは」
詠矢「可燃物は気体か液体のはず」
詠矢「見たところ、あんたはボンベもタンクも持ってるようには見えない」
詠矢「そんな大量の可燃物、どっから調達してるだ?」
魔術師「…ハハッ…」
魔術師「ハーッハハハハ!!愚か者め!!」
詠矢「…なんだ?」
魔術師「これは魔術!可燃物など必要ないわ!!」


88:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:48:26.50ID:CKHGdVfVa

魔術師「独自の原理によって生み出される力だ。科学側の前提など関係あるものか!!」
詠矢「な…なんだと!そんなインチキがあるか!」
詠矢「可燃物が必要ねえなんて…じゃあその炎は『燃焼』じゃ無いってのか!」
魔術師「同じ事を何度も言わせるな!。これは純粋な『魔術』の炎だ!」
詠矢「(くそっ!。やっぱりダメか。魔術を論証するには情報が少なすぎる)」
詠矢「(最初の計画通りザコを倒して…)」
魔術師「おっと…お前にも動かれては困るのでな…(スッ)」
詠矢「…!!炎と火球を同時に!」
詠矢「うわっ!!(ドカドカドカッ)」
上条「詠矢ー!!」
詠矢「(ぐっ…やべえ…逃げ回るのにも限界が…)」
詠矢「(諦めるな、諦めるなよ…何か手があるはずだ…)」


89:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:48:36.59ID:CKHGdVfVa

魔術師「さあて、仕上げといこうか…」
魔術師「上条当麻…。貴様の首と右腕、貰い受ける」
兵A「…(ジャキン)」
兵C「…(ジャキン)」
詠矢「上条サン!!」
魔術師「…死して我がローマ正教の礎となれ!!」
詠矢「…」
詠矢「…あ?」
詠矢「…お前今なんて言った?」
魔術師「なんだと…?」
詠矢「ローマ正教っていやあ、十字教の一派だよな?」
詠矢「あんたら宗教関係者なのか?」
詠矢「っていうか、風体からして僧侶だよな?」



90:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:48:44.05ID:CKHGdVfVa

魔術師「…?」
詠矢「僧侶がなんで炎なんか撃ってるんだよ」
詠矢「僧侶が使えるのは回復と補助、あと風系の攻撃呪文だけだろうが」
詠矢「世間の常識ひっくり返してんじゃねえよ…」
魔術師「お前は何を言ってるんだ」
詠矢「それに…神ってのは慈愛と許しの象徴だよな?特に一神教はそうだ」
詠矢「その神の使徒である聖職者が、人を傷つけることしか出来ない攻撃魔法を」
詠矢「平気で使ってるんじゃねえよ」
魔術師「な…なんだと…。これは、その教えを守るために」
魔術師「神が我々に与えて下さった力だ!!」
詠矢「じゃあ何か?おまえんとこの教義には」
詠矢「『目的のためには手段は選ぶな』とか」
詠矢「『邪魔なヤツは抹殺してかまわない』とか」


91:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:48:52.29ID:CKHGdVfVa

詠矢「書いてあるってのか?」
詠矢「だとしたらその宗教ってのは」
詠矢「どんでもねえ邪教だなあ!!」
魔術師「な、何を言う!ローマ正教の教義は…!!?」
魔術師「(…なんだ、魔術が…安定しない!!。炎が…消え…る…!)
詠矢「…!?(ちょっとまて、今のはキレてぶちまけただけだぞ)」
詠矢「(これでも効果あるのかよ!?)」
上条「炎が…?弱く…」
詠矢「上条サン!なんだかよくわからんが今だ!」
上条「わかった!!…(ザッ)」
魔術師「あ…慌てるな。詠唱の再構築を…」
上条「遅え!!」
魔術師「…く…そっ…炎よ!(ゴオ)」
上条「この程度…かき消せる!(キュイーン)…弾けろっ!(ドカッ)」
魔術師「ぐふぁぁぁっ!!!(ゴロゴロゴロ)……(ガクッ)」


92:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:48:55.78ID:vfseZR+U0

これ完走する時間を競うタイムアタックあるの草


93:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:49:00.93ID:CKHGdVfVa

上条「はあっ…はあっ…」
詠矢「…やったな…上条サン」
詠矢「さあて…残りはあんたらか?」
兵A「…(ガシャン)…(ササッ)」
兵C「…(ガシャン)…(ササッ)」
上条「逃げたか…」
詠矢「正直、助かるな…これ以上はキツイわ…」
上条「休んでるヒマねえぞ。結構な騒ぎになっちまった」
上条「すぐにアンチスキルが来る」
詠矢「なるほど…こっちも退散したほうがよさそうだな」
上条「詠矢、お前も寮生か?」
詠矢「ああ。そうだそうだ、ちょうど迷ってたところなんだわ」
上条「よし、じゃあとりあえず寮まで戻ろう。話はそれからだ」
詠矢「うい、賛成。案内してくんなー」


94:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:49:06.82ID:IrLs/UMAd

懐かしすぎて草


95:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:49:09.77ID:CKHGdVfVa

(窓のないビル)
理事長「わざわざ君のほうから来るとは珍しい」
理事長「なんの用だね?」
土御門「ちょっと確かめたいことがあってな」
土御門「単刀直入に言おう。ヤツの能力…どう見る?」
理事長「新たに発見された原石のことかね?」
理事長「…君こそ、既に対象に接触したようだね」
土御門「ああ、ちょっと前になるがな」
土御門「まさかカミやんに先を越されてるとは思わなかったが…」
土御門「話によれば、魔術にも効果を発揮したらしいぜ?」
理事長「こちらでも情報は掴んでいるさ」
理事長「既に、レベル5である御坂美琴の能力を抑えた実績も有る」
土御門「へえ…あのレールガンをねえ…」
土御門「そこまで知ってて放置してるってのは…何か考えでもあるのか?」


96:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:49:37.59ID:fI8NBYTSa

理事長「いや…わからんさ」
土御門「なに?」
理事長「私とて、全てを知っているわけではない。全てを予想できるわけでもない」
理事長「特に彼の能力は未知数で不確定だ。どんな可能性を持っているかもわからない」
理事長「今の段階で、下手に介入するわけにもいかないのでね…」
土御門「だからといって、このままってわけにもいかんだろ?」
理事長「それはわかっている」
理事長「今まで通り監視を続ける。必要とあればこちらからも動く」
土御門「開発部の方で不穏な動きも出ている」
土御門「手遅れにならなきゃいいがな…」


97:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:49:43.40ID:fI8NBYTSa

(とある高校)
詠矢「さーて、やっと昼休みか…」
詠矢「いろいろあったけど、どうにか転校初日にまでこぎつけたなあ…」
詠矢「正直生きてるのが不思議なぐらいイベント連発だったけどな」
詠矢「ま、今日のところは最初の挨拶もつつがなく済ませたし、順調な方かな」
詠矢「とりあえずメシだな。やっぱり学食行くのが定番か」
詠矢「えーっと…どこだっけか」
詠矢「なんか俺、昨日からやたらと迷ってないか?」
詠矢「…あれ?あの見覚えのある髪形は…?」
上条「…お、っと…詠矢じゃねえか!」
詠矢「あ、上条サン。ちわす。でもなんでここに?」
上条「そりゃ、同じ寮に住んでるんだから、高校も同じだろう」
詠矢「…そういえばそうか…当たり前だよな」
詠矢「なんせこっちに来たばっかりでねえ…いろいろと勝手がわからなくて」
上条「来たばっかり?…って、お前もしかして転校生なのか?」
詠矢「そうだぜ?ああ、それも説明してなかったか」
詠矢「俺は学園の外から来た。ちょうど上条サンと会った日にね」
詠矢「んで、今日は登校初日ってわけさ」


99:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:50:00.71ID:fI8NBYTSa

上条「そうなんか…どうりで見たこと無い顔だと思ってたんだよ」
詠矢「まあ、そういうわけで学校の方でもよろしくな。上条サン」
詠矢「で…、そちらのワイルドなお兄さんは?」
上条「へ?…ああ、そうか初対面だよな」
上条「コイツは土御門、俺のクラスのヤツでさ…」
土御門「始めましてだにゃー」
土御門「俺は土御門元春。カミやんのマブダチだぜい」
詠矢「おう、俺は詠矢…詠矢空希ってもんだ。よろしくなー」
土御門「カミやんから聞いたぜい。なんかすごい能力者らしいにゃ」
詠矢「すごいのかどうか俺にもまだわからないけどね…」
土御門「俺は絶対反論(マジレス)だっけか?。聞いたことのない能力だねえ」
土御門「しかも、学園に来たばかりってことは」
土御門「能力開発を受けて無い『原石』ときたもんだ」
詠矢「…」
土御門「自覚があるかどうかわからんが、あんたはすさまじいレアキャラなんだぜい?」
詠矢「情報としては知ってるが…自覚はねえかな…」
土御門「というわけで、そんなレアキャラの詠矢さん、改めてよろしくにゃ」
土御門「カミやんの新しい友達だっていうから、ぜひお近づきにと思ってねい」


100:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:50:12.12ID:fI8NBYTSa

詠矢「…友達?…俺がか?」
上条「ああ、そうだよ。まさか違うとか言うつもりじゃねえだろうな?」
詠矢「んー、まあ、それは願っても無いが…」
詠矢「っていうより、大歓迎だな。こちらこそよろしくな、土御門サン(スッ)」
土御門「ああ、(ガシッ)。えーっと、上条がカミやんだから、詠矢はヨメやんでいいかにゃー?」
詠矢「ヨメやん?…ははっ、いいなそれ」
詠矢「なかなか面白いじゃねえの。好きに呼んでくんな」
土御門「じゃあヨメやんだぜい」
詠矢「……」
土御門「どしたね、ヨメやん?」
詠矢「土御門サン、なんか部活やってる?」
土御門「いや、なんもやってないぜい?」
詠矢「じゃあ、学校外で、子供のころからなんかやってるとか?」
土御門「それも無いにゃー…何でそんなこと聞くんだ?」


101:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:50:21.47ID:fI8NBYTSa

詠矢「俺もガキの頃からそこそこたしなんでるでわかるんだが…」
詠矢「土御門サン、かなりいい体してるよなあ…」
詠矢「しかも、単純に鍛えただけじゃそんな体にはならない」
土御門「…」
詠矢「格闘技でもやってるんじゃないかなって思ったんだけどね…」
詠矢「変なこと聞いて悪かったな」
土御門「…いやいや、別にかまわんぜい」
上条「お前ら…その辺でいいか?」
上条「早くしないと昼休み終わっちまうぞ」
詠矢「ああ、そうだったな」
詠矢「んじゃ食堂行こうぜ、上条サン。案内よろしく」
上条「よっしゃ、任せとけ!。おい、行くぞ土御門」
土御門「…わかったぜい」


102:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:50:28.61ID:fI8NBYTSa

とある高校 食堂)
詠矢「ふう、食った食った…」
上条「なんだよ詠矢、言うほど食ってなかったじゃないか」
詠矢「いやいや、まだ色々と物入りでねえ…」
詠矢「いきなり携帯も変える羽目になっちまったし」
詠矢「いろいろと節約しないとな」
上条「そりゃまあ、引っ越してきたばっかりで大変だろうけどさ」
上条「メシをガマンするのは辛くねえか?」
詠矢「これでも、金額と満足度を最大効率で考えて食ったつもりだぜ」
上条「…いちいち言い回しが解りにくいぞ、お前」
詠矢「それはそうとして、上条サン」
上条「ん、なんだ?」


103:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:50:35.63ID:fI8NBYTSa

詠矢「放課後にでもさあ、学校とか町とか案内してくんねえかな?」
詠矢「昨日から迷ってばっかりでさ、いろいろ教えてくれると助かるんだけどなあ…」
上条「それが今日は無理なんだよ。放課後バイトでさ…」
詠矢「なに、バイトですと?」
詠矢「もし空きがあれば、ぜひ俺にも紹介して頂きたいんですが!!」
上条「な、なんだよいきなり。普通のコンビニだぞ?」
詠矢「先ほど申しましたとおり、こっちの財政状態は非常に逼迫しているのです」
詠矢「早いことバイト見つけないとヤバイんだよ」
詠矢「コンビニぐらいがちょうどいいと思ってたとこだし、上条サンと同じ職場だと安心だ」
詠矢「頼むぜ上条サン!」


104:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:50:45.66ID:fI8NBYTSa

土御門「ほれほれ、『友達』の頼みだぜカミやん。なんとかしてやんなよ」
上条「あ…ああ、確か今募集してたと思うから…」
上条「店長に話してみるよ…」
詠矢「恩に着るぜ上条サン!じゃあ早速放課後に行くか」
上条「わかったわかった…じゃあ校門で待ち合わせな?」
詠矢「よし、決まりだ。じゃあ、また後でな」
詠矢「土御門サンもまたなー」
土御門「ああ、またにゃー」
詠矢「…(さてと)」
詠矢「(上条サンといると色々繋がってくるねえ)」
詠矢「(しかし…土御門って人、ありゃだだモンじゃねえな…)」
詠矢「(能力への知識、あの体つきと独特の雰囲気)」
詠矢「(修羅場くぐってるタイプって感じだね)」
詠矢「(…あの対応でよかったのかね)」
詠矢「(まあ、隙の無い奴だと思わせといたほうがいいだろうし)」
詠矢「(あんなもんかね…)」
詠矢「おっと予鈴だ…教室戻んねえと…」



105:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:50:55.53ID:fI8NBYTSa

(とあるコンビニ)
上条「ありがとうございましたー」
上条「ふう、一段楽したかな…」
詠矢「こっちも品出し終わったぜ」」
上条「おう、お疲れさん」
詠矢「いやあ、感謝するぜ上条サン。いいバイト紹介してくれて」
上条「そうか?普通のコンビニのだろ?」
詠矢「しらばっくれてんじゃねえよ…。ほら、店長がまた集めてくれてるぜ」
上条「ここの店長は廃棄品に甘いからな。少々持って帰っても大丈夫さ」
上条「時給は普通なんだけど、これが助かるんだよなあ」
詠矢「食費が抑えられるってのはありがたいやね」
上条「全部持ってくなよ。廃棄もそれなりに出さないと怒られるらしいから…」


107:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:51:09.62ID:fI8NBYTSa

上条「んじゃ、俺は倉庫の片付け行ってくる。レジ頼むぜ」
詠矢「うい。頑張ってなー」
詠矢「…」
詠矢「こっちに来しばらく経ったけど…」
詠矢「なんだかんだで結構知り合いも結構出来たし」
詠矢「バイトも学校も順調だし言うこと無いねえ」
詠矢「青春を謳歌してるってヤツかな!!」
詠矢「…」
詠矢「なんだろうこの一抹の空しさは…」
詠矢「まあいいや、雑誌の整頓でもしとくか…」


109:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:51:20.28ID:fI8NBYTSa

??「…」
詠矢「(お、お客さんだ)いらっしゃいませー」
御坂「え!」
詠矢「お、御坂サンじゃねえの。お久しぶりー」
御坂「なんでアンタがここにいるのよ!!」
詠矢「そりゃバイトしてるからに決まってるだろ」
詠矢「ほれ、バッチリ制服も着てるぜ」
御坂「…なんでたまたま寄ったコンビニで…」
御坂「よりにもよってアンタなんかに出会わないといけないのよ!」
御坂「なんの冗談よこれは!」
詠矢「ほら、また会うって言ってただろ?」
詠矢「なんかの縁なんだよ。こういうのもな…」
御坂「そんな縁、チェーンソーかなんかでブチ切ってやりたいわね…」
詠矢「まあまあ、そういうなよ。せっかくだからなんか買っていきな」


110:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:51:28.01ID:fI8NBYTSa

御坂「いいわよ、もう。どうせ立ち読みに来ただけだし、ここじゃなくたって…」
上条「詠矢、片付け終わったぜ」
御坂「え…!!」
上条「げ…ビリビリ…」
御坂「あんたねえ、いい加減にその呼び方やめなさいよ!!」
上条「ええ、はいはい、そうでしたね。御坂様」
上条「で、常盤台のお嬢様がこんな場末のコンビニに何の御用ですか?」
御坂「そりゃお客に決まってるでしょ!もっと丁重に対応しなさいよ!」
詠矢「さっき立ち読みに来ただけだって…」
御坂「…(ジロッ)」
詠矢「…なんでもございませんお客様」


111:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:51:35.46ID:fI8NBYTSa

詠矢「しかし、お二人が顔見知りだったとは…」
詠矢「上条サンの顔の広さには改めて驚愕だねえ」
上条「知り合いっつーかなんつうか…まあ、いろいろありまして…」
御坂「何よその嫌そうな顔は…」
上条「いえいえ、決してそのようなことは…」
上条「っていうか、詠矢こそ御坂と知り合いなのか?」
詠矢「ああ、まあね…。こっちも少々ありまして…」
御坂「…まあ…ちょっとね」
御坂「じゃなくて!話そらさないでよ!」
御坂「アタシと知り合いなのがそんなに嫌なわけ?」
上条「いえ、決してそのようなことは…」


112:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:51:45.02ID:fI8NBYTSa

御坂「じゃあなんでそんな引きつりまくった顔なのよ!(バチッ)」
上条「いや、…そうでなくてですね…ここで電撃を打たれるとですね…店の商品が…」
詠矢「…」
詠矢「仲いいな…あんたら…」
上条「へっ?」
御坂「へっ?」
詠矢「もしかして付き合っちゃってるとか?」
御坂「…!!」
御坂「な…、何言ってんのよ!バッカじゃないの!?なんでアタシがこんなヤツと付き合わないといけないのよ!!」
上条「違うぞ詠矢、それは激しく違う…。ていうかこの状況をみてなぜその結論に達するんだ…」
詠矢「…うわー…」
詠矢「ダメだよそれ、御坂サン」
御坂「…?」


113:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:51:52.65ID:fI8NBYTSa

詠矢「しゃべり始めのどもり、そしてその後の強すぎる否定。これはほぼ確定なのですよ御坂サン」
御坂「…アンタ何言ってんの?」
詠矢「そう、そしてこれ以上突っ込まないほうがいいのもまた道理」
詠矢「というわけでタワゴトだと思って聞き流してくんな」
御坂「…相変わらずわけわかんないヤツね…」
上条「詠矢が壮大な誤解をしてるようなのは気のせいでしょうか…」
詠矢「いや、もういいよ。この情報はいつか実を結ぶときが来るかもしれない」
詠矢「そのときまで俺の胸にしまっとくよ」
御坂「なんか、明らかにバカにされた気分ね…」
御坂「…フン…(スタスタ)」


115:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:52:38.12ID:fI8NBYTSa

上条「帰るのか?買い物はいいのかよ」
御坂「コンビになんて何処でもあるでしょ。わざわざこんな気分の悪いとこで買いたくないわ!」
御坂「…」
詠矢「帰っちまったか…」
上条「どうにか商品は無事だったな…」
上条「ふう…」
詠矢「どした、ため息なんぞついて」
上条「なんでこう、俺の周りのヤツはこんなのばっかりなんだ…」
上条「おかげで、上条さんの毎日はお祭りサバイバルな状態なんすよ!」
上条「俺だって普通に学生生活をエンジョイとかしたいわけでね…」
詠矢「エンジョイってーと?」
上条「そりゃやっぱり恋とか勉学とかを普通にたしなんででだな…」
詠矢「…」
上条「んで、彼女でもつくってさあ、こう…」
詠矢「……いやいや」
詠矢「彼女なら結構な勢いで作れそうなんだが…」
上条「それがさあ…どうにも出会いが無くてなあ…」
詠矢「…上条サン、割と本気で殴っていいか?」
上条「…なんでせうかその物騒な申し出は」


116:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:52:46.27ID:fI8NBYTSa

(とある街角 夕刻)
詠矢「今日も良く働いたなあ…」
詠矢「さーて、晩飯は確保してるけど、ちょうどいい時間だし」
詠矢「スーパー寄って見切り品でも漁るかねえ」
詠矢「…♪」
詠矢「…お」
詠矢「(女の子が…絡まれてるのか?)」
詠矢「(この最先端の詰まった学園都市で、昭和の風景だねえ)」
詠矢「(しかしまあ、ちと路地の奥とはいえ、こんな往来で…アホじゃねえか?)」
詠矢「(ま、イベントが発生してるんなら積極的に攻めますか)」


117:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:52:55.35ID:7s3oEGi+0

これ10年ぐらい前だろ


123:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:53:46.80ID:fI8NBYTSa

>>117
9部は5年前やな
続きを待ち続けとるわ


118:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:52:56.53ID:fI8NBYTSa

不良A「君ぃ、なかなかかわいいねえ…」
不良B「綺麗な髪してるねえ…(サワ)」
??「…!!(髪触られたっ!!)」
不良C「俺たちとどっか遊びに行かない?」
??「いえ…あの…これから用事が…」
不良A「そんなこと言わないでさあ…」
??「あー、はははは…(マズイなあ…)」
??「…(見逃してくれそうに無いなあ…どうしよう)」
詠矢「はいそこの典型的なDQNさんたち!!」
不良A・B・C「あ?」
詠矢「なにしてんのかなあ?」
不良A「ナンダてめえわぁ!!」
佐天「あ…」
詠矢「…あれ?」
佐天「容疑者…さん?」
詠矢「あれま…あの時会った娘か…。こりゃ偶然」


119:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:53:04.50ID:fI8NBYTSa

不良A「シカトしてんじゃねえ!!」
詠矢「あ、ゴメンゴメン…つーか俺の質問に答えるのが先だろ、なにやってかって聞いてんだよ」
不良B「なんかテメエに関係あるよかよ!」
詠矢「…あー、もういい。お前らには『質問』の意味から説明してやらないといけねえな、答える気が無いならこっちで判断させてもらう」
詠矢「見たところ、『強引なナンパ』だな」
詠矢「彼女のおびえた表情を見れば理解できる」
佐天「…」
詠矢「面倒なんでお前らの反論を聞く前に確証を取っておく」
詠矢「そこの人、今行われてる同行への誘いは、本人の意思を無視した脅迫や強要をを伴うものかな?」
佐天「…!は、はい!!(コクコク)」
詠矢「はい脅迫が成立です。犯罪だね」
不良C「…ナメてんじゃねえぞてめえ…」
詠矢「ナメてるよ、悪いけど。お前らは所詮その程度の存在だ」
不良C「痛い目見ないとわからねえらしいな…(チャキ)」
詠矢「ナイフ…ねえ…(ジロッ)。まったく…」
詠矢「お前らは単に暴力に禁忌が無いだけのゴロツキだ。それを強いと勘違いしている」
詠矢「そうゆうのは俺が一番嫌いなタイプだ」
詠矢「…手加減しねえから覚悟しとけ…」


120:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:53:04.51ID:ew4pg+gS0

なろう以上のキモさがあるわ
SSにしてもゆっくりにしてもキモすぎて



121:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:53:15.20ID:fI8NBYTSa

不良C「余裕かましてんじゃねえ!!。そのナメたツラに風穴開けてやる!(ダッ)」
詠矢「武器に任せた突進…そんなもん」
不良C「なにっ!!」
詠矢はナイフをかわすと即座に腕を取り、相手の内側に体を滑り込ませる。
詠矢「一本…」
不良C「…!!」
詠矢「…背負いっと!!(ドサッツ)」
不良C「ぐはっ!」
詠矢「はい、追い討ち!(ドカッツ)」
起き上がる間を与えず、詠矢は踵で相手の鳩尾を思い切り踏み抜いた。
不良C「が、がはっ!がっ!!…!!」
詠矢「まあ、たいがいの人間はこれで悶絶してしばらく動けなくなる」
不良B「てっ、てめえ!!」
詠矢「なーにいまさら驚いてんだよ。勝算もなしにケンカ売るかよ…」
詠矢「被害者の人、今のうちに逃げな!!」


122:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:53:37.09ID:HhSumQCIr

正直ワイこれめっちゃ好きや
SSなんてくさくてなんぼやろ


124:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:53:57.89ID:fI8NBYTSa

佐天「え?…えっと…(ソロ)…!(ダッ)」
不良B「あっ!!この…」
不良A「…」
不良A「おめえ、俺を完全に怒らせたな…」
不良B「おい、逃げちまったぞ!」
不良A「女のことはもうどうでもいい!!」
不良A「上玉だったんで少々惜しいがな…」
不良A「とりあえず、コイツをぶちのさねえと気が済まねえ」
不良A「後悔させてやるよ!!!!!」
男の怒気が膨れ上がると、突然何の前触れも無く近くにあったブロック塀が粉砕された。
詠矢「…!?」
詠矢「能力者…か…」


125:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:54:03.84ID:J4J4MHTS0

ワイは好きやで
原作もあんま知らんけど普通におもろいと思う


126:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:54:09.32ID:fI8NBYTSa

不良A「どうだ!謝ってももお遅いぜえ!!」
不良A「俺の能力はレベル3の念動豪腕(インビジムル・アーム)だ!」
詠矢「なるほど…ご大層な名前だが、様子するに念動力(サイコキネシス)の一種だな…」
詠矢「またご丁寧にレベルと名前まで公表とは…」
詠矢「おめでたいヤツだな。ま、バカな自己顕示欲のせいで色々助かるが」
不良A「ケッ、言ってろ!!」
不良A「俺の『腕』で、テメエの体グチャグチャに引き裂いてやるぜ!!」
突然、先ほど壊したブロックの一つが宙に持ち上がる。それは何かに投げられたように詠矢に向かって飛来する。
詠矢「(ガッ)っと!!あぶねえ…」
不良A「頭を掠っただけか…運のいい野郎だ…」
詠矢「(さて、どうしたもんか…単純な能力の論証は意外と難しい…)」
詠矢「(ただ、ヤツが言った名前にヒントがある)」
詠矢「(要するに、両腕とは別の見えない『腕』を想定し、それを使うことによって物体を動かす力)」
詠矢「(そんなところだろうな…)」
詠矢「(では、『論証』に移りますか…)」


127:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:54:19.49ID:fI8NBYTSa

詠矢「おいお前!!」
不良A「なんだ!」
詠矢「そんなガレキいくら投げても当たらんぜ」
詠矢「それはお前さんご自慢の『腕』で投げてるんだよな?」
詠矢「人間が何かを投げる場合、必ず予備動作が必要だ」
詠矢「振りかぶる、腕を引く。そうやって初めて前に物を飛ばすことが出来る」
詠矢「そんな派手に『腕』動かしてたら…」
詠矢「お前が飛ばす瓦礫の軌道は丸見えだぜ!!」
不良A「な、なんだとこの野郎!!(ブン)」


128:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:54:31.04ID:fI8NBYTSa

詠矢「よっと…(ヒョイ)」
不良A「このっ!(ブン)このっ!!(ブン)、野郎ちょこまかと逃げやがって!!」
詠矢「だから当たらねえってんだろ…」
詠矢「それにお前…さっきは引き裂くとか言っときながら…」
詠矢「瓦礫投げてるだけじゃねえか」
詠矢「なぜその『腕』で俺を直接攻撃しない?」
不良A「…」
詠矢「お前の能力…思ったより射程が無いな…?」
不良A「…っ!!て…」
詠矢「図星か…」
詠矢「自分の能力に射程が無いのがわかってるなら」
詠矢「さっさと俺に近づいて首でも絞めれば勝負は既に付いていたかもな」
詠矢「悪いが、お前みたいな考えの無いバカに」
詠矢「俺の絶対反論(マジレス)は絶対に負けない!」
不良A「こ…こんのぉおおおお!!」
不良A「そんなもん、お前だって同じだろうがぁ!」
不良A「近づてこないと、俺は永遠に倒せないぜえ!!(ブン)」
詠矢「(それは確かに言う通りだな)」
詠矢「(ブロックを軽々と投げる腕力で殴られたら、流石にひとたまりも無いだろう)」
詠矢「(だが奴の能力の詳細が分かった以上、切り口はいくらでもある)」
詠矢「(…そろそろ仕上げと行きますか)」


129:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:54:38.11ID:fI8NBYTSa

不良A「おるぁ!離れていても攻撃が届く分、おれの方が有利だなあ!!(ブン)…(ブン)」
詠矢「そいつはどうかな?さっきから一発も当たってねえみたいだが?(ヒョイ)」
詠矢「もう少し数を増やして、おれを追い詰めた方がよくねえか?」
詠矢「それとも、出せる腕の数にも限度があるのかな?」
不良A「はっ!なんでそんなことてめえに教えてやる必要がある!」
詠矢「教えてくれないのか…そいつは困ったな」
不良A「だぁが、お望みとあればあ!!」
不良A「ほらほら!増えるぜ!どんどん増えるぜ!(ブン)…(ブン)…(ブン)!!」
不良A「壁をブチ壊せば瓦礫はいくらでも作れる。弾切れ期待しても無駄だぜえ!!」
詠矢「ちょ…っと…増えすぎ…だろ…うおっ!!(ドカッ)」


130:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:54:40.58ID:KWmviexnd

原作知らんけどわりと才能ありそう


131:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:54:46.42ID:fI8NBYTSa

よけきれなかった瓦礫の一つが、詠矢の肩口に命中した。
詠矢「ぐっ…」
不良A「はあい、一発命中…。動きが止まったところで、トドメと行きましょうかあ!!」
男が再度念を込めると、今までとは比べ物にならない数の瓦礫が宙に浮かぶ。
不良A「どおだ…これがお前をミンチにするんだぜ…」
不良A「俺の全力攻撃、食らいやがれ!!」
詠矢「…」
詠矢「…言ったな?(ニヤリ)」
不良A「なに?」


132:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:54:53.49ID:fI8NBYTSa

詠矢「お前今『全力』って言ったよな?」
詠矢「全力、ってのは最大限の力ってこと…つまり、上限が設定された言葉だ」
詠矢「つまり、今の状態がお前が出せる『腕』の上限ってことだ…」
不良A「…なに言ってやがる…だからどうした?時間稼ぎのつもりか!!」
詠矢「簡単なことだ。両腕に荷物を持ってる時は…(ザッ)」
詠矢「もう腕は使えないよな?」
不良A「なっ!!…(一瞬で、懐に!!)」
詠矢「今お前は両腕バンザイ状態だ・・・」
詠矢「守りに回す手は…どこにもない…」
不良A「て、てめっ!!(なんでだ!ヤツの動きを)」
詠矢「…ふうっ!!」
不良A「(止められない!!)」
詠矢「どっせい!ボディアッパー!!」
低い位置から捻りだすように放たれた詠矢の拳は、斜め下方向から相手の鳩尾に深々と突き刺さった。
不良A「ごっ…がっはぁあ!!!…ぁ」


133:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:55:01.03ID:fI8NBYTSa

詠矢「勝負アリ…だが、コイツはオマケだ…」
崩れ落ちてくる男の顔面に、詠矢渾身の上段正拳が炸裂する。
詠矢「よいしょお!!(ゴキャッツ)」
不良A「がっ…!!!(ガクッ)…(ドシャッ)」
不良B「ウソだろ…あいつが…負けた?」
詠矢「まあ、こんなもんだろ…。それより、逃げねえのか?」
不良B「へっ?…な…!?(瓦礫が…!?)」
詠矢「『持ち主』が気を失えば手に持ったものは落ちてくる。当たり前だわな」
不良B「ちょ、ちょとま…うわ…ギャァァァァアア!!(ドカドカドカドカッ)」
詠矢「巻き込まれたか…ま、微塵も同情する余地はねえな」
詠矢「さあって…とっとと退散しないとマズイんだっけか」
詠矢「忘れずに晩飯を回収してと…」
佐天「…あ…あの、待って下さい!!」


134:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:55:08.31ID:fI8NBYTSa

詠矢「あれ?さっきの娘じゃないか…逃げたんじゃなかったのか?」
佐天「そう思ったんですけど…、ほら、逃げちゃうと」
佐天「すぐにお礼言えないじゃないですか」
詠矢「…」
詠矢「そいつはまた見上げた心がけだが…」
詠矢「俺が負けたらどうするつもりだったんだい?礼も何も無いだろう」
佐天「そんときは…ほら…まあ…全力で逃げます!」
詠矢「うわ、それはそれで地味にひでえな…」
佐天「でも、大丈夫だと思ってました」
佐天「聞きましたよ?あの御坂さんや白井さんに…勝っちゃった…とか?」
詠矢「…まあ、そうなるのかねえ…負けなかっただけで勝ったつもりはねえけど」
佐天「そうなんですか?…あ、そうだ。お礼言ってなかった…」
佐天「助けて頂いてありがとうございます!!」


135:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:55:15.69ID:fI8NBYTSa

詠矢「あー、はいはい、どういたしまして」
佐天「あ…えと…」
詠矢「…」
佐天「…」
詠矢「……」
佐天「……」
詠矢「(あれ?言葉が出ねえな…こういう時どうするんだっけ?)」
詠矢「…えーっと…このパターンは…」
佐天「…?」
詠矢「じゃあ、さ…寮まで送ってこうか?ほら、一人だとマズイっしょ。いろいろ…」
佐天「…あ、はい。よろしくお願いします…」



136:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:55:23.22ID:fI8NBYTSa

とある街角)
佐天「…」
詠矢「…(さて)」
佐天「…」
詠矢「…(歩いてはいるが)」
佐天「…」
詠矢「…(話すことねえなあ)」
佐天「…」
詠矢「…(空気が重い)」
佐天「…」
詠矢「…(どうしたもんか)」
佐天「…あの」
詠矢「…はいっ!?(ビクッ)」
佐天「そこ左です…」


137:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:55:30.32ID:fI8NBYTSa

詠矢「あ、はいはい…」
詠矢「…」
佐天「…」
佐天「…えっと…」
詠矢「ん?次はどっちに曲がるのかな?」
佐天「じゃなくてですね…」
佐天「自己紹介、してなかったですね…」
詠矢「ああ、俺もそうか…」
詠矢「俺は詠矢、詠矢空希ってもんだ、よろしくなー」
佐天「佐天、涙子です…。よろしくです!」
詠矢「お、元気な声出たねえ」
佐天「あはは・・・、実はですねえ」
佐天「詠矢さんって怖い人なんじゃないかって思ってたんですよ」
詠矢「俺が?」
佐天「白井さんと御坂さんの話を聞く限りでは…そんな感じで」


138:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:55:38.27ID:fI8NBYTSa

詠矢「…どんな風に伝わってるのかすごく気になるんですが」
佐天「でも、意外と話しやすい人なんですねえ」
詠矢「ああ…そいつはどうも…ありがとう」
佐天「で…能力者…なんですよね?」
詠矢「そうだね…」
佐天「レベルは0だけど、すごい能力だって…」
詠矢「あのさあ?」
佐天「は、はいっ!」
詠矢「喉渇いてないかな?」
佐天「え…?」
詠矢「ちょいと軽く運動したんでね。ちょうど自販機もある。何がいい?」
佐天「い、いえいえ!私が買います!」
詠矢「いや、でもさすがに女の子に買わせるのもねえ…」
佐天「いーえ、せめてこれぐらいは奢らせて下さい!!」
詠矢「んー、じゃあお願いしちゃうかな…。あ、俺は普通のコーヒーでいいよ」


139:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:55:46.18ID:fI8NBYTSa

佐天「はい!じゃあ(チャリン)…えっと(ゴトン)…これで…」
詠矢「うい、どうもー(プシッ)」
佐天「私も何か…(チャリン)…(ゴトン)」
詠矢「じゃあ、話の続きだね」
詠矢「俺は能力者ではあるが、正真正銘レベル0だよ」
詠矢「こないだ、正式な測定ってやつを受けたんだけど」
詠矢「やっぱり数値は検出されなかったよ」
佐天「でも、実際に効果はあるんですよね…」
詠矢「うん。効果は間違いなく有るね」
詠矢「ただ、効果と測定される数値との間にどんな関係が有るのかは」
詠矢「俺にはわからんしね…」
詠矢「レベルってのは目安みたいなもんだし、俺にとっちゃ結構どうでもいいんだよ」
佐天「…」
佐天「…私もね、レベル0なんですよ」
佐天「学園に来て…能力開発とか、自分なりに頑張ってるつもりなんですけど…」


140:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:55:55.24ID:fI8NBYTSa

佐天「全然数値が上がらなくて…」
詠矢「…」
詠矢「大変なんだねえ…」
詠矢「俺は、気が付いたら能力を持ってたからなあ…」
詠矢「なんの努力もしてないし…なんか悪いな。能天気で」
佐天「いえいえ、そんなつもりで言ったんじゃ…(アセ)」
佐天「ただ、私と同じレベル0で」
佐天「確かな力を持ってるって、どんな人なのかなあって…」
佐天「ちょっと興味があって…」
詠矢「…」
詠矢「…うーん…」
詠矢「ちょっと質問いいかな?」


141:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:56:03.90ID:fI8NBYTSa

佐天「はい、なんですか?」
詠矢「能力開発ってやったこと無いんだけど…」
詠矢「具体的に何やるのかな?」
佐天「投薬とか、電気刺激とか…。あと普通に勉強もします」
佐天「能力に対して知識を深めることも必要らしくて…」
佐天「でもやっぱり、パーソナルリアリティの獲得には、イメージトレーニングが重要ですね」
詠矢「なるほどねえ…それは解るな」
詠矢「やっぱり能力って、感情や精神から強い影響を受けるみたいだしね」
詠矢「イメージは重要だわな」
佐天「そうなんですよ。私はあんまりその辺が得意じゃなくて…」
詠矢「んー…そうだなあ…」
佐天「…?」
詠矢「佐天サン。レベル0とはいえさ、能力の種類とか起こせる事象とかは解ってるのかな?」
佐天「はい、それは…」
佐天「実は私、前にある事件に関わって…」


142:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:56:06.29ID:t5ffJUC80

なろうのせいでこういうの完全に死んだよな


143:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:56:13.82ID:fI8NBYTSa

佐天「一時的に能力が上がったことがあったんです」
詠矢「へえ…そんときに、有る程度確認できたってことか」
佐天「はい…。風を起こす能力なんですけど…、でも力の形を見たのはそれっきりなんですよね」
詠矢「へえ…風ねえ…」
詠矢「じゃあ、俺の天敵になるぞ」
佐天「へ?…そうなんですか?」
詠矢「ああ、俺の能力は、相手の耳に声が届かないと効果がないんだ」
詠矢「風を生む能力ってのは定義が難しいが、恐らく空気か気圧を操作する能力だろう」
詠矢「どっちにしろ、そんな能力者にとって音を遮断することなんて簡単だろうし」
詠矢「声が届かなきゃどうしようもない、俺としちゃお手上げになるね」
佐天「あー、確かにそうなりますねえ」
詠矢「『風』ってよりは『空気の操作』って考える方が効果が広がるな」
詠矢「空気の位置を動かして密度を下げれば気圧も操作出来る」
詠矢「気圧の低下による水の沸点の低下、気化熱による凍結とかコンボも可能だし」
詠矢「単純に顔の周りに真空を作って相手を窒息させたりも出来るな」


144:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:56:23.48ID:fI8NBYTSa

詠矢「違う速さの風を作って、任意に揚力を生み出すとかどうだろうか」
佐天「ナルホド…少し考えれば出来ることは色々広がりますねえ」
詠矢「イメージさえ出来れば、意外とやれることは多いと思うんだよね」
詠矢「そうやって、得た能力で何しようとか考えると楽しいだろ?」
詠矢「無邪気にそういうこと考えるのも、トレーニングになったりするんじゃねえのかなあ」
佐天「うーん…そうですねえ…風が操れたら…」
佐天「空とか飛んでみたいですね…気持いいだろうなあ」
詠矢「いいねえいいねえ。そんな感じ」
佐天「あと、風って言えばやっぱり初春の…あ…」
詠矢「…なんだ?」
佐天「いえ、ナンデモアリマセン…


145:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:56:32.09ID:fI8NBYTSa

佐天「ああ、でも、実際に風を操るって、どんなふうにやるんでしょうね?」
麹イ天「具体的なャCメージが湧かbネくて…」
詠矢「どうなんだろうねえ…」
詠矢「自然の風は気圧差から生まれるものだけど…、イメージしにくいわな」
詠矢「そしたらさあ…こう、空気をつかんでぶん回す感じでどうよ?」
佐天「つかんで…回す…ですか…むむ…」
佐天「目を閉じた方が集中しやすいですよね…ん…」
佐天「(つかんで…回す…、引っ張ったり投げたりもアリかな…)」
佐天「…」
詠矢「…(さあて…、どうかな)」
詠矢「…ん…?(何の音だ?)」
詠矢「…(風音?)」
突如、不自然な風が吹く。それは少女を中心に渦を巻き、集束し、やがて霧散していく。
佐天「…?(ヒュゴゴゴ)…(ヒュ-)」
詠矢「…(消えた…か。だが、今のは確かに!)」


146:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:56:38.51ID:1t7Z//kX0

ちょとまて
ワイの美琴でなにつくりばなししてんだ?


147:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:56:41.36ID:fI8NBYTSa

佐天「…あれ…なんか風が…?」
佐天「え!?、まさかそんな急に…?」
佐天「気のせい、ですよね…やっぱり…はは・・・」
詠矢「来たぜ、佐天サン…」
佐天「何がですか?」
詠矢「君のおかげでようやく立証が出来た。ありがとう」
佐天「・・・?あの、話が見えないんですけど…」
詠矢「俺も、自分能力を模索してる最中なのさ。その答えの一つが今出たんだ」
佐天「…は、はあ…出来ればもう少しわかりやすくお願いします…」
詠矢「絶対反論(マジレス)には別の使い方があるんだ…つまり…」
白井「お取り込み中失礼します」
詠矢「…あ…?」
詠矢「…こいつは白井さん、お久しぶり…」
白井「お久しぶりですわね…」
佐天「あ、白井さんじゃないですか。どうしたんですか?」


148:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:56:55.56ID:fI8NBYTSa

白井「先ほど、事件がありまして…その対応ですわ」
白井「状況からして、ただの能力者同士の喧嘩だったのですが…」
詠矢「あ…もしかして…」
白井「倒れていた男に供述を取ってみると」
白井「能力の制御がどうのとか、ゴチャゴチャうるさい奴がいたとか…証言が取れまして」
白井「まさかと思って周囲を捜索していたのですが…」
詠矢「…大当たりだねえ…」
白井「そのようですわね」
白井「まさか、佐天さんまで関わっていようとは、思いもよりませんでしたが…」
佐天「あの、もしかして詠矢さんが疑われてるんですか?」
佐天「だったら違います!詠矢さんは私を…助けてくれたんです!」
白井「それはわかっていますわ佐天さん」
白井「あの不良共は、このあたりでは有名な札付きでしたし」
白井「佐天さんがからまれていたことも」


149:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:57:06.04ID:fI8NBYTSa

白井「先に手を出したのが向こうであることも、目撃者の証言からも明白です」
詠矢「そこまではっきりしてるんなら、俺に何の用だい?」
詠矢「もしかして用があるのは佐天サンの方とか?」
白井「いいえ、ご用件は詠矢さんにです」



150:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:57:14.14ID:fI8NBYTSa

白井「容疑が無いとはいえ、加害側からは証言を取っておく必要があります」
白井「それとは別に、詠矢さんに確かめたいことがありますので…」
白井「支部まで出頭願えますこと?」
詠矢「俺に…ねえ…。どうするかねえ…」
白井「悩む必要はございませんわ」
白井「わたくしが申し渡した約束、もうお忘れですか?」
詠矢「…ああ…次に出頭を…だな」
白井「思い出していただければそれで結構ですわ」
白井「では、まいりましょうか?」
詠矢「うい、素直に了解だ。んじゃ、ここでお別れだ佐天サン」
詠矢「送っていけなくてゴメンな?」
佐天「いえ、そんなことは…」
詠矢「じゃ、縁があればまたな…」
佐天「はい…えっと、いろいろとありがとうございます!」
詠矢「うーい。こっちこそありがとう」


151:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:57:23.43ID:fI8NBYTSa

詠矢「んじゃ行きますか。白井サン」
白井「では参りましょう…今回も『徒歩』ですわよ?」
(ジャッジメント177支部)
白井「では、調書はこれぐらいでいいでしょう」
詠矢「結構簡単に済んだねえ…」
白井「ええ、状況は既に把握しておりますので」
白井「では、ここからが本題です」
白井「初春、これ以後の記録は必要ありません。手を止めて下さい」
初春「あ、そうなんですか?じゃあ…わかりました」
詠矢「なんだい、またあらたまって…」
白井「あなた相手に、回りくどい話は無駄でしょう」
白井「詠矢さん、わたくしに隠してることはございませんか?」
詠矢「…質問の意味がよくわからんが…?」
白井「では、わかるように、わたくしが気づいた事をお教えしましょう」
詠矢「…気づいた?」
白井「転移の暴発の後、川に落ちたとおっしゃいましたね?」


152:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:57:31.84ID:fI8NBYTSa

白井「最初にお会いした路地裏から、わたくしの能力の射程、81.5m…」
白井「その範囲を、地図上で調べてみましたの」
白井「…もうお分かりですか?」
詠矢「ああ…何が言いたいかはわかった…」
詠矢「範囲内には、川なんか無かったってことか」
白井「ええ、その通りですわ」
白井「あなたは、わたくしの能力の限界を超えて転移したことになります」
白井「限界値というものは、能力開発の過程で、綿密な計測のものとで確定します」
白井「いくら暴発したとはいえ、何かの間違いや勢いで超えてしまうものではありません」
白井「ですので…必然的に、原因はあなたの能力ということになります」


153:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:57:39.47ID:fI8NBYTSa

詠矢「…さすが白井サン…鋭いね…。全部正解だよ」
白井「わたくしの転移限界を知ろうと拘ったのも、そのせいですね」
詠矢「ああ…そいつも正解だな…」
詠矢「能力を実感してから、ずっと考えていたことなんだけどね」
詠矢「俺は能力の定義を『抑制』とは言わず、あえて『変質』と言った…」
詠矢「自分で自分の可能性を潰しちまわないようにな」
白井「ではやはり、絶対反論(マジレス)は、能力の増幅も可能だと…」
詠矢「間違いなく可能だな…。具体的なやり方もなんとなくわかった」
詠矢「否定して思い込ませれば抑制出来るんだから」
詠矢「新しい可能性を指摘し、それを肯定して思い込ませれば増幅が可能だろう」
白井「…また、とてつもなく厄介な能力になりましたわね」
詠矢「そうかい?能力の増幅なんて、使い勝手いいしさ」
詠矢「能力開発に苦労してる人もいるみたいだし、すげえ需要あると思うんだけどねえ」
白井「詠矢さん、あなたはこの学園都市の実情をご存知無さ過ぎます」
白井「絶対能力進化(レベル6シフト)…というのをご存知ですか?」


154:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:57:48.33ID:IWTHi+u60

なんJと比べたら何かを生み出す代償に一定数の痛いやつの存在も必要やったんやなって


155:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:57:49.82ID:fI8NBYTSa

詠矢「レベル6?…能力のレベルって5までじゃなかったか?」
白井「その存在しないレベル6を作り出すための実験…」
白井「この学園都市の最終目的の一つでもあります」
詠矢「なんか、聞いただけでヤバそうな話だな…」
白井「いまだに、この実験に絡んで暗躍している者がいるという話です」
白井「実際に、私が関わった事件もあります」
詠矢「そういう連中からしてみれば、俺の能力は…魅力的だろうな」
白井「恐らく…そう映るでしょうね」
白井「そのことを解っていただいた上で、あなたにお願いがありますの」
詠矢「忠告ならわかるが…お願いかい?」
白井「ええ…、もしあなたに実験を望む者たちから接触があっても、一切関わらないで頂きたいのです」
詠矢「…なぜ白井サンがそんなことを願うんだい?」
詠矢「理由を聞かせてくれる助かるね」
白井「レベル6シフト実験…それで、とても悲しい思いをした人がいますの」
白井「そのかたに、もう一度同じ思いをして欲しくない…」


156:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:58:01.71ID:3QUo/mvd0

これこんな長かったんか…


159:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:58:34.36ID:fI8NBYTSa

>>156
今1/10くらいやぞ


157:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:58:01.74ID:fI8NBYTSa

詠矢「まあ俺も、ハナから面倒ごとは願い下げだし」
詠矢「白井サンに頼まれるまでもなく、そんな話が来てもこっちからお断りだね」
白井「ならよろしいのですが…ご理解頂いて感謝します」
詠矢「いやなに、別に俺は何もしてない」
詠矢「色々と教えてもらってこっちが礼を言いたいぐらいさ」
詠矢「…さて、話は終わりかな?」
白井「ええ、お話したいことは以上ですわ」
白井「お帰り頂いて結構です」
詠矢「うい…。じゃああっさり帰るぜ」
詠矢「またなー」


158:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:58:10.74ID:fI8NBYTSa

初春「…ほんとにあっさり帰っちゃいましたね」
初春「じゃあ、私も帰ります」
白井「お疲れさま…。あら初春、パソコンの電源が入ったままですわよ?」
初春「あ、いいんですよ。実験に参加中なんで…」
白井「実験?」
初春「ええ、ネットワーク上の余剰演算力の活用実験だそうで…」
初春「ネットワーク上に存在するパソコンやゲーム機の余った処理能力を利用して」
初春「どこまで高い演算能力が確保出来るかって実験です」
白井「…ちょっと胡散臭いですわね…。チェーンメールの類ではありませんの?」
初春「いえ、私も最初はそう思ったんですけど…」
初春「学園の開発部から正式な通達みたいで…」
初春「ツリーダイヤグラムには遠く及ばないみたいですけど」
初春「また天気予報が当たるようになればいいなって…」
白井「そうでしたの…なら仕方ありませんわね…」


161:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:58:41.68ID:fI8NBYTSa

初春「じゃあ、お先に失礼します」
初春「あ、ちょっと気になったんですけど、あの詠矢って人…」
初春「あれで、ホントに理解してくれたんでしょうか?」
白井「恐らくは大丈夫かと…、考えのない人物では無いと思いますので…」
白井「それに…」
初春「…?」
白井「あの方は、わたくしを傷つけようとはしなかった。やろうと思えば出来たにも関わらず…」
白井「その点では、最低限の信頼を置いてもよろしいかと思います」
初春「…へえ…」
白井「なんですの?」
初春「いえいえ、なんでも…」


162:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:58:52.20ID:fI8NBYTSa

(とあるコンビニ)
詠矢「ありがとうございましたー」
詠矢「ふう、そろそろ上がりかな?」
詠矢「最後に揚げ物でも用意しとくか…よっと」
詠矢「…(お、誰か来た)…いらっしゃいませー」
佐天「こんにちわー!!」
詠矢「お、佐天サンじゃねえの。しばらくぶり…」
佐天「しばらくって、一週間も経ってないですよお」
佐天「ここでバイトしてるって聞いて、ちょっと寄ってみました!」
詠矢「おうおう、そうかい。まあなんか買っていってくんな」
佐天「いえいえ買い物じゃなくてですね、ちょっとお伝えしたいことが」
詠矢「ん?なんだい?」
佐天「こないだ、また能力の検査をやったんですけど…」
佐天「レベルは相変わらず0のままなんですけど…数値はかなり上がったんですよ!」
詠矢「…へえ…そうなんだ…そいつはよかった…」
佐天「…あれ?あんまり喜んでくれないんですね…」


163:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:59:01.41ID:fI8NBYTSa

佐天「きっと、詠矢さんのアドバイスのおかげだと思うんですけど…」
詠矢「なあ佐天サン、ちょっとお願いなんだけどさ?」
佐天「…なんですか?」
詠矢「こないだ、俺が能力についてどうこう言った事さ、誰にも言わないで欲しいんだよ」
佐天「えっ?…どうしてですか?」
詠矢「なんかさ…同じ様に能力が上がるんじゃないかって人が来るとさ」
詠矢「面倒だろ?いろいろと…」
佐天「…面倒…なんですか…」
詠矢「こないだのも単なる偶然だと思うし…変に期待されても迷惑だから」
佐天「…詠矢さん…そんな言い方って…」
詠矢「…ま、とりあえずそういうことでお願いしとくよ」
佐天「……はい」
上条「うわっと!…わりい、遅れた!」
詠矢「おお、上条サン待ちくたびれたぜ。早いこと準備してくれ」


164:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:59:09.24ID:fI8NBYTSa

佐天「…」
上条「アレ…なんでせうかこの空気は?」
詠矢「つーわけで佐天サン、俺今日は上がりだから…またどっかでな」
佐天「あっ…あの!!」
詠矢「んじゃ、奥で着替えるか…」
佐天「…」
上条「…???」
佐天「…帰ります」
上条「……」
上条「…俺も着替えるか…」
(とある街角 夕刻)
詠矢「さあってと…いつもの通り見切り品漁りコースか…」
詠矢「…」
詠矢「(しかし、さっきは驚いたな。いきなり佐天サンが来るとは)」
詠矢「(まあ、ああ言っておけば、俺のことを誰かに話したりもしないだろ)」



165:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:59:17.60ID:fI8NBYTSa

詠矢「(もうちょっと言葉を選べばよかったかもしれんが…)」

詠矢「(色々とヤバイみたいだし、なるべく話が広がらないようにしとかないとね)」
詠矢「(…いろいろと心は痛むけど…まあしょうがない)」
詠矢「(放置すると、彼女自身を巻き込む可能性も出てくるしな)」
詠矢「…ふう…」
詠矢「…なんか飯作るのも面倒だな…」
詠矢「どっかで牛丼でも食って…」
詠矢「…!?(シュン)」

詠矢「うおっ!!(ドガシャッ)」
詠矢「いてて…?なんだ…ここは?」
詠矢「カウンター…テーブル…椅子…。喫茶店かどっかか」
詠矢「この時間に照明も付いてねえ…定休日か潰れた店舗ってとこだな…」
詠矢「いや、問題はそんなことじゃない」
詠矢「なんでいきなりこんな所にいるかって事だ…」


166:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:59:20.09ID:HhSumQCIr

続きもう書いてくれんのやろな


168:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:59:46.94ID:fI8NBYTSa

>>166
悲しいわ


167:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:59:29.63ID:fI8NBYTSa

??「あーら、いらっしゃい」
??「っても、店員でもなんでもないんだけど」
詠矢「…こいつは…ずいぶんと刺激的なお姉さんだねえ…」
??「それは誉めてもらってるのかしら?」
??「面倒だろうから、名前は名乗っておくわ」
??「私は結標ってもんさ。アンタを連れて来いってお達しでね」
詠矢「…ついに来たか…。まあ、来て欲しくは無かったけどな」
結標「悪いけど一緒に来てもらうよ」
詠矢「答えは一つ。既に決まっている」
詠矢「とりあえず、今の段階では『やだね』だ」


169:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 19:59:51.49ID:fI8NBYTSa

(とある施設)
冥土帰し「やあアクセラレーター。わざわざすまないね」
一方「ったく…なンだってんだ急に呼び出しなんてよ…」
冥土帰し「開発部からちょっと実験の依頼でね」
一方「実験ン?」
冥土帰し「ああ、君にとっても悪い話ではないようだ」
冥土帰し「悪いが、頼まれてやってくれないかね」
一方「そいつは、実験の中身を聞いてからだ」
一方「俺は俺の判断で決める」
冥土帰し「まあ、君ならそう言うだろうね…」
研究者「では、説明は私からしましょう」
一方「なンだテメエは?」
研究者「私は開発部の者です」
研究者「今回の実験は開発部が主導しておりまして」
研究者「私はその責任者となります」


170:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:00:00.38ID:fI8NBYTSa

一方「へえ…そうか…。で、その責任者様が俺に何の用だ?」
研究者「あなたに、新たな演算環境をご用意しました」
一方「演算環境、だと?」
研究者「ええ、ネットワーク上の余剰処理能力を利用した」
研究者「擬似的な並列演算装置の実験ですよ」
研究者「この学園都市には、膨大な数のパソコンや処理装置が存在します」
研究者「それらをネットワーク上でつなぎ合わせれば」
研究者「ミサカネットワークにも引けを取らない演算能力を得ることができます」
一方「おいおい、引けを取らないってことは」
一方「大して変わらねえって事じゃねえか…」
一方「そいつを使うことで、俺に何のメリットがあるってンだ?」
研究者「この都市には、ネットワークの死角がほぼ存在しません」
研究所「地下であろうと移動中であろうと、安定した演算環境が確保できます」
研究者「そしてもう一つ、これを…」


171:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:00:09.22ID:fI8NBYTSa

一方「ンだ?その懐かしのデザインのヘッドフォンは…」
一方「お偉い研究者さんってのは、アンティーク趣味でもあんのか?」
研究者「いえ、これは端末です。あなたのチョーカーに付いているものと、ほぼ同じ機能を持ちます」
研究者「思考波とのやり取りを必要としないため、高い汎用性を持つ装置です」
研究者「バッテリーも、既存のリチウム電池を使うことが出来ました。交換も容易です」
一方「なるほどねえ…。それなりに魅力的な謳い文句だが…」
一方「世の中、美味い話ってのはなかなかねえもんだ…。テメエらをどうやって信用しろってんだ?」
研究者「そうですね、確かに信用は置けないかもしれません」
研究者「ただ、これも我々なりに考えた結果です」
研究者「あなたとミサカネットワークを切り離すことが出来れば」
研究者「彼女たちに害が及ぶ可能性が下がるはずです」
研究者「あなたとしても、より行動に自由が生まれるのではないでしょうか?」
一方「…」
一方「…この実験が上手くいけば…、あのクソガキのお守りもお役ゴメンってワケか?」
一方「面白いじゃねえか…。試してみるのも悪くねえ」


172:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:00:17.42ID:fI8NBYTSa

一方「おい、さっさとそいつをよこせ…」
研究者「どうぞ…。ヘッドフォンのように頭に被って頂ければ結構です」
研究者「装着した後、ケーブルをそこの端子につなぎなおして下さい」
一方「ここか?」
研究者「ええ、それでいいです」
一方「最後に確認しとくが…」
研究者「なんでしょう?」
一方「下手な真似したら…、テメエら全員、天国にも地獄にも行けねえように」
一方「塵一つ残さず消し潰してやるからな…覚えとけよ」
研究者「…もちろん…わかっていますよ…」
研究者「では、回線を開きます」
職員A「…(カタカタ)」
職員B「…(カタカタ)」
一方「…ん…がっ!!(キィン)」


173:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:00:24.80ID:fI8NBYTSa

冥土帰し「どうした…アクセラレーター」
研究者「学園第一位の能力者も、意外と甘いようで…」
冥土帰し「なんだって?」
研究者「今、彼の演算は我々の手にある」
研究者「そこから、思考に介入することは容易なのですよ」
冥土帰し「まさか…そのためにこの実験を!?」
冥土帰し「おい、アクセラレター!アクセラレター!!」
一方「…」
研究者「申し訳ありません。彼の信頼を得るために、あなたの名を利用させて頂きました」
研究者「お引取り願いたいところなのですが…」
職員C「…(ジャキ)」
職員D「…(ジャキ)」
冥土帰し「…銃か…またずいぶんと準備がいいものだね」
研究者「口外されてもいささか困るもので。しばらく我々と行動をともにして頂きます」


174:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:00:32.34ID:pe8gZZsq0

長すぎやろ


175:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:00:33.11ID:fI8NBYTSa

冥土帰し「…これは、学園都市への明確な反逆行為だ…」
冥土帰し「こうまでして、君たちが望むものとは何かね?」
研究者「ご説明の必要も無いかと思いますが…?」
研究者「神の道へ至る扉の鍵が、集まりつつあるのですよ」
研究者「それがいかに不確定であったとしても…」
研究者「可能性は一つずつ潰していく…それが科学者というものでしょう?」


176:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:00:42.45ID:fI8NBYTSa

(とある喫茶店)
結標「『やだね』って…要するに拒否するわけね?」
詠矢「ああ、理由も告げずにただ来いって」
詠矢「そんなもん素直についていくと思うか?」
結標「知らないわよ、理由なんて…」
結標「悪いけど、私だって細かい事情は聞かされてないのよ」
詠矢「話にならんな…。もっかい戻ってだな、その指示したって奴に…」
結標「…(シュン)」
詠矢「(ドスッ)ぐあっ!!…(な、なんだこれ…フォークが肩に…)」
結標「こっちだってガキの使いじゃ無いのよねえ」
結標「面倒なんで、大人しく付いてきてくれない?」
詠矢「(…これ抜かねえと)んっ…んぎぎぎぎっ!!(ザスッ)…痛ってーな」
詠矢「転移能力者…か。いきなり仕掛けるとは容赦ねえなあ…」
詠矢「しかし…いーのかね?」
結標「なによ…」


179:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:01:04.08ID:fI8NBYTSa

結標「やるじゃないの…じゃあコイツはどう?!(シュン)」
結標が懐中電灯を一振りすると、周囲の椅子やテーブルが次々と詠矢の上空に送り込まれる。
詠矢「うおっ!!(ドカッ)…っと(ドカッ)…!!(ドカドカッ)」
詠矢「…くっ…(何とか避けれたか…)」
詠矢「(さて、どっかに隠れて視界から…)うおっ!!(キイン)…(タスタスタス)」
結標「避けきれたと思った?甘いわねえ!!(シュン)」
詠矢「そりゃ…ここじゃフォークは、売るほどあるもんなあ…」
詠矢「っと!!…とり合えず、視界から…消えないとねえ!!」
足元を狙い、床に刺さるフォークを避けつつ、詠矢はカウンターの裏へと体を滑り込ませた。


180:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:01:13.12ID:fI8NBYTSa

結標「…ちっ!」
詠矢「(視界外への転移は、さっきの論証でやりにくくなっているはず)」
詠矢「(正確な位置を確認出来ない状況では、俺を殺してしまう可能性が格段に上がるからな)」
詠矢「(ここに隠れてればしばらくは安全だが…、さてこっからどうするか…)」
結標「出てきなさい!どれだけ逃げても隠れても、私の座標転移(ムーブポイント)からは逃れられないわ!」
詠矢「なるほど…。接触を必要としない転移か…厄介だな…」
詠矢「だが、自由すぎる能力ってのも逆に難しい…」
詠矢「形のはっきりしてるものは、転移の指定もやりやすいだろうが…」
詠矢「気体や液体、もしくは飛散した粉末なんかはどうかな?」
結標「…聞かないって言ってるでしょう!!(シュン)」
先ほどと同じように、椅子やテーブルをカウンター裏の上空に転移させる。
詠矢「…がっ!(ドカドカッ)…(ドシャ)」



181:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:01:21.43ID:fI8NBYTSa

詠矢「…」
結標「…(仕留めた?)…」
結標「…ねえ…」
結標「返事しなさいよ…潰れちゃった?…」
結標「大人しくするなら、助けてあげなくもないわよ?」
詠矢「…」
結標「…」
詠矢「…運動し、飛散していく物質の全てを指定し、転移させることは難しい。いや出来ないだろうな…」
結標「…なっ!!」
詠矢「つまりは、こういうことだ!!(バッ)」


182:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:01:28.71ID:fI8NBYTSa

カウンターを乗り越え、詠矢は姿を現す。その手には…。
結標「(消火器!!)」
詠矢「うりゃ!!(バシュゥゥゥウ)」
結標「ひっ!…(シュン)」
詠矢「ムリだって。全部消しきれるわけねえだろ!!(バシュゥゥゥウ)」
結標「…っ!きゃあぁぁぁあ!!(バシュゥゥ)」
詠矢「(よしっ!ここで集中が途切れる、一気に距離を詰めて!)…どっせい!(上段回し蹴り!)」
結標「んっ!!」
詠矢「(ズルッ)あっ…!!(軸足が!)…(くそっ!浅い!)」
結標「がっ!!…痛ったい…わね!!(シュン)」
詠矢「(消えた!!)…(どこだ!)」
結標「…(シュン)」
詠矢「…(後ろか!!)」
結標「…ふっ!!(ブン)」


183:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:01:38.17ID:fI8NBYTSa

突然、背後に現れた結標は、手に持った懐中電灯で詠矢の頭部を一閃する。
詠矢「…がふっ!!(ゴッ)…」
結標「…女の…顔…蹴り飛ばすなんて…いい根性してるわね…ウッ(ゴホッ)」
詠矢「そりゃ、お互いさまでしょうが…」
詠矢「しかし、自己転移って手があったんだな…。すっかり忘れてたぜ」
詠矢「…ん?それじゃあ…なんで消火器を向けられたときに逃げなかったんだ?」
結標「…(ゴホゴホッ)」
詠矢「自己転移は使えない、もしくは使いたくない理由でもあるのかな?」
詠矢「そういやあ…ずいぶんと具合悪そうだな…」
結標「っさいわねぇぇええ!!」


184:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:01:46.49ID:fI8NBYTSa

結標「あんた本気でムカツクわ!!!ぶっ壊してあげるわよ!!(シュンシュン)」
詠矢「よ、あぶねえっての!!(ドカドカッツ)…(キイン)…(タスタスタス)」
詠矢「(無茶苦茶しやがるなあ)…(だが雑な攻撃は逃げ回ってればなんとか…)よっと」
結標「(また…カウンターの裏に)…もおいいわ、上にはあんたの死体を持って行くことにする…」
結標「…!(ブン)」
詠矢「うおっ!!」
一呼吸置いた後、結標大きく腕を振るうと、大量の机と椅子が上空に現れる。
それらは轟音とともに落下し、カウンターとその周囲を完全にを押しつぶした。
結標「…どう?今度こそ本当に潰れた?」
結標「…」
結標「…ああ、無理もないわね。死んじゃったら返事できないもの…」
結標「そうね、死体は確認しておかないと…(シュン)」
山となっている机や椅子を転移で排除すると、結標は押しつぶされたカウンターの裏を覗き込む。


185:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:01:54.44ID:fI8NBYTSa

結標「…(居ない?)…どこへ…?…あっ!」
彼女の目に写ったのは、カウンターの奥にづづく厨房、さらにその先にある外側に開け放たれた勝手口だった。
結標「まさか…逃げた…!?って…どこへ…?」
結標「まだそう遠くへは行ってないはず…追えば十分…」
逃走経路を確認しようと、彼女は勝手口まで進む…が、直後。
詠矢「うりゃ!!(ドカッ)」
裏に隠れていた詠矢は、絶妙のタイミングと渾身の力を持って扉を蹴り飛ばした。
結標「がっ!!(バンッ)」
全く予期していない攻撃に、結標の左半身は扉に強く打ちつけられた。
結標「…っつ…くぁ!!」
詠矢「よっ…と」
結標「…な…(組み付かれた!)…(首を…!)」
詠矢「逃げようったって無駄だぜ。今絞めてるのは頸動脈」
詠矢「脳貧血の進行する状態で、演算なんぞ出来るわけねえよなあ!!」
結標「……!!」


186:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:02:02.21ID:fI8NBYTSa

詠矢「悪いな…。そのまま逃げようかと思ったんだが」
詠矢「転移能力者相手に、足で逃げ切れる自信が無かったもんでね…」
詠矢「しばらくオヤスミしといてくれ」
詠矢「(寝かせて…気道確保…)っと…」
詠矢「んじゃ…な。『またな』無しだ」
(とある路地、夜半)
詠矢「まったく…ひでえ目に合ったなあ…」
詠矢「病院行きたいんだが…、この傷、どう説明すりゃいいんだ?」
詠矢「間違いなく事件性が疑われるよなあ…」
詠矢「このナリじゃ、人目に付くとマズイ…。どっかでしばらく休んでジャッジメントに駆け込みかな…」
詠矢「白井サン…アドレス聞いときゃよかったなあ…」
??「…(スッ)」
??「…(スッ)」
詠矢「…?(何だ?囲まれてないか?)」
詠矢「(なんか道の前後を塞がれたんだが)」


187:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:02:03.18ID:KR2ct7zwp

こういう既存の作品にオリジナル主人公出すのほんま無理


188:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:02:17.98ID:fNIDxcc/d

>>187
なんで?


208:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:05:48.21ID:nT1nPSRv0

>>187
ワイは八幡が主人公になるやつが無理やわ


189:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:02:27.67ID:fI8NBYTSa

詠矢「(ヤバイ雰囲気しかしねえな)」
詠矢「えーっと、もしかして俺になんか用ですかね?」
職員A「唐突で申し訳ありません。我々は学園都市技術開発部のものです」
職員B「少しご協力をお願いしたいのです」
詠矢「えー…って、まさかの連チャンのお誘いですか?」
詠矢「カンベンしてくださいって…」
職員A「いかがでしょう?ご同行願えますか?」
詠矢「…少なくとも、理由ぐらいは教えてもらえるんですかね?」
職員B「ある実験に参加していただきたいのですよ」
詠矢「あーもう…予備情報どおりの話で泣けてくるねえ…」
詠矢「悪いけど、ちょいと約束がありまして…。丁重にお断りさせて頂きます」
職員A「そうですか…。ですが、こちらとしてもそれで引き下がるわけにもいきませんので…(ジャキ)」
職員B「…(ジャキ)」
詠矢「…(銃!?)…(おいおい、シャレになってねえぞ…)」
職員A「どうですか?お気持ちは変わりませんか?」


190:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:02:41.11ID:oECPfb6J0

俺君が!?


191:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:02:50.32ID:fI8NBYTSa

詠矢「…(って、選択する余地ねえだろ、この状況は)」
職員B「我々としては、貴方の『能力』がどうしても必要なのですよ」
詠矢「……」
詠矢「俺の能力を知ってて銃口を向けるとはいい度胸だな…」
職員A「?」
職員B「?」
詠矢「俺の能力は絶賛進化中なんだよ。さっきの戦闘でまた一段と強くなった…」
詠矢「いまや絶対反論(マジレス)は、能力者意外にも高い効果を発揮する…」
詠矢「俺の一言で、誰にでも強い暗示を与えるんだ…。あんたら、その立ち位置じゃあ…」
詠矢「俺が逃げたら同士討ちだぜ?」
職員A「なっ…!」
職員B「なに?」
詠矢「なーんてね…」
詠矢「(と、ひるんだスキに逃げる!!)」


192:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:03:05.71ID:fI8NBYTSa

職員A「しまっ…た!!」
職員B「くそっ、追え!逃がすな!!(ダッ)」
詠矢「(とり合えずまいた、かな?)」
詠矢「(しかしなんなんだあいつらは、街中で銃なんぞ持ち出して)」
詠矢「(まだ諦めたとは思えないな…)」
詠矢「(コイツは逃げ切れないかもな)」
詠矢「(よし)…(今のうちに)…(ポチポチ)…(うっしゃ)」
職員C「いたぞ、こっちだ!」
詠矢「(おいおい、新手かよ…俺一人にどんだけ用意してんだよ!)=v
演r矢「くそっ!(ダッ)」
職員A「…(ザッ)」
職員B「…(ザッ)」
詠矢「(マズい…追い込まれてるな…。数で来られるとどうしょうも…)」
詠矢「(いや、諦めるな…どっかに活路が…)」
??「…(キュイーン)」


193:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:03:15.84ID:fI8NBYTSa

詠矢「うわっ!!(何だ?地面が急に…隆起した!)」
詠矢「(ドサッ)…(ゴロゴロゴロ)…っつ…何だ急に…」
研究者「てこずらせてくれるね」
研究者「絶対反論(マジレス)の詠矢空希君…」
詠矢「…流石に…ここまでか…な?」
研究者「先に言っておくが、私は能力を持たない一介の研究者だ」
研究者「論証しようとしても無駄だよ」
研究者「それにだね…」
職員A「…(ジャキ)」
職員B「…(ジャキ)」
職員C「…(ジャキ)」
詠矢「(これは、手でも上げといたほうがよさそうだな)…(スッ)」
研究者「いくら君でも、炸薬によって弾丸が発射される原理を否定することは出来まい」
詠矢「…おっしゃる通りで…。なんの物理法則にも抵触してねえもんな…」
詠矢「で…実験の、お手伝いでしたっけか?」


194:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:03:29.88ID:fI8NBYTSa

研究者「ああ、彼の論証をお願いしたい」
詠矢「…彼?」
研究者「そうだ、学園第一位の能力者…。神への道にもっとも近い人物だ」
研究者「さあ、こちらへ…」
一方「…」
詠矢「ま…まさか」
詠矢「あんたは…あの時の!!」


195:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:03:40.53ID:fI8NBYTSa

(操車場跡地)
詠矢「(さて、まずは状況を理解しよう)」
詠矢「(俺は小物臭い研究者風の男に拉致された)」
詠矢「(目的はレベル6シフト実験で間違いないだろう)」
詠矢「(肩の傷は応急処置を受けた。腹減ったといったらカロリーメイトくれたな)」
詠矢「(だが全快とは言いがたい。全力で活動することは無理だろう)」
詠矢「(で、今現在の場所ですよ)」
詠矢「(見るところだだっ広い、古戦場ですかって雰囲気の廃墟だね)」
詠矢「(構造物や残骸を見るに、鉄道関係の施設跡かな…)」
詠矢「(そこに、命の恩人さんと二人っきりってワケだ)」
研究者『では、ルールを説明しよう』
詠矢「うわっ!どっから音出てるんだ?」
研究者『君の正面に対峙しているのは、学園第一位の能力者、一方通行(アクセラレータ)だ』
研究者『彼の頭部に装着している端末に、マイクとスピーカーが搭載されている』
研究者『彼に向かって話せば、我々と通常に会話することが出来る』


196:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:03:45.17ID:NoXF2GlR0

当時ってどんな反応だったんや?


200:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:04:55.03ID:fI8NBYTSa

>>196
袋叩きやで
その後ss速報でひっそり続き書いてそっちではわりと待ち望まれとった


197:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:03:51.22ID:fI8NBYTSa

詠矢「(端末?…ああ、なんかいかにも『悪の組織の洗脳装置』って感じだね)」
詠矢「ナルホド…要するに普通に話しかけろってことですな…」
詠矢「でも、なんて呼べばいいのかね?面識はあるんだけどロクに話したことなくてな」
詠矢「アクセラレターだから、略してアクセラサンとか?」
詠矢「…なんかマツダの車みてえだな」
詠矢「まあいいや、適当に第一位サンとでも呼んどこう」
研究者『…説明の続きいいかね?』
詠矢「…根本的に納得いってませんが…、お聞きしましょうか…」
研究者『我々の最終目的はレベル6を創造することにある』
研究者『君の力で、アクセラレータの能力を増幅し』
研究者『その高みに彼を導いて欲しい』
詠矢「…おいおい、俺の能力知ってるのか?」
詠矢「適当にツッコミを入れて、他人の能力を変質させるだけだぞ?」


198:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:03:55.95ID:VqhKFhoE0

懐かしいけどこれ最初の落下するとこで終わってるもんだと思ってたわ
こんな長いんか


203:なんJゴッドがお送りします2021/01/19(火) 20:05:17.18ID:rdqIE61Ea

>>198
本編はそこで終わりやで
後のは二次創作や




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