盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」

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1:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:39:59.47ID:EGO/y1Ok0

令嬢「平民の猿を連れて歩かなければならなくなるなんて」ハァ
俺(なんで俺が、こんな目に……)
令嬢「うっ」ヨロッ
俺「し、失礼いたします!」バッ
俺「大丈夫でございますか!」
令嬢「……なぜ、石のある上を歩かせたのかしら?」ギロッ
俺「えっ、し、しかし、外ですし、そういうことも……」
令嬢「……」スッ
俺「て、鉄杖……?」
ガツッ、ドゴッ
俺「うぶっ!」
俺「お、お辞めください!」
令嬢「私は、公爵家の長女よ! 私の身体に傷でもつけたら、貴方はどう償うつもりだったのかしら!」ドゴッ、ドガッ
令嬢「貧民の老婆の手でも引いているつもりだったのかしら!」
令嬢「次やったら殺してやるわ!」
俺(こ、このままだと殺される……)ハァハァ


2:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:40:09.46ID:EGO/y1Ok0

俺(……貴族の料理はやっぱり豪華だな)
令嬢「…………」
令嬢「口許まで運んで頂戴」
俺「そ、それもですか」
令嬢「…………」イラッ
俺「い、いえ! なんでもありません!」
俺(……こんなことまでさせて、恥ずかしくないのか?)チャカチャカ
俺(こいつら平民を人間だと思ってないから、そういう感情はないのかもしれんな)
俺(お高く留まりやがって。今フォークで突いてやったら、殺せるのに……)
令嬢「早くしなさい!」
俺「はっ、はい! 何からとりましょうか!」


3:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:40:16.00ID:EGO/y1Ok0

令嬢「……取るのは遅いわ、間違えるわ、下に落とすわ」
令嬢「最低ね」ハァ
俺「……お粗末様でした」
令嬢「全部で八回だったわね」スッ
俺「え……れ、令嬢様?」
シュンッ、バンッ
俺「おぶっ! あがっ!」


4:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:40:26.14ID:EGO/y1Ok0

メイド「大丈夫ですか、俺さん? こんな、怪我だらけで……」
俺「気を遣ってくれてありがとうございます」
俺「これくらい平気ですよ」ハハハ
メイド「食事の時間以外令嬢様に付きっきりなのに、令嬢様の横暴で食事もまともに取れずに殴られっぱなしなんて……」
俺「……」
メイド「……大変でしょう。令嬢様は、サマエルと使用人の間で呼ばれているのですよ」
俺「それって、えっと……死の天使でしたっけ」


5:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:40:28.10ID:uXgYCLjP0

女剣士完結させろ


6:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:40:34.64ID:EGO/y1Ok0

メイド「そうです。サマエルは、その罪によってモーセに目を潰されたのですよ」クスッ
俺「……聞かれるとまずいですよ」
メイド「このくらい、皆口にしていますよ」
メイド「それに、あの性格ですから。親族も令嬢様を遠ざけていますし、咎めて騒ぐ人はいませんよ」
俺「そんなものですか……」


7:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:40:50.10ID:EGO/y1Ok0

メイド「あまりご一緒できる時間はありませんが……俺さんは丁寧で大人しくて、いい人ですね」ニコッ
俺「はは、あまり人馴れしていないだけですよ。田舎から出てきたもので」
メイド「またお時間合いましたら、お話しましょう」
俺「ええ、また……」


8:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:40:55.59ID:bJp52TJI0

女剣士落とすな


9:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:41:00.33ID:EGO/y1Ok0

ドンッ、ドンッ
令嬢「遅い! 食事くらい、すぐに済ませなさい!」
俺「は、はい、すぐに!」
メイド「大変ですね」
メイド「妹様は、私達使用人にも優しく接してくださる、いいお方なのですが……」
俺「では、いつかまた」ドタドタ


10:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:41:11.23ID:EGO/y1Ok0

令嬢「呼べばすぐ来るのね」フンッ
俺「さ、さぼっていたわけではありません」
俺「その、急いできただけで……」
令嬢「…………」スッ
俺「ひっ!」
令嬢「……まぁ、よいわ。今回は見逃してあげる」
俺(た、助かった……)


11:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:41:23.99ID:EGO/y1Ok0

令嬢「私は光を失ったけれど、その代わり、耳はとてもいいの」
俺「えっ……」
令嬢「つまらない嘘は吐かないことね」
俺「…………」ゾオッ


12:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:41:35.05ID:6Knwh/Btd

つまんね(笑)


13:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:41:37.69ID:aRQ17O/50

女剣士見せろ


14:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:41:56.18ID:h8FqMMv+0

せっかく書いたのに貼った瞬間落ちて悔しい


15:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:41:56.37ID:XI2nZt3Ja

3
3









18:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:43:15.56ID:EGO/y1Ok0

俺「……こ、この位置で大丈夫でしょうか?」ソッ
令嬢「本当に中央なのでしょうね」
俺「……少し動かしますね」
令嬢「………」チッ
俺「ひっ!」ビクッ
俺「これで、毛布を被せて……終わりました。今日もお疲れ様でございました」
令嬢「…………」
俺(ぺっ、労いの言葉もなしかよ)


19:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:43:23.20ID:EGO/y1Ok0

俺(これで六時間開放される……)フウ
俺(令嬢様が起きる一時間前から横にいろって、どう考えてもおかしいよなあ)ハァ
メイド「俺さん、お勤めごくろうさまです」ニコッ
俺「メ、メイドさん! どうも……」
メイド「実は、俺さんとお話をしたいとおっしゃっている方がいまして。来てもらえませんか?」
俺「そ、そうなんですか? しかし、睡眠時間がその……」ハハ
メイド「妹様です」
俺「え、えっ!?」
メイド「いつも、一時間早いのでしょう? そちらの件も、妹様から許可を出していただけるかと」
俺「わ、わかりました。しかし、なんで俺なんかを……」


20:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:43:30.97ID:EGO/y1Ok0

妹「ありがとう、メイドちゃん」ニコニコ
メイド「い、いえ!」
妹「お話するのは初めてですね。俺さん」
俺「あ、あの、なぜ、俺なんかを……」
妹「……愚姉がいつも、迷惑をかけております」ペコッ
俺「そ、そんな、とんでもないです!」
俺(め、めっちゃいい人だ! なんで令嬢様と姉妹なんだ?)


22:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:43:37.76ID:EGO/y1Ok0

妹「私が起こしてしまったので、朝遅く出る許可を出したといえば、父も母も、姉も、余計なことは言えませんよ」
俺「ありがたいです……」
妹「本題なのですが……俺さんはとても真面目で、仕事のできる人です」
妹「ここまで文句も大きな問題ごともなく姉に仕えていられる方は、本当に少ないんです」
俺「過分な評価ですよ。……正直、俺もいつまで続けられるか自信がなくて」
妹「そうでしょう。私はそのような人が、姉の横暴で潰されるのを見たくはないのです」
俺「え……」
妹「庭師の仕事を増やして、空きを作って差し上げます。俺さんがそちらへ入れるよう、手配してあげましょう」
俺「ほっ、本当ですか!?」


24:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:43:51.13ID:77Wx4sDj0

( ́・ω・`)「やきうのお兄ちゃん、球場行こうよ」
彡(゚)(゚)「いつ行くんや?」
( ́・ω・`)「日曜日のこの日」
彡(゚)(゚)「日曜とか次の日は月曜でワイ仕事やぞ」
( ́・ω・`)「お願い〜行ってよ〜」
彡(゚)(゚)「テレビ中継でええやんけ」


25:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:44:00.04ID:nuF84mt80

今日はSSが盛んやな


26:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:44:00.37ID:EGO/y1Ok0

妹「今の仕事だと、まともに故郷にも帰れない上に、何の自由もありません」
妹「庭師の仕事も楽だとは言いませんが、今よりはきっとマシですよ。昼の食事も抜けられますし、お菓子の時間も設けております」
妹「夕食の頃にはその日の仕事はお終いです」
俺「め、女神様……!」
メイド「よかったですね、俺さん」ニコッ
妹「一週間ほど、どうにか堪えてください。その間に進めてみせます」
俺「ありがとうございます!」


28:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:44:12.36ID:77Wx4sDj0

( ́・ω・`)「球場で限定品プレゼントしてくれるんだって」
彡(゚)(゚)「へー」
( ́・ω・`)「お兄ちゃん球場観戦したことないでしょ!」
彡(゚)(゚)「うーん……そうやなぁ一度は観戦してみたいわ」
( ́・ω・`)「普通の観戦とは違うんだよ!限定品貰えるんだよ!」
彡(^)(^)「せやな。限定品もらえるし球場デビューしてみるかな」


29:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:44:13.78ID:EGO/y1Ok0

令嬢「……何を考えているの?」
令嬢「いつも、六時前にはここで待っているのではなくて?」イライラ
俺(こういう日に限って早起きなんだよなあ)ハァ
令嬢「抜けていたわけではないわね。五時にもいなかったもの」
俺(……ほ、本当、こういう日に限って)
俺「じ、実は他の使用人が倒れたらしくて、穴埋めに入っておりました」
俺「妹様より、許可はいただいております」


31:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:44:23.08ID:EGO/y1Ok0

令嬢「……お前は」
俺「…………」
令嬢「お前は私の世話係なのに、妹の言うことを聞くのね」
俺(ば、バレてる!? いや、そんなはずは……)ドキッ
令嬢「早く連れて歩きなさい」
俺「はっ、はい!」


32:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:44:30.41ID:77Wx4sDj0

彡(゚)(゚)「ところでどうやっていくんや?バスか?」
( ́・ω・`)「お兄ちゃんが車だしてよ」
彡(゚)(゚);「ファッ!?地元に球場あるならまだしも他県やで!?」
( ́・ω・`)「えー。この前誰か連れて遊び行ったのに友達の僕はダメなの?」
彡(゚)(゚)「……わかったわかった」


35:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:44:48.58ID:77Wx4sDj0

( ́・ω・`)「じゃ。チケットとかもよろしくね」
彡(゚)(゚)「内野とか外野とかどうするんや?」
( ́・ω・`)「任せるよ。わかんないからとりあえず3,000円渡しとくね」
彡(゚)(゚)「飯とかどーするんや?」
( ́・ω・`)「任せるって言ってるじゃん!バイト遅れちゃうよ!」
彡(゚)(゚);「お、おう。」
( ́・ω・`)「色々調べといてね!じゃあね!」


37:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:45:10.87ID:77Wx4sDj0

彡(゚)(゚)「えーっと、このICで乗ってここで降りて……」カタカタ
彡(゚)(゚)「駐車場ってどうすればええんや……」カタカタ
彡(゚)(゚)「球場付近にパーキング全く無いやんけ……ちょっと離れてるけどここのスーパー使うか」カタカタ
彡(゚)(゚);「調べる前にチケット取らな売り切れるんとちゃうか!?」ッターン!


38:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:45:29.49ID:EGO/y1Ok0

―三日後の夜―
妹「明日には父に提案できそうです」ニコニコ
俺「ありがとうございます!」
メイド「よかったですね、俺さん!」
妹「これであの腐れ女と離れられて、さぞ嬉しいことでしょう」ニマァ
俺「……あ、姉なのでしょう? そこまで言わなくても……」



40:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:45:44.61ID:77Wx4sDj0

土曜日曜開催の前売り券はすべて完売しました。
※当日券の販売もございません。あらかじめご了承ください。
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「『すまんな、チケット売り切れで今週は無理や』っと」ソウシンー
彡(゚)(゚)「……ワイも行ってみたかったなぁ」
おわり


48:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:46:57.20ID:6Knwh/Btd

>>40
何にも始まらんやん!wwwwwwwwwwwwwwwwwww


41:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:45:50.73ID:h8FqMMv+0

何故こんな事になってしまったのだろう。
戦場になった王都の西方、遮蔽物のない広場で、仕方なく持ち込んだはずの聖剣で応戦しながら俺は考えていた。
アテにしていた転生時に貰ったスキルが発動する気配はない。スキルを封じられた戦いなどということは転生して初めてだったのだ。
こちらの戦力が王都東側に集中しているのを確認した敵軍が意気揚々と乗り込んでくる。後ろに大将が控えているのだろう。
まだ幼い孤児院の子共達が恐怖で震えている。無理もない、この子は戦争によって親を無くしたのだから。
迫り来るの侵略者のスキルは轟音をあげ、遂に張り巡らしていた防衛網を突破した。
まだ距離はあるが索敵スキルを取得している可能性も考えると時間がない。
「子供達、よく聞きなさい」
「ここから少し南西に行けば隠された地下通路がある。そうすればやり過ごせるかもしれないし、もし見つかっても中は入り組んだ迷路だ。走り抜ける事が出来ればが東の戦力が支援してくれるだろう」
「まだ間に合う、早く行きなさい。なぁに、お前達は父さんと違って丈夫な子だからなんとかなるさ」
子供達は頷き、走り去って行った。おどけてみせた俺を振り返ることさえできなかった。
皆が路地裏を抜けたのを見届け、覚悟を決めた俺は一気に敵陣へと突っ込んだ。
「アイツ…まさか孤児院の子供を守るために囮になるつもりか?馬鹿なことを…」
一応支援の為に戦場を見渡せる塔の上に居た友人がため息を漏らす。
俺がなれない聖剣の長時間使用に疲弊している事に気付いた敵が魔法の杖を向ける。

ほどなくして、この世のものとは思えない爆破音が鳴り響いた。


42:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:45:55.54ID:EGO/y1Ok0

妹「元々嫌いだったのですよ。目が見えなくなる前から、高慢で、我が儘で」
妹「その癖に天才肌で、美人で……散々甘やかされて、人の気持ちなど考えたこともないというような、そういう女でした」
俺「は、ははは……」
妹「私も姉の尻拭いをさせられ、その上に姉と比べられ、お前はダメだとよく言われたものです」
俺「…………」
妹「そうしたら……フフッ、目が見えなくなって、あのザマで……!」
妹「ずっと何かに怯えてるみたいに、周囲の物に必死に当たり散らして、ああ、お可愛いことで」フフッ
妹「元々捻じ曲がっていた性格が、ああも悪化するなんて!」
妹「そのうち、捻じ切れてしまうかもしれませんね。なんて」


44:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:46:12.06ID:g38Dl5RD0

これチノちゃんのが先なの?


45:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:46:12.47ID:EGO/y1Ok0

妹「サマエルとはよく言ったものですよ、フフ」
妹「神様が見ていたのでしょう。あの性悪から、視力を奪っていったのです」
俺「…………」
メイド「本当、苦労かけられましたよね俺さん」
メイド「先に俺さんが死んじゃうんじゃないかと、ずっとハラハラしていました」
俺「……お、俺は……」
俺「…………」
俺(情なんてないだろ……! あんな奴……!)
妹「どうしました?」
俺「お願いします……庭師の仕事、お願いします!」
妹「フフフ……」ニコニコ
俺(……本当に、よかったのか?)ギュッ


46:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:46:22.50ID:EGO/y1Ok0

盲目の令嬢「……私を待たせて、何様のつもりかしら?」イライラ
盲目の令嬢「本当に使えないわね」
俺「申し訳ございませんお嬢様」
盲目の令嬢「次からしっかり……」
俺「明日からは、別の人が世話係になりましたので」
盲目の令嬢「え……?」
俺「もう鈍くて覚えの悪い俺に苛立つこともありませんよ、よかったですね」
盲目の令嬢「え……? あ、え……?」
俺「そういうことですから……」
盲目の令嬢「あ……」ツウ
盲目の令嬢「ち、違う……これ、涙じゃなくて……あ……」


49:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:47:42.58ID:h8FqMMv+0

王都近郊の丘の上、私は絶望していた。
あれだけ居たはずの主力の正規軍が敗走し全滅してしまったからだ。
「揃いも揃って無能どもめ」
無線で拾われないように小さく悪態をつく。もっともこの混乱でその心配は無用だが。
残ったのは輜重部隊が数個、私の率いた弓兵部隊と砲兵隊、それに王都からかき集められた民兵で構成された義勇軍。
数はやや勝っているようだが、問題はそこではない。質で大負けしてるのだ。
この広い草原を弓兵に行かせるのはどう考えても無理がある。最初に視認するのは天国だろう。
部下達もそれをわかっているようで進軍する気配は無い。
義勇軍も居るがとても無理だ、その貧相な装備ゆえに後方に下げられ戦火を免れたようだが戦力にはならないだろう。
だが前線を張れるのは義勇軍しかない。先陣を切ったようだが軍隊とは名ばかり、同じ結末を迎えることになる。
未来ある若者の死を想うと辛い。これが戦争なのだ、と私はため息を漏らした。
じりじりと距離を詰める義勇軍、そろそろ会敵するだろうか。私は思わず目を逸らした。
数分後、私は目を疑うことになる。重歩兵隊、軽騎兵隊…いや、まだ居る。
続々と敵の位置が炙り出され、布陣が明らかになった。
すっかり諦めていた私は慌てて部下に支援の号令を出した。
義勇軍が敗走した敵の指揮官を仕留めた。虚を突かれた敵は混乱したようだ、明後日の方向に隊列が向いている。
敵本隊など状況も忘れて逃走している。
続けざまに砲兵隊も弾を当てたようだ。もちろん私も部下に混じりロングボウを引き絞る。

私は何時もは無口な方だが、その日の夜はたまらず義勇軍の指揮官の青年に声をかけた。
「一体どうやった?」
「地下の迷宮じみた通路から少数の囮舞台を送り込んだのさ。あの辺りの地形は頭に入ってるんでね」
その手には古ぼけ半ばから断ち切られた古い剣が握られていた。


51:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:47:59.60ID:rxPhVnfea

3
3








52:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:48:46.39ID:AyQ1xYK/a

これ最後まで見た事ないわ
どうなるんや


53:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:49:01.27ID:t2r48QumM

これ最後まで見たことないんやけどどういう結末なん?
メイドと結婚?


54:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:49:14.06ID:EGO/y1Ok0

俺「今日が、最後ですから……」
俺「よかったですね、お嬢様」
盲目の令嬢「……そう、そういうこと」
盲目の令嬢「やっぱり貴方も妹についたのね」
俺「……なんですか?」
俺「せ、責めたかったら、責めればいいだろ!」
俺「男の俺が世話係をするのは、不都合だし……お嬢様もせいせいするだろ!」
盲目の令嬢「…………」
俺(チッ、今日に限って大人しいのか。調子が狂う)


55:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:49:23.21ID:h8FqMMv+0

私は剣を抜き、
素振りを見せた。
流れる美しい剣。
文句無しの一振りだ。
おおっ!!
国王を含めた全員が同じ反応を示す。
それっ、もう一振り。

おおっ!!

…それっ。
おおっ!!
それっそれっ。
おおっ!!おおっ!!
それっそれっそれっそれ!!
わああああ!!

この縁談、
アルレリック家が勝ち取ったり!!


56:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:50:08.21ID:rxPhVnfea

共有NGされてて草ァ!








57:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:50:14.87ID:ndSeVAp/M

禅智内供の鼻と云えば、池の尾で知らない者はない。長さは五六寸あって上唇の上から顋の下まで下っている。形は元も先も同じように太い。云わば細長い腸詰めのような物が、ぶらりと顔のまん中からぶら下っているのである。
五十歳を越えた内供は、沙弥の昔から、内道場供奉の職に陞った今日まで、内心では始終この鼻を苦に病んで来た。勿論表面では、今でもさほど気にならないような顔をしてすましている。これは専念に当来の浄土を渇仰すべき僧侶の身で、鼻の心配をするのが悪いと思ったからばかりではない。それよりむしろ、自分で鼻を気にしていると云う事を、人に知られるのが嫌だったからである。内供は日常の談話の中に、鼻と云う語が出て来るのを何よりも惧れていた。
内供が鼻を持てあました理由は二つある。――一つは実際的に、鼻の長いのが不便だったからである。第一飯を食う時にも独りでは食えない。独りで食えば、鼻の先が鋺の中の飯へとどいてしまう。そこで内供は弟子の一人を膳の向うへ坐らせて、飯を食う間中、広さ一寸長さ二尺ばかりの板で、鼻を持上げていて貰う事にした。しかしこうして飯を食うと云う事は、持上げている弟子にとっても、持上げられている内供にとっても、決して容易な事ではない。一度この弟子の代りをした中童子が、嚏をした拍子に手がふるえて、鼻を粥の中へ落した話は、当時京都まで喧伝された。――けれどもこれは内供にとって、決して鼻を苦に病んだ重な理由ではない。内供は実にこの鼻によって傷つけられる自尊心のために苦しんだのである。
池の尾の町の者は、こう云う鼻をしている禅智内供のために、内供の俗でない事を仕合せだと云った。あの鼻では誰も妻になる女があるまいと思ったからである。中にはまた、あの鼻だから出家したのだろうと批評する者さえあった。しかし内供は、自分が僧であるために、幾分でもこの鼻に煩される事が少くなったと思っていない。内供の自尊心は、妻帯と云うような結果的な事実に左右されるためには、余りにデリケイトに出来ていたのである。そこで内供は、積極的にも消極的にも、この自尊心の毀損を恢復しようと試みた。


62:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:50:49.19ID:6Knwh/Btd

>>57
漢字読めねぇ!w☝


58:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:50:21.49ID:ndSeVAp/M

第一に内供の考えたのは、この長い鼻を実際以上に短く見せる方法である。これは人のいない時に、鏡へ向って、いろいろな角度から顔を映しながら、熱心に工夫を凝らして見た。どうかすると、顔の位置を換えるだけでは、安心が出来なくなって、頬杖をついたり頤の先へ指をあてがったりして、根気よく鏡を覗いて見る事もあった。しかし自分でも満足するほど、鼻が短く見えた事は、これまでにただの一度もない。時によると、苦心すればするほど、かえって長く見えるような気さえした。内供は、こう云う時には、鏡を箱へしまいながら、今更のようにため息をついて、不承不承にまた元の経机へ、観音経をよみに帰るのである。
それからまた内供は、絶えず人の鼻を気にしていた。池の尾の寺は、僧供講説などのしばしば行われる寺である。寺の内には、僧坊が隙なく建て続いて、湯屋では寺の僧が日毎に湯を沸かしている。従ってここへ出入する僧俗の類も甚だ多い。内供はこう云う人々の顔を根気よく物色した。一人でも自分のような鼻のある人間を見つけて、安心がしたかったからである。だから内供の眼には、紺の水干も白の帷子もはいらない。まして柑子色の帽子や、椎鈍の法衣なぞは、見慣れているだけに、有れども無きが如くである。内供は人を見ずに、ただ、鼻を見た。――しかし鍵鼻はあっても、内供のような鼻は一つも見当らない。その見当らない事が度重なるに従って、内供の心は次第にまた不快になった。内供が人と話しながら、思わずぶらりと下っている鼻の先をつまんで見て、年甲斐もなく顔を赤らめたのは、全くこの不快に動かされての所為である。


59:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:50:28.74ID:ndSeVAp/M

最後に、内供は、内典外典の中に、自分と同じような鼻のある人物を見出して、せめても幾分の心やりにしようとさえ思った事がある。けれども、目連や、舎利弗の鼻が長かったとは、どの経文にも書いてない。勿論竜樹や馬鳴も、人並の鼻を備えた菩薩である。内供は、震旦の話の序に蜀漢の劉玄徳の耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だったら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
内供がこう云う消極的な苦心をしながらも、一方ではまた、積極的に鼻の短くなる方法を試みた事は、わざわざここに云うまでもない。内供はこの方面でもほとんど出来るだけの事をした。烏瓜を煎じて飲んで見た事もある。鼠の尿を鼻へなすって見た事もある。しかし何をどうしても、鼻は依然として、五六寸の長さをぶらりと唇の上にぶら下げているではないか。
所がある年の秋、内供の用を兼ねて、京へ上った弟子の僧が、知己の医者から長い鼻を短くする法を教わって来た。その医者と云うのは、もと震旦から渡って来た男で、当時は長楽寺の供僧になっていたのである。
内供は、いつものように、鼻などは気にかけないと云う風をして、わざとその法もすぐにやって見ようとは云わずにいた。そうして一方では、気軽な口調で、食事の度毎に、弟子の手数をかけるのが、心苦しいと云うような事を云った。内心では勿論弟子の僧が、自分を説伏せて、この法を試みさせるのを待っていたのである。弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそう云う策略をとる心もちの方が、より強くこの弟子の僧の同情を動かしたのであろう。弟子の僧は、内供の予期通り、口を極めて、この法を試みる事を勧め出した。そうして、内供自身もまた、その予期通り、結局この熱心な勧告に聴従する事になった。


60:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:50:36.67ID:ndSeVAp/M

その法と云うのは、ただ、湯で鼻を茹でて、その鼻を人に踏ませると云う、極めて簡単なものであった。
湯は寺の湯屋で、毎日沸かしている。そこで弟子の僧は、指も入れられないような熱い湯を、すぐに提に入れて、湯屋から汲んで来た。しかしじかにこの提へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷する惧がある。そこで折敷へ穴をあけて、それを提の蓋にして、その穴から鼻を湯の中へ入れる事にした。鼻だけはこの熱い湯の中へ浸しても、少しも熱くないのである。しばらくすると弟子の僧が云った。
――もう茹った時分でござろう。


61:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:50:43.07ID:ndSeVAp/M

内供ははじめ、これを自分の顔がわりがしたせいだと解釈した。しかしどうもこの解釈だけでは十分に説明がつかないようである。――勿論、中童子や下法師が哂う原因は、そこにあるのにちがいない。けれども同じ哂うにしても、鼻の長かった昔とは、哂うのにどことなく容子がちがう。見慣れた長い鼻より、見慣れない短い鼻の方が滑稽に見えると云えば、それまでである。が、そこにはまだ何かあるらしい。
――前にはあのようにつけつけとは哂わなんだて。
内供は、誦しかけた経文をやめて、禿げ頭を傾けながら、時々こう呟く事があった。愛すべき内供は、そう云う時になると、必ずぼんやり、傍にかけた普賢の画像を眺めながら、鼻の長かった四五日前の事を憶い出して、「今はむげにいやしくなりさがれる人の、さかえたる昔をしのぶがごとく」ふさぎこんでしまうのである。――内供には、遺憾ながらこの問に答を与える明が欠けていた。
――人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥れて見たいような気にさえなる。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。――内供が、理由を知らないながらも、何となく不快に思ったのは、池の尾の僧俗の態度に、この傍観者の利己主義をそれとなく感づいたからにほかならない。


63:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:50:56.47ID:ndSeVAp/M

最後に、内供は、内典外典の中に、自分と同じような鼻のある人物を見出して、せめても幾分の心やりにしようとさえ思った事がある。けれども、目連や、舎利弗の鼻が長かったとは、どの経文にも書いてない。勿論竜樹や馬鳴も、人並の鼻を備えた菩薩である。内供は、震旦の話の序に蜀漢の劉玄徳の耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だったら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
内供がこう云う消極的な苦心をしながらも、一方ではまた、積極的に鼻の短くなる方法を試みた事は、わざわざここに云うまでもない。内供はこの方面でもほとんど出来るだけの事をした。烏瓜を煎じて飲んで見た事もある。鼠の尿を鼻へなすって見た事もある。しかし何をどうしても、鼻は依然として、五六寸の長さをぶらりと唇の上にぶら下げているではないか。
所がある年の秋、内供の用を兼ねて、京へ上った弟子の僧が、知己の医者から長い鼻を短くする法を教わって来た。その医者と云うのは、もと震旦から渡って来た男で、当時は長楽寺の供僧になっていたのである。
内供は、いつものように、鼻などは気にかけないと云う風をして、わざとその法もすぐにやって見ようとは云わずにいた。そうして一方では、気軽な口調で、食事の度毎に、弟子の手数をかけるのが、心苦しいと云うような事を云った。内心では勿論弟子の僧が、自分を説伏せて、この法を試みさせるのを待っていたのである。弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそう云う策略をとる心もちの方が、より強くこの弟子の僧の同情を動かしたのであろう。弟子の僧は、内供の予期通り、口を極めて、この法を試みる事を勧め出した。そうして、内供自身もまた、その予期通り、結局この熱心な勧告に聴従する事になった。

おしまい


64:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:51:29.88ID:7DMiwiCeM

ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。
やがて御釈迦様はその池のふちに御佇みになって、水の面を蔽っている蓮の葉の間から、ふと下の容子を御覧になりました。この極楽の蓮池の下は、丁度地獄の底に当って居りますから、水晶のような水を透き徹して、三途の河や針の山の景色が、丁度覗き眼鏡を見るように、はっきりと見えるのでございます。
するとその地獄の底に、カンダタと云う男が一人、ほかの罪人と一しょに蠢いている姿が、御眼に止まりました。このカンダタと云う男は、人を殺したり家に火をつけたり、いろいろ悪事を働いた大泥坊でございますが、それでもたった一つ、善い事を致した覚えがございます。と申しますのは、ある時この男が深い林の中を通りますと、小さな蜘蛛が一匹、路ばたを這って行くのが見えました。そこでカンダタは早速足を挙げて、踏み殺そうと致しましたが、「いや、いや、これも小さいながら、命のあるものに違いない。その命を無暗にとると云う事は、いくら何でも可哀そうだ。」と、こう急に思い返して、とうとうその蜘蛛を殺さずに助けてやったからでございます。
御釈迦様は地獄の容子を御覧になりながら、このカンダタには蜘蛛を助けた事があるのを御思い出しになりました。そうしてそれだけの善い事をした報には、出来るなら、この男を地獄から救い出してやろうと御考えになりました。幸い、側を見ますと、翡翠のような色をした蓮の葉の上に、極楽の蜘蛛が一匹、美しい銀色の糸をかけて居ります。御釈迦様はその蜘蛛の糸をそっと御手に御取りになって、玉のような白蓮の間から、遥か下にある地獄の底へ、まっすぐにそれを御下しなさいました。


65:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:51:38.11ID:7DMiwiCeM

こちらは地獄の底の血の池で、ほかの罪人と一しょに、浮いたり沈んだりしていたカンダタでございます。何しろどちらを見ても、まっ暗で、たまにそのくら暗からぼんやり浮き上っているものがあると思いますと、それは恐しい針の山の針が光るのでございますから、その心細さと云ったらございません。その上あたりは墓の中のようにしんと静まり返って、たまに聞えるものと云っては、ただ罪人がつく微な嘆息ばかりでございます。これはここへ落ちて来るほどの人間は、もうさまざまな地獄の責苦に疲れはてて、泣声を出す力さえなくなっているのでございましょう。ですからさすが大泥坊のカンダタも、やはり血の池の血に咽びながら、まるで死にかかった蛙のように、ただもがいてばかり居りました。
ところがある時の事でございます。何気なくカンダタが頭を挙げて、血の池の空を眺めますと、そのひっそりとした暗の中を、遠い遠い天上から、銀色の蜘蛛の糸が、まるで人目にかかるのを恐れるように、一すじ細く光りながら、するすると自分の上へ垂れて参るのではございませんか。カンダタはこれを見ると、思わず手を拍って喜びました。この糸に縋りついて、どこまでものぼって行けば、きっと地獄からぬけ出せるのに相違ございません。いや、うまく行くと、極楽へはいる事さえも出来ましょう。そうすれば、もう針の山へ追い上げられる事もなくなれば、血の池に沈められる事もある筈はございません。
こう思いましたからカンダタは、早速その蜘蛛の糸を両手でしっかりとつかみながら、一生懸命に上へ上へとたぐりのぼり始めました。元より大泥坊の事でございますから、こう云う事には昔から、慣れ切っているのでございます。


66:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:51:45.81ID:7DMiwiCeM

しかし地獄と極楽との間は、何万里となくございますから、いくら焦って見た所で、容易に上へは出られません。ややしばらくのぼる中に、とうとうカンダタもくたびれて、もう一たぐりも上の方へはのぼれなくなってしまいました。そこで仕方がございませんから、まず一休み休むつもりで、糸の中途にぶら下りながら、遥かに目の下を見下しました。
すると、一生懸命にのぼった甲斐があって、さっきまで自分がいた血の池は、今ではもう暗の底にいつの間にかかくれて居ります。それからあのぼんやり光っている恐しい針の山も、足の下になってしまいました。この分でのぼって行けば、地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかも知れません。カンダタは両手を蜘蛛の糸にからみながら、ここへ来てから何年にも出した事のない声で、「しめた。しめた。」と笑いました。ところがふと気がつきますと、蜘蛛の糸の下の方には、数限もない罪人たちが、自分ののぼった後をつけて、まるで蟻の行列のように、やはり上へ上へ一心によじのぼって来るではございませんか。
カンダタはこれを見ると、驚いたのと恐しいのとで、しばらくはただ、莫迦のように大きな口を開いたまま、眼ばかり動かして居りました。自分一人でさえ断れそうな、この細い蜘蛛の糸が、どうしてあれだけの人数の重みに堪える事が出来ましょう。もし万一途中で断れたと致しましたら、折角ここへまでのぼって来たこの肝腎な自分までも、元の地獄へ逆落しに落ちてしまわなければなりません。
そんな事があったら、大変でございます。が、そう云う中にも、罪人たちは何百となく何千となく、まっ暗な血の池の底から、うようよと這い上って、細く光っている蜘蛛の糸を、一列になりながら、せっせとのぼって参ります。今の中にどうかしなければ、糸はまん中から二つに断れて、落ちてしまうのに違いありません。


67:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:51:53.22ID:EGO/y1Ok0

父親「俺君、ご苦労。この食事が終われば、君には庭師に入ってもらう。先輩から学んでしっかりやってくれ」
妹「休憩も取れるようになりましたから、無茶はなさらないでくださいね。時間が合えば、一緒にお茶でも飲みましょう」ニコニコ
俺「はい……」
メイド「よかったですね、俺さん! これまで本当に大変そうでしたから……。妹様に感謝しましょうね!」グッ
俺「……」
盲目の令嬢「…………」ポツン
俺「……食べ終わりましたか?」
盲目の令嬢「……まだ、残ってるでしょ」
俺「……いえ、全然お食べにならなかったので。それは失礼を」


73:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:53:37.35ID:g38Dl5RD0

>>67
はら


75:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:54:04.01ID:rxPhVnfea

>>67
ガソリンの味教えてよ


68:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:51:54.11ID:7DMiwiCeM

そこでカンダタは大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は己のものだぞ。お前たちは一体誰に尋いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と喚きました。
その途端でございます。今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急にカンダタのぶら下っている所から、ぷつりと音を立てて断れました。ですからカンダタもたまりません。あっと云う間もなく風を切って、独楽のようにくるくるまわりながら、見る見る中に暗の底へ、まっさかさまに落ちてしまいました。
後にはただ極楽の蜘蛛の糸が、きらきらと細く光りながら、月も星もない空の中途に、短く垂れているばかりでございます。


69:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:51:59.85ID:CftVfioL0

これごちうさのパクリ?


72:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:53:17.23ID:oYid+8Dt0

>>69
スピンオフや


70:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:52:05.18ID:7DMiwiCeM

御釈迦様は極楽の蓮池のふちに立って、この一部始終をじっと見ていらっしゃいましたが、やがてカンダタが血の池の底へ石のように沈んでしまいますと、悲しそうな御顔をなさりながら、またぶらぶら御歩きになり始めました。自分ばかり地獄からぬけ出そうとする、カンダタの無慈悲な心が、そうしてその心相当な罰をうけて、元の地獄へ落ちてしまったのが、御釈迦様の御目から見ると、浅間しく思召されたのでございましょう。
しかし極楽の蓮池の蓮は、少しもそんな事には頓着致しません。その玉のような白い花は、御釈迦様の御足のまわりに、ゆらゆら萼を動かして、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽ももう午に近くなったのでございましょう。

おしまい


71:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:52:51.25ID:uC8MGmp+p

ガソリンの味教えて下さい


74:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:53:51.96ID:0AQqx8NyM

昼から始めて必死14位とかやるやん


76:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:54:38.88ID:g38Dl5RD0

おい


78:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:55:31.68ID:7DMiwiCeM

戸口の話
弁護士のアッタスン氏は、いかつい顔をした男で、微笑なぞ決して浮かべたことがなかった。話をする時は冷ややかで、口数も少なく、話下手だった。感情はあまり外に出さなかった。やせていて、背が高く、そっけなくて、陰気だが、それでいて何となく人好きのするところがあった。気らくな会合などでは、とくに口に合った酒が出たりすると、何かしらとても優しいものが彼の眼から輝いた。
実際、それは彼の話の中には決して出て来ないものであった。が、食後の顔の無言のシンボルであるその眼にあらわれ、また、ふだんの行いの中には、もっとたびたび、もっとはっきり、あらわれたのであった。彼は自分に対しては厳格で、自分ひとりの時にはジン酒を飲んで、葡萄酒をがまんした。芝居好きなのに、二十年ものあいだ劇場の入口をくぐったこともなかった。しかし他人にはえらく寛大で、人が元気にまかせて遊びまわるのを、さも羨ましげに、驚嘆することもあった。
そして、彼らがどんな窮境に陥っている場合でも、とがめるよりは助けることを好んだ。「わたしはカインの主義*が好きだよ、」と、彼はよくこんな妙な言い方をするのだった。
「兄弟が自分勝手に落ちぶれてゆくのを見ているだけさ。」こんな工合だから、堕落してゆく人たちには最後まで立派な知人となり、最後までよい感化を与える者となるような立場にたつことは、よくあった。そして、そういう人々に対しても、彼らが彼の事務所へ出入りしている限り、ちっともその態度を変えなかった。


79:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:56:25.42ID:7DMiwiCeM

もちろん、こういう芸当はアッタスン氏にとっては何でもないことであった。というのは、なにしろ感情をあらわさない男だったし、その友人関係でさえも同じような人のよい寛大さに基づいているらしかったので。ただ偶然にできた出来合いの友人だけで満足しているのは内気な人間の特徴であるが、この弁護士の場合もそうであった。彼の友人といえば、血縁の者か、でなければずうっと永い間の知り合いであった。
彼の愛情は、常春藤のように、時と共に成長したものであって、相手が友人として適当だというわけではなかった。彼の遠縁で、有名な粋人であるリチャード・エンフィールド氏との友情も、むろんそうして出来たものだった。
この二人がお互いに何を認めることができたのか、あるいはどんな共通の話題を見出すことができたのかということは、多くの人々にとって解きがたい難問であった。日曜日に二人が散歩しているのに出会った人たちの話によると、二人は口も利かず、ひどくつまらなさそうな顔付きをしていて、誰か知人の姿を見るといかにもほっとしたように声をかけるのが常だということであった。
そのくせ、その二人はこの日曜の散歩をとても大事にして、毎週の一番の大切なものと考え、それを欠かさずに楽しむためには、いろんな遊びをとりやめたばかりではなく、しなければならぬ用事までもふり捨てたのであった。


80:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:56:56.55ID:7DMiwiCeM

そんな散歩をしていたある時のこと、二人がなにげなくロンドンのにぎやかな区域の横町を通りかかったことがあった。その横町はせまくて、まあ閑静な方だったが、それでも日曜以外の日には商売が繁盛していた。そこに住んでいる商人たちはみんな景気がよさそうであった。そして、みんなは競ってその上にも景気をよくしようと思い、儲けのあまりを惜しげもなく使って店を飾り立てた。だから、店々は、まるでにこやかな女売子の行列のように、客を招くような様子で道の両側にたち並んでいた。日曜日には、いつもの華やかな美しさも蔽われ、人通りも少なかったが、それでもその横町は、くすんだその付近とくらべると、森の中の火事のように照り映えていた。それに鎧戸は塗り換えたばかりだし、真鍮の標札は十分に磨き立ててあるし、街全体の調子がさっぱりしていて派手なので、すぐに通行人の眼をひき、喜ばせた。
東へ向って行って左手の、一つの街かどから二軒目のところに、路地の入口があって、街並はくぎられていた。そしてちょうどそこに、気味の悪い一枚の建物が切妻を街路に突き出していた。その建物は二階建で、一階に戸口が一つあるだけ、二階は色のあせた壁だけで、窓は一つもなく、どこを見ても永いことよごれ放題にしてあった跡があった。ベルもノッカーも取付けてない入口の戸は、いたんで変色していた。浮浪人はそのひっこんだ戸口へのそりのそりと入り込んで戸の鏡板でマッチを擦り、子供たちは踏段の上で店を張って遊び、学校の生徒は繰形でナイフの切味を験したりした。そしてもう三十年近くの間、誰ひとり出て来て、そういう勝手な客たちを追い払ったり、彼らの荒した跡を修繕したりする者もなかった。
エンフィールド氏と弁護士とは横町のその反対側を歩いていたが、路地の入口の真向いまでやって来ると、エンフィールド氏がステッキを上げて指した。


81:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:57:27.11ID:7DMiwiCeM

「あの戸口に気がついたことがありますか?」と彼は尋ねた。そして、相手がうなずくと、彼は言い足した、「あの戸口を見ると僕は妙な話を思い出すのです。」
「なるほど!」とアッタスン氏は言ったが、ちょっと声の調子が変っていた。「で、それはどんなことなのかね?」
「ええ、それはこうなんです、」とエンフィールド氏が答えた。「僕はある遠いところから家へ帰る途中でした。暗い冬の朝の三時頃のことです。その途中は、街灯のほかには全く何一つ見えないところでした。どの通りもどの通りも、人はみんな寝ているし、――どの通りもどの通りも、みんな何かの行列を待っているように明りがついていて、そのくせ教会のようにがらんとしているし、――で、とうとう僕は、人がじいっと聴き耳を立てて巡査の姿でも現われればいいと頻りに思い始める、あの気持になってきました。と突然、二人の人影が見えたのです。一人は小柄な男で、足ばやに東の方へばたばた歩いてゆく。もう一人は八つか九つくらいの女の子で、十字路を一所懸命に走ってきた。で、その二人は当然かどのところでぶっつかってしまいました。するとそのとき恐ろしいことが起こったのですよ。


82:なんJゴッドがお送りします2020/11/21(土) 15:58:17.58ID:7DMiwiCeM

というのは、その男が子供の体を平気で踏みつけて、子供が地べたで泣き叫んでいるのをそのままにして行ってしまうのです。聞いただけでは何でもないようですが、見ていては地獄のようなことでした。それは人間の仕業じゃない。憎らしい鬼か何かのような仕業でした。
僕はこら待てっと叫んで、駆け出して行き、その男の襟をひっ掴んで、元のところまで連れ戻ったのですが、そこには泣き叫んでいる子供の周りにもう人だかりがしていました。
その男はまるで平然としていて何の手向いもしませんでしたが、ただ僕を一目ぎろりと見た眼付きの気持の悪さときたら、僕は駆足をした時のようにびっしょり汗が出たくらいです。出て来た人たちは女の子の家の者で、間もなく医者もやって来ました。子供はさっきその医者を呼びに行ったのでしたがね。ところで、医者の話では、子供は大したこともなく、ただおびえたのだということでした。
で、あなたはこれでこの話はすんだと思ったかも知れません。ところが一つ妙なことがあったのです。僕は例の男を一目見た時からむかつくほど嫌いでした。子供の家の者もやはりそうだったが、それはもちろん当然のことでしょう。
だが、僕の驚いたのは医者の場合だったのです。その男は世間なみの平凡な医者で、特に年寄りでも若者でもなく、特別の変った様子もしてもいず、ひどいエディンバラ訛りがあって、嚢笛のように鈍感な男でした。それがねえ、その男もやはり僕たちほかの者みんなと同じなんです。




元スレ:https://swallow.5ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1605940799/
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